寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した

【頻発性哀愁症候群】ーーー度々、「寂しい」という感情に襲われる病。「寂しさ」の度合いは人それぞれだが、酷いと日常生活にまで支障を起こす。十万人に一人ほどの割合で発症する稀な病である。先天性の場合もあれば、後天性の場合もある。明確な治療方法はまだ無い。

頻発性哀愁症候群に悩まされる奈々花は、高校の入学式で同じ症状に苦しむ菅谷に出会う。菅谷はクラスの中心にいるような人物で、人と関わるのを恐れている奈々花とは真逆の人物だった。そんな二人が出会って……


「知ってる?人間って寂しくても死なないんだよ。こんなに辛いのに」

「大丈夫だよ。寂しくないから。全然寂しくない」

「病気なのは私も一緒。『寂しがり屋仲間』」


「寂しがり屋」の二人は、今日も手を繋いだまま勇気を出すから。


[この物語はフィクションです。病名等は全て架空の設定です]
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