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《愛を知らない公爵令嬢は、二人の王子に溺愛される》

愛を知りたい

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婚約者選びが始まってから半年が経った。

毎月ロイ殿下と会う日は、ロイ殿下の希望で街の色々な場所を回ることになっていた。

「フレア、来月は行きたいところは決まってるか?」

「実は最近スコーンにハマっていて・・・スコーンの人気のお店に行きたいです」

「じゃあ、調べておく」

ロイ殿下とのお出かけはとても楽しくて、でも、これが恋なのかは分からなかった。

「フレア、今日も可愛い」

ロイ殿下はお出掛けのたびに甘い言葉を囁くようになった。

前はもっと子供っぽかったのに、急に大人になっていく様だった。

「フレアが甘えられるくらい、俺も大人になりたい。フレア、俺を頼ってくれ」

そう仰りながら微笑む姿は、小さい頃、アルベルト殿下と自分を比べ泣いているロイ殿下の面影は無かった。

「ロイ様は大人になりましたね」

私はつい口からそう溢れてしまった。

「フレアに釣り合う男になりたいからな。フレアは恋をしたことはないのか?」

「・・・ありませんわ」

私は俯きながらそう答えた。

公爵令嬢として生まれ、愛のある結婚より政略結婚が身近にある世界だった。

「じゃあ、俺を愛せばいい。フレア、俺と結婚してくれ」

人を愛するとはどういうことだろう。

前に侍女のリナが言っていた。

「愛された分、愛を返したい」と思うのが恋だと。

今まで愛されることすら知らなかった私に、人を愛することなど出来るのだろうか。

そんな不安が胸の中をよぎった。
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