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第一章 艦隊結成編
第十九話 幽闇ノ艦隊VS聯合艦隊(1)
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「……光が見えてきたな」
夜、月が照らす大和の艦橋内にて、山本元帥が呟いた。
「はい。恐らく、あれが月灯本土です」
先頭を行進する大和の艦橋から灯を確認した。
成斗と山本五十六は双眼鏡で先頭を見る。
「所で、陸戦隊や戦車隊、第七師団の上陸の件はどのように致しますか?」
「その作戦は無しだな。第七師団といえど、4007名しか居ない。本土決戦はあまり勝率は見えないからな」
「アチラの世界の話を聞く所、やはり北海道の防衛は欠かせなかったらしいですからね……9000名ほど居てくれれば……」
「仕方ない。それはアチラの世界の帝国軍が決めたことだ。全艦全機関停止。様子を見る」
「はッ!」
その時だった。
当たり一辺に「紅い霧」が立ち込めて、聯合艦隊を包囲した。
「「「ッ……!?」」」
話を聞いていたため、全員恐怖の感情に満たされた。
しかし、一人の男は違う。
「これが……例の」
山本長官は紅い霧を見据えた。
~大鳳~
「り、莉奈~まただよぉ~怖いよぉ~!!」
琴葉が莉奈に半泣きで座り、莉奈の足元に抱きつく。
「艦長、しっかりしてください!」
~長門~
「あっちゃ~、面倒くさ」
「また……ですか」
宗悟は少し怯える。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
夜、闇の中に光を放つ月が聯合艦隊を照らす。
周りには紅い濃霧が立ち込め、彼等を囲んでいた。
不気味な雰囲気を醸し出していた。
「全艦全速前進!総員配置につけ!空母には航空機発艦許可を、戦艦、駆逐艦、巡洋艦は自由砲撃を許可する。潜水艦は敵潜水艦や駆逐艦による魚雷爆雷を警戒しながら敵艦隊を探れ!輸送艦船隊や特務艦は艦隊の中心部に集まり、合計15隻で護衛せよ!艦種はなんでも構わん!」
山本長官は艦隊命令を下した。
成斗は大和に戦闘配置の命令を下す。
そして命令どうり、特務艦や輸送艦船隊を艦隊中心部に移動させ、駆逐艦6、巡洋艦7、潜水艦2隻で護衛した。
各艦主砲や副砲の装填準備が終了し、空母は艦載機発艦準備が終了する。
大和を含めた全艦艇準備は整え終えた丁度その時であった。
「伊401より入電、9時方向に敵艦艇の反応凡そ40を確認!」
潜水艦が敵艦隊を発見した。
「左砲戦よーい」
大和などの戦艦は主砲を左に回転させる。
しかし、弾数も限られている。
なるべく早く蹴りをつけたいところだ。
潜水艦隊は敵艦隊を発見した後、潜望鏡深度に浮上する。
そして、敵艦隊の方向へいち早く進む。
その中、三隻の空母が数機戦闘機を発艦させた。
「こんな試作機なんかでまともに戦えるか?」
「でも試作機だからといって性能が劣っている訳では無い。どちらかと言うと零戦より上だ」
「いや、そんな訳はない。試作機だと元々設計されていた物より装甲が少し薄いし、発動機出力も少し劣る。これが試作じゃなけりゃ零戦より性能はかなりいいと思うが、零戦と同等か少し上だな」
「そうか?でも噴流発動機だぜ?」
雲龍の航空隊の者達が議論している。
それは、雲龍天城葛城に搭載されているのは、ほとんど試作機だからだ。
航空機は以下の通りである。
空母雲龍
零戦 18機
月光 3機
彗星(試型) 18機
天山(試型) 11機
橘花(試型) 10機
空母天城
烈風(試型) 18機
月光一一型 2機
彩雲 3機
流星(試型) 12機
橘花(試型) 12機
空母葛城
烈風(試型) 20機
彩雲 3機
月光一一型甲 3機
流星(試型) 14機
橘花(試型) 13機
一見、赤城や加賀、飛龍蒼龍翔鶴瑞鶴に搭載されている零戦などより高性能の機体ばかりだ。
しかし、一応使えるように設計されているが、先の航空隊員が言っていた通り、試作機だけに装甲が本来計画され、量産される機体の物(信濃や大鳳に搭載されている機体)より薄かったり、発動機(エンジン)の出力が低かったたりする。
つまり量産型より性能がだいぶ大きく劣る。
そのためこの雲龍天城葛城に搭載されている機体の性能は、ほとんど赤城や加賀、飛龍蒼龍翔鶴瑞鶴に搭載されている零戦や九七式艦上攻撃機、九九式艦上爆撃機等の性能とほぼ同等か少し上なのだ。
「艦長、『月光』の発艦準備が終了しました。天城、葛城も発艦準備は良いとのことです」
雲龍副長某月 大夢。
「そうか、分かった。赤城から何かあるか?」
雲龍艦長兼一航戦予備軍司令長官島 健一。
「いえ、特には」
「分かった。にしても、赤城艦長は大変だな」
少し大夢には分からなかった。
「……っと言いますと?」
「全部で9隻、あの「大鳳」と「信濃」と呼ばれる空母を合わせると11隻も管理している。私だと直ぐに折れるね。新米の指揮官がどれほど持つやら……」
「艦長は確か……」
「41だよ。赤城艦長は29歳だ」
「29とは、凄いですね」
「だが、あの巨大戦艦大和艦長や武蔵艦長は28。信濃は26だという」
その時、甲板上から月光が飛んでいく。
夜戦では月光は中々有利に立ち回ることができる。
なにせ「夜間戦闘機」なのだから。
しかし、発艦したのは敵機と交戦するのではない。
今回はただの偵察任務である。
夜間になり、偵察機彩雲を飛ばしたとする。
しかし敵に見つかれば夜間時の戦闘は彩雲にとって悪手である。
そのため今回は月光を発艦させた。
最後の月光はエンジン音を鳴らせながら甲板を進む。
少しづつ加速し、いよいよ甲板の先端。
月明かりに照らされ、月光は飛び立った。
少しバランスを崩すが、直ぐに立て直す。
降着装置をしまい、高度を上げる。
月光の熟練した操縦士たちは、月明かり以外光がない中、仲間の月光と共に編隊を組む。
編隊を組むのはあまりにも難しいが、仲間の絆精神で編隊を組むことができた。
計8機の月光が発艦した。
そして艦隊周辺の「紅い霧」の中を突き進む。
プロペラが霧を切り、飛行機雲のように跡を残す。
月光は、夜間戦闘時の偵察用にある後部座席の広さを使い、敵水上艦艇の偵察を行う。
すると、一人の乗組員が「紅い霧」の中で目立つ赤い光を発見した。
「光を見つけた!2時の方向だ!」
「分かった」
味方の月光に合図し、編隊を崩さず斜め下に機体を翻して直進する。
するとそこには、前進する大艦隊が居た。
そして操縦士達はその艦種を直ぐに理解した。
扶桑型と思われる艦が2隻。
伊勢型(航空戦艦改装前)と思われる艦が2隻。
翔鶴型と思われる空母2隻。
雲龍型と思われる空母3隻。
他駆逐艦、巡洋艦数十隻。
操縦士は無線機の電源をつける。
「此方月光1番機。艦隊から三時方向に敵大艦隊が見えます。艦隊から三時方向に敵大艦隊が見えます!」
その時、月光隊を弾丸が襲った。
パピュン パピュン パピュンパピュン
高速で飛んでいく弾丸が空気を切り音を鳴らす。
弾丸が飛んできた方向を見るに、真下だ。
しかし、ここまで敵艦隊の高射砲が届くとは思えない。
つまり……敵航空機である。
月光隊の真下から垂直に赤黒い敵機3機が飛んでいく。
月光隊は蜘蛛の子を散らしたかのように編隊を崩し、それぞれ個々で母艦に戻る。
しかし、敵機は直ぐには逃がしてはくれない。
逃げる月光隊の1番機、5番機、3番機に目をつけ、急降下する。
敵機が1番機に向って突き進む。
だが、急降下する位置が悪かった。
急降下し、敵機が機銃を撃ち始めようとしたその時、月光の「斜銃」が火を吹いた。 斜銃は元は敵爆撃機迎撃用の物だが、応用でこのようにも使える。
20ミリの斜銃を翼に諸にくらった敵機は、片翼から火を吹き、黒い煙を吐く。
さらに急降下の勢いに瀕死の翼が耐えれることもなく、翼は分解し、バランスを崩し回りながら落ちていく。
やがて海面に落ち、月光の操縦士は小さな水柱を見た。
1番機は母艦に帰投するべく、敵機に警戒しながら霧の中を突き進む。
その頃、3番機と5番機は、運良く近くにあった雲に隠れ、敵機を撒いていた。
そして、ようやく母艦が見えた。
既に着艦中の月光が見える。
そして無事、1番機、3番機、5番機、他の月光も全機無事に生還した。
※次回は待ちに待った艦隊戦※
夜、月が照らす大和の艦橋内にて、山本元帥が呟いた。
「はい。恐らく、あれが月灯本土です」
先頭を行進する大和の艦橋から灯を確認した。
成斗と山本五十六は双眼鏡で先頭を見る。
「所で、陸戦隊や戦車隊、第七師団の上陸の件はどのように致しますか?」
「その作戦は無しだな。第七師団といえど、4007名しか居ない。本土決戦はあまり勝率は見えないからな」
「アチラの世界の話を聞く所、やはり北海道の防衛は欠かせなかったらしいですからね……9000名ほど居てくれれば……」
「仕方ない。それはアチラの世界の帝国軍が決めたことだ。全艦全機関停止。様子を見る」
「はッ!」
その時だった。
当たり一辺に「紅い霧」が立ち込めて、聯合艦隊を包囲した。
「「「ッ……!?」」」
話を聞いていたため、全員恐怖の感情に満たされた。
しかし、一人の男は違う。
「これが……例の」
山本長官は紅い霧を見据えた。
~大鳳~
「り、莉奈~まただよぉ~怖いよぉ~!!」
琴葉が莉奈に半泣きで座り、莉奈の足元に抱きつく。
「艦長、しっかりしてください!」
~長門~
「あっちゃ~、面倒くさ」
「また……ですか」
宗悟は少し怯える。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
夜、闇の中に光を放つ月が聯合艦隊を照らす。
周りには紅い濃霧が立ち込め、彼等を囲んでいた。
不気味な雰囲気を醸し出していた。
「全艦全速前進!総員配置につけ!空母には航空機発艦許可を、戦艦、駆逐艦、巡洋艦は自由砲撃を許可する。潜水艦は敵潜水艦や駆逐艦による魚雷爆雷を警戒しながら敵艦隊を探れ!輸送艦船隊や特務艦は艦隊の中心部に集まり、合計15隻で護衛せよ!艦種はなんでも構わん!」
山本長官は艦隊命令を下した。
成斗は大和に戦闘配置の命令を下す。
そして命令どうり、特務艦や輸送艦船隊を艦隊中心部に移動させ、駆逐艦6、巡洋艦7、潜水艦2隻で護衛した。
各艦主砲や副砲の装填準備が終了し、空母は艦載機発艦準備が終了する。
大和を含めた全艦艇準備は整え終えた丁度その時であった。
「伊401より入電、9時方向に敵艦艇の反応凡そ40を確認!」
潜水艦が敵艦隊を発見した。
「左砲戦よーい」
大和などの戦艦は主砲を左に回転させる。
しかし、弾数も限られている。
なるべく早く蹴りをつけたいところだ。
潜水艦隊は敵艦隊を発見した後、潜望鏡深度に浮上する。
そして、敵艦隊の方向へいち早く進む。
その中、三隻の空母が数機戦闘機を発艦させた。
「こんな試作機なんかでまともに戦えるか?」
「でも試作機だからといって性能が劣っている訳では無い。どちらかと言うと零戦より上だ」
「いや、そんな訳はない。試作機だと元々設計されていた物より装甲が少し薄いし、発動機出力も少し劣る。これが試作じゃなけりゃ零戦より性能はかなりいいと思うが、零戦と同等か少し上だな」
「そうか?でも噴流発動機だぜ?」
雲龍の航空隊の者達が議論している。
それは、雲龍天城葛城に搭載されているのは、ほとんど試作機だからだ。
航空機は以下の通りである。
空母雲龍
零戦 18機
月光 3機
彗星(試型) 18機
天山(試型) 11機
橘花(試型) 10機
空母天城
烈風(試型) 18機
月光一一型 2機
彩雲 3機
流星(試型) 12機
橘花(試型) 12機
空母葛城
烈風(試型) 20機
彩雲 3機
月光一一型甲 3機
流星(試型) 14機
橘花(試型) 13機
一見、赤城や加賀、飛龍蒼龍翔鶴瑞鶴に搭載されている零戦などより高性能の機体ばかりだ。
しかし、一応使えるように設計されているが、先の航空隊員が言っていた通り、試作機だけに装甲が本来計画され、量産される機体の物(信濃や大鳳に搭載されている機体)より薄かったり、発動機(エンジン)の出力が低かったたりする。
つまり量産型より性能がだいぶ大きく劣る。
そのためこの雲龍天城葛城に搭載されている機体の性能は、ほとんど赤城や加賀、飛龍蒼龍翔鶴瑞鶴に搭載されている零戦や九七式艦上攻撃機、九九式艦上爆撃機等の性能とほぼ同等か少し上なのだ。
「艦長、『月光』の発艦準備が終了しました。天城、葛城も発艦準備は良いとのことです」
雲龍副長某月 大夢。
「そうか、分かった。赤城から何かあるか?」
雲龍艦長兼一航戦予備軍司令長官島 健一。
「いえ、特には」
「分かった。にしても、赤城艦長は大変だな」
少し大夢には分からなかった。
「……っと言いますと?」
「全部で9隻、あの「大鳳」と「信濃」と呼ばれる空母を合わせると11隻も管理している。私だと直ぐに折れるね。新米の指揮官がどれほど持つやら……」
「艦長は確か……」
「41だよ。赤城艦長は29歳だ」
「29とは、凄いですね」
「だが、あの巨大戦艦大和艦長や武蔵艦長は28。信濃は26だという」
その時、甲板上から月光が飛んでいく。
夜戦では月光は中々有利に立ち回ることができる。
なにせ「夜間戦闘機」なのだから。
しかし、発艦したのは敵機と交戦するのではない。
今回はただの偵察任務である。
夜間になり、偵察機彩雲を飛ばしたとする。
しかし敵に見つかれば夜間時の戦闘は彩雲にとって悪手である。
そのため今回は月光を発艦させた。
最後の月光はエンジン音を鳴らせながら甲板を進む。
少しづつ加速し、いよいよ甲板の先端。
月明かりに照らされ、月光は飛び立った。
少しバランスを崩すが、直ぐに立て直す。
降着装置をしまい、高度を上げる。
月光の熟練した操縦士たちは、月明かり以外光がない中、仲間の月光と共に編隊を組む。
編隊を組むのはあまりにも難しいが、仲間の絆精神で編隊を組むことができた。
計8機の月光が発艦した。
そして艦隊周辺の「紅い霧」の中を突き進む。
プロペラが霧を切り、飛行機雲のように跡を残す。
月光は、夜間戦闘時の偵察用にある後部座席の広さを使い、敵水上艦艇の偵察を行う。
すると、一人の乗組員が「紅い霧」の中で目立つ赤い光を発見した。
「光を見つけた!2時の方向だ!」
「分かった」
味方の月光に合図し、編隊を崩さず斜め下に機体を翻して直進する。
するとそこには、前進する大艦隊が居た。
そして操縦士達はその艦種を直ぐに理解した。
扶桑型と思われる艦が2隻。
伊勢型(航空戦艦改装前)と思われる艦が2隻。
翔鶴型と思われる空母2隻。
雲龍型と思われる空母3隻。
他駆逐艦、巡洋艦数十隻。
操縦士は無線機の電源をつける。
「此方月光1番機。艦隊から三時方向に敵大艦隊が見えます。艦隊から三時方向に敵大艦隊が見えます!」
その時、月光隊を弾丸が襲った。
パピュン パピュン パピュンパピュン
高速で飛んでいく弾丸が空気を切り音を鳴らす。
弾丸が飛んできた方向を見るに、真下だ。
しかし、ここまで敵艦隊の高射砲が届くとは思えない。
つまり……敵航空機である。
月光隊の真下から垂直に赤黒い敵機3機が飛んでいく。
月光隊は蜘蛛の子を散らしたかのように編隊を崩し、それぞれ個々で母艦に戻る。
しかし、敵機は直ぐには逃がしてはくれない。
逃げる月光隊の1番機、5番機、3番機に目をつけ、急降下する。
敵機が1番機に向って突き進む。
だが、急降下する位置が悪かった。
急降下し、敵機が機銃を撃ち始めようとしたその時、月光の「斜銃」が火を吹いた。 斜銃は元は敵爆撃機迎撃用の物だが、応用でこのようにも使える。
20ミリの斜銃を翼に諸にくらった敵機は、片翼から火を吹き、黒い煙を吐く。
さらに急降下の勢いに瀕死の翼が耐えれることもなく、翼は分解し、バランスを崩し回りながら落ちていく。
やがて海面に落ち、月光の操縦士は小さな水柱を見た。
1番機は母艦に帰投するべく、敵機に警戒しながら霧の中を突き進む。
その頃、3番機と5番機は、運良く近くにあった雲に隠れ、敵機を撒いていた。
そして、ようやく母艦が見えた。
既に着艦中の月光が見える。
そして無事、1番機、3番機、5番機、他の月光も全機無事に生還した。
※次回は待ちに待った艦隊戦※
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