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《愛を知らない公爵令嬢は、二人の王子に溺愛される》

フレアの宣言

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数日後、私はロイ殿下を呼び出した。

「婚約者を決めましたわ」

私はそう宣言した。

「まだ一年経ってないぞ」

「はい」

私は声が震えるのをなんとか抑えた。


「私はアルベルト殿下を愛しています。ロイ殿下とは婚約出来ません」


ここで泣くのは最低で、卑怯だ。

だから、私ははっきりと言い放った。

「そうか」

ロイ殿下はあっさりと私の宣言を受け止めた。

「詳しくは聞かないのですか?」

「なぁフレア。俺はずっとフレアのことを見てたんだ。フレアが今でも薔薇が好きだと聞いた時から、負け試合なことは分かっていた」

「知っていたの・・・」

「幼い頃、アルベルトからもらった薔薇を押し花にして俺に自慢してきたんだ」

「じゃあ、なんで薔薇園に連れて行ったりなんか・・・!」

ロイ殿下は優しく微笑んだ。


「愛しい人が喜ぶことをしたいものだろう?愛というものは」

「俺は約束通り、次の婚約者に目を向ける。フレアのことはきっぱり諦めるよ」


そう仰って、ロイ殿下が私の前に立つ。

「フレア、幸せになってくれよ」

「私もロイ様の幸せを願っております」

ロイ殿下は部屋を出て行った。

この婚約者選びを受けた時から、どちらかを傷つけることは分かっていた。

それでも、この申し出を受けたのだ。

私が窓の外を見上げると、外は雨が降っていた。

雲の隙間から太陽が見え隠れしている。

もうすぐ雨も上がるだろう。

私は、アルベルト殿下の元へ向かった。

私は、アルベルト殿下のいらっしゃる部屋をノックした。

「どうぞ」

私は恐る恐る扉を開ける。

「フレア、どうしたの?」


「婚約を結びに参りました」


私はアルベルト殿下の前に跪《ひざまず》く。


「アルベルト殿下、愛しています。私と婚約してくださいますか?」


私は怖くて顔を上げることが出来なかった。

「フレア、それは嘘じゃない?」

「はい」

「そう、じゃあ顔を上げて」

私はゆっくりと顔を上げた。

その瞬間、アルベルト殿下が私に口づけをした。

そっと、アルベルト殿下が顔を離す。


「フレア、愛してるよ。私の愛しい人」

「ずっとずっと君の婚約者になりたかった。絶対に君を幸せにすると誓おう」

「私と結婚してくれますか?」


「はい」


私が頷くと、アルベルト殿下が私を抱きしめる。

「フレア、もう一生離さない。愛しているよ」


「私もアルベルト様を愛していますわ」


愛を知らないと思っていた。

恋なんて必要ないと思っていた。

でも、貴方に出会い幸せを知った。

貴方に愛を返したい。

貴方に幸せを返したい。

窓の外は雨が上がり、虹がかかっていた。


「アルベルト様、貴方の笑顔が私にとっての虹なのです」

「貴方と一緒なら、雨も怖くない」

「愛しています」


一緒に空に虹をかけましょう?

そして、一緒に空を見上げさせて下さい。
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