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石神ファンクラブ主催・第一回石神家子どもパーティ
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9月の祝日。
俺は部下たちの要請を断り切れず、15人までということで家に来ることを許可した。
但し、子どもたちにヘンなことを喋らない、無理に何かを聞き出そうとしない、と厳命した。
また料理は自分たちで賄うこととした。
朝から数人が俺の家に来て、食事の準備をする。
いち早くそいつらには子どもたちを簡単に紹介した。
亜紀ちゃんが手伝おうとして、エプロンをつけてきた。
「亜紀ちゃんは本当に綺麗よねぇ」
薬剤部の花岡さんが褒め称える。
「いえ、花岡さんこそ、お綺麗です」
亜紀ちゃんは真っ赤な顔でそう言う。
まあ、二人とも美人だ。
他に三人ほど来ているが、いつも大体このメンバーが集まりのときに調理担当になっている。
花岡さんはその中心的な位置だ。
俺の大学時代からの大事な友人でもある。
部下の大森は中華料理が得意だ。
そして何と言ってもオペ看の峰岸。
彼女は有名な料亭の娘で、和食にかけてはピカ一の腕前だった。
ワイワイとみんなで始めたので、俺は安心した。
昼になり、次々に集まってきた。
皇紀が毎回玄関に迎えに出て、そのうち門で待ち構えていた。
料理が出来上がり、全員が集まったところで俺が簡単に挨拶し、子どもたちを紹介した。
「おい、お前ら。大勢でどうせ覚えられないだろうから、名前だけ一人ずつ言え! 一人も覚えねぇけどな」
「えぇー!」
ブーイングもあったが、やってればいつまでも食えない。
全員の自己紹介が終わり、食事が始まる。
最初は固まっていた子どもたちは、みんなに引っ張られてあちこちで話を始める。双子は一緒だ。
亜紀ちゃんのところには花岡さんや料理を一緒にした三人、それと一江がまざったようだ。
皇紀は部下の大森や、他の男性陣に囲まれ、徐々にナースたちが増えていく。
最も集まっていたのは双子だ。
もう女性たちにあちこち撫でられ、抱きしめられ、大変なことになっている。
「小学生好き」部下の斎藤も当然双子派で、顔を蕩けさせて一緒にいる。
先日、産婦人科のオペで大失態を起こした山岸は俺のそばにいた。
俺に酒を注ぎ、ビュッフェ形式にしたものだから、俺の取り皿が減ると補充してくる。
「鬱陶しいな、てめぇは」
俺がそう言うと、黙って頭を下げやがる。
俺は亜紀ちゃんのグループへ山岸を引っ張っていって
「亜紀ちゃん、こいつは山岸っていうアルバイトなんだ」
「え、アルバイトじゃ!」
亜紀ちゃんはこっちを向いて挨拶した。
「山岸さん、亜紀です。いつも父がお世話になってます」
丁寧に頭を下げた。
「あ、山岸です。自分のような羽虫がどうもすいません」
「こいつ、今週いっぱいでバイトを終わるから」
「部長! 勘弁してください!」
亜紀ちゃんがクスリと笑った。
「今、いろいろタカさんのことを教えてもらってたんです」
「お前ら、どうしようもないことは言わないって約束だよなぁ」
一江たちはそっぽを向く。
俺は一江の頭を掴んだ。
「大したことは言ってないですよ! 例えば部長のデスクに子どもたちの写真が大事に飾られているとかです」
「お前なぁ!」
「本当に嬉しかったです」
亜紀ちゃんがそう言うので、俺は一江の頭を離してやった。
「亜紀ちゃんね、部長って最近亜紀ちゃんたちの話ばっかりするのよ」
「そうなんですか!」
亜紀ちゃんがますます嬉しそうな顔をする。
「別荘でどうだったとか、昨日の食事はあれが失敗だったとか」
「やめろ、一江!」
俺は皇紀のところへ退散した。
「あ、部長!」
大森がワインのボトルを持って近づいてくる。
「皇紀クンは是非うちの病院へ入れましょう!」
「そんな先の話はどうでもいいよ。大体皇紀の人生は皇紀が決めるんだからな。余計なことは言うな」
「でも、その皇紀クンがそう言ってますけど?」
「あ?」
「僕はタカさんのような人間になりたいです! だからタカさんの下で働きたいと思います!」
「そ、そうかよ」
「部長、やっぱり院長になっちゃいましょうよ。話は来てるんでしょ?」
「バカヤロー! 俺は現場主義なんだ」
皇紀が顔を輝かせて俺を見る。
「やっぱ、タカさんはすげぇや」
そこへナースたちがなだれ込んで来る。
「はい、はい! 私皇紀クンのお嫁さんになります!」
そう言って皇紀の頭を抱きしめる。
皇紀は抵抗できない。
女性の身体に触れないのだ。
「いい加減にしろ。相手は小学生なんだからベタベタするな」
「えぇー、じゃあやっぱり部長のお嫁さんで」
「ふざけんな!」
「やっぱ、タカさんは……」
「それはもういい!」
さて、双子だ。
大変な盛り上がりになってる。
用意した小さなテーブルに、乗り切れないほどの料理が並んでいる。
それにどこからか椅子を持ってきて、双子が座らされている。
あちこちから手が伸びてしょっちゅう撫でられたり抱きしめられたりで、双子は半ばグッタリしていた。
「おいおい、ちょっと落ち着けよ」
「もう、カワイすぎてダメですぅー!」
「こいつらは俺のものだ。あんまり触るな」
カワイイのは確かに分かる。
見ると、亜紀ちゃんがどこかへ連れ去られていた。
「おい、どこへ行ったんだ?」
「あ、ちょっと花岡さんが亜紀ちゃんに化粧をしたいって連れて行きました」
間もなくして、二人が戻ってきた。
はっきり言って、俺は驚いた。
「おい、本当に綺麗だな!」
俺がそう言うと、亜紀ちゃんは真っ赤になってうつむく。
「ね、綺麗でしょう! やっぱり美人はいいよねぇ。石神くん、これは先々大変ですよぅー」
まいった。
こういうことはやはり女性でなければダメだ。
亜紀ちゃんはそのまま他の弟妹に見せるために連れて行かれた。
すると双子が次の犠牲者になり、髪型をいじられ、うっすらと化粧をされ、リボンなんかを巻かれていた。
皇紀は男性陣に連れ去られ、髪型がオールバックにされて帰ってきた。
俺のジェルを勝手に使われた。
皇紀が俺のところへ走ってくる。
「タカさん、どうですか?!」
「チンコに毛が生えてからだな」
「そうですかぁー」
段々雰囲気に慣れたのか、子どもたちも旺盛に食べ始めた。
よかった、いつも通りだ。
双子も次々と突き出されるものを、ブラックホールのように呑み込んで行く。
大いに盛り上がったパーティも、ようやく終わった。
子どもたちも、なんとか楽しんでくれたようだ。
「本当に、私綺麗ですか?」
亜紀ちゃんは何度も聞いてきた。
「うぜぇ」
「!」
後片付けもみんなで終わり、テーブルなどを倉庫へ戻し、掃除までして全員帰っていった。
「楽しかったですね!」
亜紀ちゃんがそう言ってくれて良かった。
皇紀も双子も同じようなことを言ってくれた。
「面倒なことも多いけど、いい奴らなんだよ」
一応俺もそう言っておいた。
「今日はタカさんの話をいっぱい聞けて良かったです」
亜紀ちゃんが嬉しそうに言った。
「タカさん、つかれたー」
「もうダメー」
双子だ。
「お前ら、よく頑張った」
「「エヘヘヘヘ」」
俺は二人を両脇に回し、肩を抱いてやった。
背中もポンポンしてやる。
「今日は一緒に寝ていいですかぁ?」
「おねがいしますぅー」
「分かったよ。じゃあ亜紀ちゃんによく風呂で洗ってもらえよ。お前らちょっとクサイからな」
「ええークサクないもん!」
「いいニオイだもん!」
猛烈に抗議する。
まったくカワイイ。
俺は疲れた。
だが、今日はちょっと俺の不足を思い知った。
これは早急に何とかしないといかん。
俺は部下たちの要請を断り切れず、15人までということで家に来ることを許可した。
但し、子どもたちにヘンなことを喋らない、無理に何かを聞き出そうとしない、と厳命した。
また料理は自分たちで賄うこととした。
朝から数人が俺の家に来て、食事の準備をする。
いち早くそいつらには子どもたちを簡単に紹介した。
亜紀ちゃんが手伝おうとして、エプロンをつけてきた。
「亜紀ちゃんは本当に綺麗よねぇ」
薬剤部の花岡さんが褒め称える。
「いえ、花岡さんこそ、お綺麗です」
亜紀ちゃんは真っ赤な顔でそう言う。
まあ、二人とも美人だ。
他に三人ほど来ているが、いつも大体このメンバーが集まりのときに調理担当になっている。
花岡さんはその中心的な位置だ。
俺の大学時代からの大事な友人でもある。
部下の大森は中華料理が得意だ。
そして何と言ってもオペ看の峰岸。
彼女は有名な料亭の娘で、和食にかけてはピカ一の腕前だった。
ワイワイとみんなで始めたので、俺は安心した。
昼になり、次々に集まってきた。
皇紀が毎回玄関に迎えに出て、そのうち門で待ち構えていた。
料理が出来上がり、全員が集まったところで俺が簡単に挨拶し、子どもたちを紹介した。
「おい、お前ら。大勢でどうせ覚えられないだろうから、名前だけ一人ずつ言え! 一人も覚えねぇけどな」
「えぇー!」
ブーイングもあったが、やってればいつまでも食えない。
全員の自己紹介が終わり、食事が始まる。
最初は固まっていた子どもたちは、みんなに引っ張られてあちこちで話を始める。双子は一緒だ。
亜紀ちゃんのところには花岡さんや料理を一緒にした三人、それと一江がまざったようだ。
皇紀は部下の大森や、他の男性陣に囲まれ、徐々にナースたちが増えていく。
最も集まっていたのは双子だ。
もう女性たちにあちこち撫でられ、抱きしめられ、大変なことになっている。
「小学生好き」部下の斎藤も当然双子派で、顔を蕩けさせて一緒にいる。
先日、産婦人科のオペで大失態を起こした山岸は俺のそばにいた。
俺に酒を注ぎ、ビュッフェ形式にしたものだから、俺の取り皿が減ると補充してくる。
「鬱陶しいな、てめぇは」
俺がそう言うと、黙って頭を下げやがる。
俺は亜紀ちゃんのグループへ山岸を引っ張っていって
「亜紀ちゃん、こいつは山岸っていうアルバイトなんだ」
「え、アルバイトじゃ!」
亜紀ちゃんはこっちを向いて挨拶した。
「山岸さん、亜紀です。いつも父がお世話になってます」
丁寧に頭を下げた。
「あ、山岸です。自分のような羽虫がどうもすいません」
「こいつ、今週いっぱいでバイトを終わるから」
「部長! 勘弁してください!」
亜紀ちゃんがクスリと笑った。
「今、いろいろタカさんのことを教えてもらってたんです」
「お前ら、どうしようもないことは言わないって約束だよなぁ」
一江たちはそっぽを向く。
俺は一江の頭を掴んだ。
「大したことは言ってないですよ! 例えば部長のデスクに子どもたちの写真が大事に飾られているとかです」
「お前なぁ!」
「本当に嬉しかったです」
亜紀ちゃんがそう言うので、俺は一江の頭を離してやった。
「亜紀ちゃんね、部長って最近亜紀ちゃんたちの話ばっかりするのよ」
「そうなんですか!」
亜紀ちゃんがますます嬉しそうな顔をする。
「別荘でどうだったとか、昨日の食事はあれが失敗だったとか」
「やめろ、一江!」
俺は皇紀のところへ退散した。
「あ、部長!」
大森がワインのボトルを持って近づいてくる。
「皇紀クンは是非うちの病院へ入れましょう!」
「そんな先の話はどうでもいいよ。大体皇紀の人生は皇紀が決めるんだからな。余計なことは言うな」
「でも、その皇紀クンがそう言ってますけど?」
「あ?」
「僕はタカさんのような人間になりたいです! だからタカさんの下で働きたいと思います!」
「そ、そうかよ」
「部長、やっぱり院長になっちゃいましょうよ。話は来てるんでしょ?」
「バカヤロー! 俺は現場主義なんだ」
皇紀が顔を輝かせて俺を見る。
「やっぱ、タカさんはすげぇや」
そこへナースたちがなだれ込んで来る。
「はい、はい! 私皇紀クンのお嫁さんになります!」
そう言って皇紀の頭を抱きしめる。
皇紀は抵抗できない。
女性の身体に触れないのだ。
「いい加減にしろ。相手は小学生なんだからベタベタするな」
「えぇー、じゃあやっぱり部長のお嫁さんで」
「ふざけんな!」
「やっぱ、タカさんは……」
「それはもういい!」
さて、双子だ。
大変な盛り上がりになってる。
用意した小さなテーブルに、乗り切れないほどの料理が並んでいる。
それにどこからか椅子を持ってきて、双子が座らされている。
あちこちから手が伸びてしょっちゅう撫でられたり抱きしめられたりで、双子は半ばグッタリしていた。
「おいおい、ちょっと落ち着けよ」
「もう、カワイすぎてダメですぅー!」
「こいつらは俺のものだ。あんまり触るな」
カワイイのは確かに分かる。
見ると、亜紀ちゃんがどこかへ連れ去られていた。
「おい、どこへ行ったんだ?」
「あ、ちょっと花岡さんが亜紀ちゃんに化粧をしたいって連れて行きました」
間もなくして、二人が戻ってきた。
はっきり言って、俺は驚いた。
「おい、本当に綺麗だな!」
俺がそう言うと、亜紀ちゃんは真っ赤になってうつむく。
「ね、綺麗でしょう! やっぱり美人はいいよねぇ。石神くん、これは先々大変ですよぅー」
まいった。
こういうことはやはり女性でなければダメだ。
亜紀ちゃんはそのまま他の弟妹に見せるために連れて行かれた。
すると双子が次の犠牲者になり、髪型をいじられ、うっすらと化粧をされ、リボンなんかを巻かれていた。
皇紀は男性陣に連れ去られ、髪型がオールバックにされて帰ってきた。
俺のジェルを勝手に使われた。
皇紀が俺のところへ走ってくる。
「タカさん、どうですか?!」
「チンコに毛が生えてからだな」
「そうですかぁー」
段々雰囲気に慣れたのか、子どもたちも旺盛に食べ始めた。
よかった、いつも通りだ。
双子も次々と突き出されるものを、ブラックホールのように呑み込んで行く。
大いに盛り上がったパーティも、ようやく終わった。
子どもたちも、なんとか楽しんでくれたようだ。
「本当に、私綺麗ですか?」
亜紀ちゃんは何度も聞いてきた。
「うぜぇ」
「!」
後片付けもみんなで終わり、テーブルなどを倉庫へ戻し、掃除までして全員帰っていった。
「楽しかったですね!」
亜紀ちゃんがそう言ってくれて良かった。
皇紀も双子も同じようなことを言ってくれた。
「面倒なことも多いけど、いい奴らなんだよ」
一応俺もそう言っておいた。
「今日はタカさんの話をいっぱい聞けて良かったです」
亜紀ちゃんが嬉しそうに言った。
「タカさん、つかれたー」
「もうダメー」
双子だ。
「お前ら、よく頑張った」
「「エヘヘヘヘ」」
俺は二人を両脇に回し、肩を抱いてやった。
背中もポンポンしてやる。
「今日は一緒に寝ていいですかぁ?」
「おねがいしますぅー」
「分かったよ。じゃあ亜紀ちゃんによく風呂で洗ってもらえよ。お前らちょっとクサイからな」
「ええークサクないもん!」
「いいニオイだもん!」
猛烈に抗議する。
まったくカワイイ。
俺は疲れた。
だが、今日はちょっと俺の不足を思い知った。
これは早急に何とかしないといかん。
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