富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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大精霊は去り、修羅の国へ。

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 翌朝、起きてきた院長たちに挨拶する。

 「おはようございます。朝食、できてますよ」

 「石神さん、おはようございます」

 「今日はパンケーキを作ったんです。ああ、お二人の分は和食もありますけど」

 「お前が作ったのか」

 「ええ」


 パンケーキは三十枚。あとはトッピングのフルーツだのが多数ある。

 和食は、アジの開きと、目玉焼きは二人の顔を見てから焼いている。
 あとは漬物に納豆、味噌汁だ。

 米を二合しか炊かなかったのは久しぶりだ。



 「じゃあ、折角だから私はパンケーキをいただこうかしら」
 「俺は和食で頼む」

 俺は院長と一緒に和食を。
 静子さんは、子どもたちとパンケーキを。
  
 双子が一生懸命に最高の組み合わせを教えている。

 「おい、好みが違うんだから、あんまり口を出すな!」

 「いいえ、私、こういうのは初めてだから、教えて欲しいわ」

 亜紀ちゃんも一緒になって、組み合わせの話をする。
 皇紀は黙々と食べている。

 まあ、基本的に皇紀は優しい奴なのだが、誰かが困っていると手助けしようとする、という感じか。





 二人は、昼前に帰られた。
 昼食をとお勧めしたが、もうお腹が一杯だと言われた。


 「世話になった」
 「本当に楽しかったわ。うちにも是非みんなでいらしてね」

 「いや、高い障子や襖がボロボロになりますよ」

 「ウフフ、それでもいいけど。じゃあ、石神さんだけでも是非ね」
 「分かりました」


 「ゴールデンウィークは、どこにも行かないのか?」
 院長が聞いてくる。

 「ああ、花岡さんに実家に誘われているんですよ。明日から行って来ます」
 
 「そうだったか」



 俺が送っていくと言うと、タクシーで帰るからと断られてしまった。

 「ああ、石神。大精霊は、なんとかしておけ」

 俺と静子さんは一緒に笑った。








 午後に、亜紀ちゃんと明日の旅行の準備をする。

 「楽しみですねー」
 亜紀ちゃんは何度目かの言葉をまた言う。

 本当に仲が良くなったものだ。

 「花岡さんの実家は古武道の家系らしいぞ」
 「コブドー?」

 「ああ、古くからある、武道だよ。格闘技らしいけど、俺も詳しくは知らないんだ」
 「そうなんですか。ちょっと見てみたいです」

 「道場もあるらしいから、見せてもらえるかもな。あ、でももしかしたら他人には見せられないのかもしれんなぁ」

 「えぇ! 絶対みたいです」


 暗殺拳なのを忘れてた。

  





 「ねぇ、石神くん」
 「なんですか」


 食堂で一緒になったので、向かい合わせで食事をしていた。

 「ゴールデンウィークって、何か予定はある?」
 「院長夫婦をお誘いしようと思ってますが」

 「え、そうなの」
 「どうしたんですか」

 「うん、うちの実家に子どもたちと一緒に来ないかなぁって」
 「ああ、それはいいですね。大丈夫だと思いますよ。院長たちは初日にいらっしゃいますから」

 「ほんとに! じゃあ、予定を組んで。待ってるから」



 子どもたちをどこかへ連れて行きたいが、なかなか時間がとれない。
 栞の誘いはありがたかった。

 





 などと、気軽に受けてしまったが、栞のご両親に会うわけか。
 まあ、どうということもないだろう。
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