98 / 2,840
大人になるということ、それは、成長すること:森竹高裕
しおりを挟む
悩もうと思ったが、結局一瞬で答えは決まった。
俺は高木に電話した。
「ああ、メール見たけどよ。あれはダメだ。六花は俺の大事な部下で、重要な仕事もしてるんだよ。お前と付き合ってるヒマはねぇんだな」
「そうですかぁ。残念ですが、石神先生がそうおっしゃるのなら、キッパリ諦めます」
こういう男だった。
異常なほどの面喰いで、会うたびに一目惚れする。
しかし、相手が拒絶すると、驚くほどにあっさりと身を引く。
本当に惚れてるのか、とも思うが、本当のようだ。
四六時中、その女のことを考え、ため息をもらしている。
よく分からない奴だが、いい奴であることは確かだ。
変態ではあるが、女のことも大事にする。
以前にこんなことがあった。
「石神先生、ちょっとお願い事がありまして」
「ああ、なんだよ」
高木は性病検査をして欲しいと言ってきた。
自分じゃねぇ。
可愛らしい女性を連れてきて
「この子のこと、どうかよろしくお願いします!」
と言う。
費用は全額自分が出すと言う高木を、検査の間に連れ出し、詳しい話を聞いた。
「ホテトル嬢なんですよ、あいつ」
なんでも、高木が頼んでやって来たのがあの子だったらしい。
「先生も見たでしょ? あんなに可愛くて、あんなに優しそうで。あんな子は風俗なんかしてちゃダメだ。俺はホテルで散々話して、ホテトル嬢をやめる約束をさせたんです」
「そうか」
「でも、もしかしたら性病とかで今後苦しむかもしれないじゃないですか。だからちゃんと検査して、治すもんは治して、新しい生き方をしてもらいたいんです」
「そうか」
「ところでさ」
「はい!」
「おまえやったの?」
「はい、やりましたけど?」
しっかり楽しんで、その後で説教したのかよ。
まったく呆れ返るほどバカと言うか純粋と言うか。
それでも、信じてもらえたんだから、やっぱりこいつは大したもんだ。
高木は女の子がまともな会社に就職できるまで、彼女を援助し続けた。
あの後は一切、身体にも触れなかったらしい。
俺は響子の病室へ行き、一通り響子に構ってから六花を連れ出した。
「一応な、お前にも言っておくけど」
「なんでしょうか?」
「不動産屋の高木に会っただろう」
「はい」
「あいつがお前のことを好きになったって言うんだよ」
「はあ」
「でも、俺が断ったからな。お前の気持ちは何も聞かなかったけどな」
「はい、それで構いません」
「そうか。話はそれだけだ」
「私は石神先生だけですから」
「はい?」
「分かってます。私なんか気持ちの悪い顔ですからね」
「そんなことはないぞ」
「いえ。響子も可愛そうに、あんなバタ臭い顔に生まれてしまって」
「お前、ちょっと待て」
「でも、響子が可愛がられてるんですから、私にもワンチャンあるんじゃないかと」
「いい加減にしろ!」
ああ、気分転換がしたい。
俺は家に帰って、双子の部屋に遊びに行った。
二人とも風呂に入り、パジャマになっている。
「あ、タカさんだぁ!」
「いらっしゃい!」
俺は二人をベッドに押し倒し、ほっぺたをグリグリし、その後交互に投げ飛ばして遊んだ。
キャーキャー言って喜ぶ。
亜紀ちゃんが何事かと部屋に来た。
「ちょっとあんたたち、静かに、あ、タカさん」
「かかれ!」
双子は亜紀ちゃんに抱きつき、俺は三人抱えてベッドに投げる。
「ちょっと待ってください!」
亜紀ちゃんが叫ぶが、俺は亜紀ちゃんを押さえ込んでほっぺをグリグリしてやる。
双子はあきちゃんの脇をくすぐっている。
涙目で亜紀ちゃんが笑う。
「もう、なにしてるんですか」
「みんなかわいくってなぁ」
「何言ってるんですか」
「皇紀ちゃんは?」
ハーが言う。
「そうだよな」
俺たち四人は皇紀の部屋を襲撃した。
机に向かっていた皇紀を俺がベッドへ投げ飛ばす。
「ウワッ、なんなんですかぁ!」
俺が笑っていると、三人が皇紀を押さえ込んだ。
「やめて、なになになに!」
抜け出そうと抗う皇紀を、三人は必死で押さえ込み、くすぐろうとする。
もうそろそろいいだろうと、俺が近づいたとき。
「あ、あ、あー、それはやめてぇー」
一際大きな声で皇紀が叫んだ。
ルーは皇紀のパジャマの下を降ろし、ついでにパンツまで引き下ろした。
皇紀の股間が、丁度亜紀ちゃんの目の前にあった。
「あ、皇紀、毛が生えてる」
俺は高木に電話した。
「ああ、メール見たけどよ。あれはダメだ。六花は俺の大事な部下で、重要な仕事もしてるんだよ。お前と付き合ってるヒマはねぇんだな」
「そうですかぁ。残念ですが、石神先生がそうおっしゃるのなら、キッパリ諦めます」
こういう男だった。
異常なほどの面喰いで、会うたびに一目惚れする。
しかし、相手が拒絶すると、驚くほどにあっさりと身を引く。
本当に惚れてるのか、とも思うが、本当のようだ。
四六時中、その女のことを考え、ため息をもらしている。
よく分からない奴だが、いい奴であることは確かだ。
変態ではあるが、女のことも大事にする。
以前にこんなことがあった。
「石神先生、ちょっとお願い事がありまして」
「ああ、なんだよ」
高木は性病検査をして欲しいと言ってきた。
自分じゃねぇ。
可愛らしい女性を連れてきて
「この子のこと、どうかよろしくお願いします!」
と言う。
費用は全額自分が出すと言う高木を、検査の間に連れ出し、詳しい話を聞いた。
「ホテトル嬢なんですよ、あいつ」
なんでも、高木が頼んでやって来たのがあの子だったらしい。
「先生も見たでしょ? あんなに可愛くて、あんなに優しそうで。あんな子は風俗なんかしてちゃダメだ。俺はホテルで散々話して、ホテトル嬢をやめる約束をさせたんです」
「そうか」
「でも、もしかしたら性病とかで今後苦しむかもしれないじゃないですか。だからちゃんと検査して、治すもんは治して、新しい生き方をしてもらいたいんです」
「そうか」
「ところでさ」
「はい!」
「おまえやったの?」
「はい、やりましたけど?」
しっかり楽しんで、その後で説教したのかよ。
まったく呆れ返るほどバカと言うか純粋と言うか。
それでも、信じてもらえたんだから、やっぱりこいつは大したもんだ。
高木は女の子がまともな会社に就職できるまで、彼女を援助し続けた。
あの後は一切、身体にも触れなかったらしい。
俺は響子の病室へ行き、一通り響子に構ってから六花を連れ出した。
「一応な、お前にも言っておくけど」
「なんでしょうか?」
「不動産屋の高木に会っただろう」
「はい」
「あいつがお前のことを好きになったって言うんだよ」
「はあ」
「でも、俺が断ったからな。お前の気持ちは何も聞かなかったけどな」
「はい、それで構いません」
「そうか。話はそれだけだ」
「私は石神先生だけですから」
「はい?」
「分かってます。私なんか気持ちの悪い顔ですからね」
「そんなことはないぞ」
「いえ。響子も可愛そうに、あんなバタ臭い顔に生まれてしまって」
「お前、ちょっと待て」
「でも、響子が可愛がられてるんですから、私にもワンチャンあるんじゃないかと」
「いい加減にしろ!」
ああ、気分転換がしたい。
俺は家に帰って、双子の部屋に遊びに行った。
二人とも風呂に入り、パジャマになっている。
「あ、タカさんだぁ!」
「いらっしゃい!」
俺は二人をベッドに押し倒し、ほっぺたをグリグリし、その後交互に投げ飛ばして遊んだ。
キャーキャー言って喜ぶ。
亜紀ちゃんが何事かと部屋に来た。
「ちょっとあんたたち、静かに、あ、タカさん」
「かかれ!」
双子は亜紀ちゃんに抱きつき、俺は三人抱えてベッドに投げる。
「ちょっと待ってください!」
亜紀ちゃんが叫ぶが、俺は亜紀ちゃんを押さえ込んでほっぺをグリグリしてやる。
双子はあきちゃんの脇をくすぐっている。
涙目で亜紀ちゃんが笑う。
「もう、なにしてるんですか」
「みんなかわいくってなぁ」
「何言ってるんですか」
「皇紀ちゃんは?」
ハーが言う。
「そうだよな」
俺たち四人は皇紀の部屋を襲撃した。
机に向かっていた皇紀を俺がベッドへ投げ飛ばす。
「ウワッ、なんなんですかぁ!」
俺が笑っていると、三人が皇紀を押さえ込んだ。
「やめて、なになになに!」
抜け出そうと抗う皇紀を、三人は必死で押さえ込み、くすぐろうとする。
もうそろそろいいだろうと、俺が近づいたとき。
「あ、あ、あー、それはやめてぇー」
一際大きな声で皇紀が叫んだ。
ルーは皇紀のパジャマの下を降ろし、ついでにパンツまで引き下ろした。
皇紀の股間が、丁度亜紀ちゃんの目の前にあった。
「あ、皇紀、毛が生えてる」
1
お気に入りに追加
228
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
NPO法人マヨヒガ! ~CGモデラーって難しいんですか?~
みつまめ つぼみ
キャラ文芸
ハードワークと職業適性不一致に悩み、毎日をつらく感じている香澄(かすみ)。
彼女は帰り道、不思議な喫茶店を見つけて足を踏み入れる。
そこで出会った青年マスター晴臣(はるおみ)は、なんと『ぬらりひょん』!
彼は香澄を『マヨヒガ』へと誘い、彼女の保護を約束する。
離職した香澄は、新しいステージである『3DCGモデラー』で才能を開花させる。
香澄の手が、デジタル空間でキャラクターに命を吹き込む――。
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
人形の中の人の憂鬱
ジャン・幸田
キャラ文芸
等身大人形が動く時、中の人がいるはずだ! でも、いないとされる。いうだけ野暮であるから。そんな中の人に関するオムニバス物語である。
【アルバイト】昭和時代末期、それほど知られていなかった美少女着ぐるみヒロインショーをめぐる物語。
【少女人形店員】父親の思い付きで着ぐるみ美少女マスクを着けて営業させられる少女の運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる