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願うはみんなの幸せ
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それからも、ロイド様は度々我がフィオール家を訪れた。
その度にリアーナが相手をして、気まぐれのように帰り際に私の顔を見ていく。
「ティアナ様、本日はどのような髪型にいたしますか?」
ネルラが私の髪を櫛《くし》でとかしながら、そう聞いた。
「ああ、ええっと・・・今日は、下ろしたままでいいわ」
「あら、お洒落をしなくてよろしいのですか?ロイド殿下がいらっしゃるかもしれませんよ?」
「からかわないで頂戴」
私は頬を膨らませた。
「・・・しかし、ロイド様は大人びていらっしゃいますね」
ネルラが何故か悲しそうにそう述べた。
「ネルラ、何かあったの?」
「あ、いえ・・・。侍女達の間では有名な話なのですが、王妃様・・・つまり、ロイド様のお母様がとても厳しい人でロイド様はその期待に応えるように大人びていったと」
王妃様は身体が弱く、王族以外は謁見《えっけん》することすらを許されていない。
「噂では王妃様とロイド様の能力は同じらしく、王妃様はロイド様に特別期待されていらっしゃるとか」
王族の能力は、公開されていない。
理由は他国に漏れれば、攻めやすくなってしまうからだ。
なので今までの人生でも、私はロイド様の能力を知らない。
ただし、能力は血筋に大きく関係するので、ネルラの言う通り王妃様とロイド様の能力が同じであっても不思議ではないだろう。
ロイド様は、年齢と比べるととても大人びていらっしゃる。
それは、王族としては誇らしいことだろう。
しかし、その分誰にも弱みを見せられないということだ。
「ねぇ、ネルラ」
「ティアナ様、どうされましたか?」
「ロイド様は、幸せなのかしら・・・?」
前回の人生も、その前の人生も、私はロイド様に愛されたかった。
そして、ロイド様を愛して、幸せにしてあげたかった。
「ティアナ様。ロイド様が幸せでいらっしゃるかはロイド様しか分かりませんわ。しかし、ティアナ様がロイド様の幸せを願うのは自由です」
「ティアナ様が大人っぽくなられてから、本当に笑顔が増えました。しかし、何か悩みを抱えていらっしゃるのかあまり夜も眠れていらっしゃらない」
「どうかティアナ様がロイド様の幸せを願うように、私にもティアナ様の幸せを願わせて下さいませ」
ネルラが優しく微笑んだ。
前回の人生では、気づかなかった周りの人の優しさが今なら分かる。
「ありがとう、ネルラ。では、私もネルラの幸せを願ってもいいかしら?」
「ティアナ様に願って頂けるなら、絶対に幸せにならないとですね」
ネルラはそう述べて、私の髪を優しく撫でた。
その度にリアーナが相手をして、気まぐれのように帰り際に私の顔を見ていく。
「ティアナ様、本日はどのような髪型にいたしますか?」
ネルラが私の髪を櫛《くし》でとかしながら、そう聞いた。
「ああ、ええっと・・・今日は、下ろしたままでいいわ」
「あら、お洒落をしなくてよろしいのですか?ロイド殿下がいらっしゃるかもしれませんよ?」
「からかわないで頂戴」
私は頬を膨らませた。
「・・・しかし、ロイド様は大人びていらっしゃいますね」
ネルラが何故か悲しそうにそう述べた。
「ネルラ、何かあったの?」
「あ、いえ・・・。侍女達の間では有名な話なのですが、王妃様・・・つまり、ロイド様のお母様がとても厳しい人でロイド様はその期待に応えるように大人びていったと」
王妃様は身体が弱く、王族以外は謁見《えっけん》することすらを許されていない。
「噂では王妃様とロイド様の能力は同じらしく、王妃様はロイド様に特別期待されていらっしゃるとか」
王族の能力は、公開されていない。
理由は他国に漏れれば、攻めやすくなってしまうからだ。
なので今までの人生でも、私はロイド様の能力を知らない。
ただし、能力は血筋に大きく関係するので、ネルラの言う通り王妃様とロイド様の能力が同じであっても不思議ではないだろう。
ロイド様は、年齢と比べるととても大人びていらっしゃる。
それは、王族としては誇らしいことだろう。
しかし、その分誰にも弱みを見せられないということだ。
「ねぇ、ネルラ」
「ティアナ様、どうされましたか?」
「ロイド様は、幸せなのかしら・・・?」
前回の人生も、その前の人生も、私はロイド様に愛されたかった。
そして、ロイド様を愛して、幸せにしてあげたかった。
「ティアナ様。ロイド様が幸せでいらっしゃるかはロイド様しか分かりませんわ。しかし、ティアナ様がロイド様の幸せを願うのは自由です」
「ティアナ様が大人っぽくなられてから、本当に笑顔が増えました。しかし、何か悩みを抱えていらっしゃるのかあまり夜も眠れていらっしゃらない」
「どうかティアナ様がロイド様の幸せを願うように、私にもティアナ様の幸せを願わせて下さいませ」
ネルラが優しく微笑んだ。
前回の人生では、気づかなかった周りの人の優しさが今なら分かる。
「ありがとう、ネルラ。では、私もネルラの幸せを願ってもいいかしら?」
「ティアナ様に願って頂けるなら、絶対に幸せにならないとですね」
ネルラはそう述べて、私の髪を優しく撫でた。
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