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ずっと君は変わらない

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「グレン殿下!雨を、雨を降らせることが出来ましたの!」

私は、グレン殿下のいらっしゃる部屋に急ぎ足で戻った。

「この雨はエイリル嬢が降らせたのか・・・・!?」

「ええ。リベス殿下が御助言を下さり、降らせることが出来ましたの!しかし、何故急に願いが叶ったのかが分からなくて・・・・」

私が申し訳なさで俯《うつむ》くと、グレン殿下はいつもの優しい笑みを見せる。


「前も言ったが、エイリル嬢が全ての責任を背負う必要はない。それは、王族である私の役目だ」

「ゆっくりと前に進めばいい。急がずとも共に頑張れば良いだろう?」


グレン殿下が私の頭を優しく撫でる。

「グレン殿下、私ももっと自分の出来ることを探しますわ」

「疲れた時はいつでも私に甘えにおいで」

グレン殿下が私の頭を撫でていた手をそっと頬にずらす。

「私にはどれだけ甘えてもいいんだ。愛する者に甘えてもらえることほど幸せなことはないのだから」

グレン殿下の眼差しは、優しさに満ちていた。

「・・・・グレン殿下。私はグレン殿下に以前に会ったことを覚えていません。グレン殿下に愛してもらう資格など・・・・」


「エイリル嬢、昔と今の君は何も変わらない。ずっと優しくて強い「エイリル」のままだ」


グレン殿下が初めて私を「エイリル」と呼び捨てで呼んだ。

「本当は、もっとゆっくりとエイリルと距離を近づけたかったのだけれど。リベス殿下に嫉妬してしまったようだ」

「出来るなら、私が君の聖女の力を開花させたかった。エイリルを助けるのはいつでも私でありたい」


グレン殿下が私に顔を近づけ、寸前で止める。

街へ出掛けた日に口づけのフリをした光景を思い出し、顔に熱が集まる。



「嫉妬深い私は、次は「フリ」だけでは嫌だよ?」



そう仰って、いたずらっ子みたいにクスッと笑ったグレン殿下は幼い子供のように見えた。

その日は屋敷に戻った後も暫く頬の熱が取れず、私は窓の外をぼーっと見つめていた。


私の降らせた雨は夜になってもまだ降り続いていた。
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