12 / 24
学園への入学
しおりを挟む
学園に入学する当日の朝。
私は馬車で学園に向かっていた。
「ティアナお嬢様」
「どうしたの?ネルラ」
学園では寮での生活になる。
そのため学園の中には入れないが、寮では侍女を一人まで連れてきて良いことになっている。
その侍女にネルラは名乗り出てくれたのだ。
「最近、リアーナ様はティアナ様を敵視しているように感じます。お父上にご相談されなくてもよろしいのですか?」
「・・・お父様は私達姉妹の仲を気になどしていないわ」
「ティアナ様、私はいつでもティアナ様の味方ですわ」
ネルラはそう述べて、私の手をぎゅっと握ってくれる。
「学園では私はロイド様の婚約者として見定められる。ネルラには色々と苦労をかけるかもしれないわ」
「そんなことは気にしないで下さいませ。私はティアナ様の侍女ですよ?」
「ありがとう、ネルラ」
私はネルラの手を優しく握り返した。
学園の門を潜《くぐ》った私は寮の荷物の整理をネルラに頼み、入学式の会場へ向かった。
入学式が始まる。
新入生代表の挨拶は、勿論第一王子でいらっしゃるロイド様である。
新入生代表の挨拶を凛とした姿でされるロイド様に、他の新入生たちは釘付けだった。
「これから先の学園での生活を皆で有意義なものにしよう」
そう締め括《くく》ったロイド様に大きな拍手が起こった。
入学式が終わり、会場を後にしようとした私をロイド様が呼び止める。
「ティアナ、放課後の予定はあるか?美味しい紅茶を手に入れたんだ。よければ一緒に飲まないかい?」
入学式で集まった生徒たちが、私たちに注目している。
ロイド様に近づかないようにするといっても、ここで断ればフィオール家が王家の誘いを断ったと噂される。
「分かりましたわ。御一緒させて下さいませ」
私はそう述べて、入学式の会場を後にした。
一度、自室に戻った私をネルラが出迎えてくれる。
「入学式はどうでしたか?」
「無事に終わったわ。それとこの後、ロイド様にお茶会に誘われたの」
「では、精一杯お洒落をしないとですね」
「それは・・・」
今までの私なら喜んでお気に入りのドレスを着ただろう。
しかし、今はそんな気分にはなれなかった。
ネルラがドレスを選びながら、私に問うた。
「気が乗りませんか?・・・しかしティアナ様、お洒落は武器ですのよ。きっとティアナ様の気持ちを強くしてくれますわ」
そう述べて微笑むネルラに、私は笑ってしまった。
「そうね。では、今日は髪も結ってくれるかしら?」
「お任せ下さいませ」
準備を済ませた私は、お茶会の場所へ向かった。
私は馬車で学園に向かっていた。
「ティアナお嬢様」
「どうしたの?ネルラ」
学園では寮での生活になる。
そのため学園の中には入れないが、寮では侍女を一人まで連れてきて良いことになっている。
その侍女にネルラは名乗り出てくれたのだ。
「最近、リアーナ様はティアナ様を敵視しているように感じます。お父上にご相談されなくてもよろしいのですか?」
「・・・お父様は私達姉妹の仲を気になどしていないわ」
「ティアナ様、私はいつでもティアナ様の味方ですわ」
ネルラはそう述べて、私の手をぎゅっと握ってくれる。
「学園では私はロイド様の婚約者として見定められる。ネルラには色々と苦労をかけるかもしれないわ」
「そんなことは気にしないで下さいませ。私はティアナ様の侍女ですよ?」
「ありがとう、ネルラ」
私はネルラの手を優しく握り返した。
学園の門を潜《くぐ》った私は寮の荷物の整理をネルラに頼み、入学式の会場へ向かった。
入学式が始まる。
新入生代表の挨拶は、勿論第一王子でいらっしゃるロイド様である。
新入生代表の挨拶を凛とした姿でされるロイド様に、他の新入生たちは釘付けだった。
「これから先の学園での生活を皆で有意義なものにしよう」
そう締め括《くく》ったロイド様に大きな拍手が起こった。
入学式が終わり、会場を後にしようとした私をロイド様が呼び止める。
「ティアナ、放課後の予定はあるか?美味しい紅茶を手に入れたんだ。よければ一緒に飲まないかい?」
入学式で集まった生徒たちが、私たちに注目している。
ロイド様に近づかないようにするといっても、ここで断ればフィオール家が王家の誘いを断ったと噂される。
「分かりましたわ。御一緒させて下さいませ」
私はそう述べて、入学式の会場を後にした。
一度、自室に戻った私をネルラが出迎えてくれる。
「入学式はどうでしたか?」
「無事に終わったわ。それとこの後、ロイド様にお茶会に誘われたの」
「では、精一杯お洒落をしないとですね」
「それは・・・」
今までの私なら喜んでお気に入りのドレスを着ただろう。
しかし、今はそんな気分にはなれなかった。
ネルラがドレスを選びながら、私に問うた。
「気が乗りませんか?・・・しかしティアナ様、お洒落は武器ですのよ。きっとティアナ様の気持ちを強くしてくれますわ」
そう述べて微笑むネルラに、私は笑ってしまった。
「そうね。では、今日は髪も結ってくれるかしら?」
「お任せ下さいませ」
準備を済ませた私は、お茶会の場所へ向かった。
340
お気に入りに追加
1,282
あなたにおすすめの小説
いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。
始まりはよくある婚約破棄のように
メカ喜楽直人
恋愛
「ミリア・ファネス公爵令嬢! 婚約者として10年も長きに渡り傍にいたが、もう我慢ならない! 父上に何度も相談した。母上からも考え直せと言われた。しかし、僕はもう決めたんだ。ミリア、キミとの婚約は今日で終わりだ!」
学園の卒業パーティで、第二王子がその婚約者の名前を呼んで叫び、周囲は固唾を呑んでその成り行きを見守った。
ポンコツ王子から一方的な溺愛を受ける真面目令嬢が涙目になりながらも立ち向い、けれども少しずつ絆されていくお話。
第一章「婚約者編」
第二章「お見合い編(過去)」
第三章「結婚編」
第四章「出産・育児編」
第五章「ミリアの知らないオレファンの過去編」連載開始
願いの代償
らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。
公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。
唐突に思う。
どうして頑張っているのか。
どうして生きていたいのか。
もう、いいのではないだろうか。
メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。
*ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。
※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31
第二王子妃から退きますわ。せいぜい仲良くなさってくださいね
ネコ
恋愛
公爵家令嬢セシリアは、第二王子リオンに求婚され婚約まで済ませたが、なぜかいつも傍にいる女性従者が不気味だった。「これは王族の信頼の証」と言うリオンだが、実際はふたりが愛人関係なのでは? と噂が広まっている。ある宴でリオンは公衆の面前でセシリアを貶め、女性従者を擁護。もう我慢しません。王子妃なんてこちらから願い下げです。あとはご勝手に。
大好きな旦那様が愛人を連れて帰還したので離縁を願い出ました
ネコ
恋愛
戦地に赴いていた侯爵令息の夫・ロウエルが、討伐成功の凱旋と共に“恩人の娘”を実質的な愛人として連れて帰ってきた。彼女の手当てが大事だからと、わたしの存在など空気同然。だが、見て見ぬふりをするのももう終わり。愛していたからこそ尽くしたけれど、報われないのなら仕方ない。では早速、離縁手続きをお願いしましょうか。
好きな人と友人が付き合い始め、しかも嫌われたのですが
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ナターシャは以前から恋の相談をしていた友人が、自分の想い人ディーンと秘かに付き合うようになっていてショックを受ける。しかし諦めて二人の恋を応援しようと決める。だがディーンから「二度と僕達に話しかけないでくれ」とまで言われ、嫌われていたことにまたまたショック。どうしてこんなに嫌われてしまったのか?卒業パーティーのパートナーも決まっていないし、どうしたらいいの?
捨てた私をもう一度拾うおつもりですか?
ミィタソ
恋愛
「みんな聞いてくれ! 今日をもって、エルザ・ローグアシュタルとの婚約を破棄する! そして、その妹——アイリス・ローグアシュタルと正式に婚約することを決めた! 今日という祝いの日に、みんなに伝えることができ、嬉しく思う……」
ローグアシュタル公爵家の長女――エルザは、マクーン・ザルカンド王子の誕生日記念パーティーで婚約破棄を言い渡される。
それどころか、王子の横には舌を出して笑うエルザの妹――アイリスの姿が。
傷心を癒すため、父親の勧めで隣国へ行くのだが……
謹んで婚約者候補を辞退いたします
四折 柊
恋愛
公爵令嬢ブリジットは王太子ヴィンセントの婚約者候補の三人いるうちの一人だ。すでに他の二人はお試し期間を経て婚約者候補を辞退している。ヴィンセントは完璧主義で頭が古いタイプなので一緒になれば気苦労が多そうで将来を考えられないからだそうだ。ブリジットは彼と親しくなるための努力をしたが報われず婚約者候補を辞退した。ところがその後ヴィンセントが声をかけて来るようになって……。(えっ?今になって?)傲慢不遜な王太子と実は心の中では口の悪い公爵令嬢のくっつかないお話。全3話。暇つぶしに流し読んで頂ければ幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる