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《愛を知らない公爵令嬢は、二人の王子に溺愛される》
アルベルト殿下とデート
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次の週末、アルベルト殿下と出かける約束をした日。
「フレア、今日も美しいね」
アルベルト殿下は相変わらず涼しい顔で顔が赤くなる様なことを平気で仰る。
「フレア、ロイとは植物園に行ったらしいね。楽しかった?」
「はい・・・」
私がロイ殿下の告白を思い出し俯くと、アルベルト殿下は顎に手を当てて頷いた。
「フレア、ロイを思い出して顔を赤くしないでくれ。今すぐにフレアの頭を私でいっぱいにしたくなる」
アルベルト殿下はそう仰って、私にゆっくりと近づいてくる。
「あ、あの・・・!」
「大丈夫、フレアが私を好きになるまでは我慢するよ。でも、これで少しは私で頭がいっぱいになったかな」
アルベルト殿下がクスクスと笑った。
「からかわないで下さい!」
「フレアが可愛すぎるのがいけないんだよ」
そうアルベルト殿下は仰って、私に手を差し出した。
「今日は私のことだけ考えてくれ・・・・なんて、どうかな?」
アルベルト殿下はいつも大人びているが、今日は何故か年齢相応に見えた気がした。
アルベルト殿下は私を王立図書館へ連れて行って下さった。
「フレアは昔から本が好きだろう?絶対に喜ぶと思ったんだ」
「嬉しいです!ありがとうございます!」
私が好きな本を探し、椅子に座り読んでいるのを、アルベルト殿下が隣でずっと見つめている。
「あの・・・そんなに見られると恥ずかしいです・・・」
「そう?じゃあ、私のことも仕返しに見つめていいよ?」
アルベルト殿下が首を傾げて、私の顔を覗き込んだ。
私は本で顔を少し隠しながら、アルベルト殿下と目を合わせた。
時が止まった様に感じる程、周りの音が聞こえなくなった。
「フレア・・・」
アルベルト殿下が私に顔を近づける。
私はバランスを崩し、椅子から落ちそうになってしまった。
「危ないよ」
アルベルト殿下が私の腰に手を当てて、支えてくださる。
「申し訳ありません、アルベルト様の顔が近くて・・・その・・・」
「動揺したの?」
「はい・・・」
何故かアルベルト殿下が満足そうな顔で微笑んだ。
「ごめんね、からかって。もう邪魔はしないから、ゆっくり本を読んでいいよ」
そう仰ってアルベルト殿下も本を読み始めた。
日が傾いてきた頃、アルベルト殿下が馬車で屋敷まで送って下さった。
「フレア、読書は楽しめたかな?」
「はい、ありがとうございます」
「次に会うのは、学園かな?そろそろ休暇も終わる頃だしね。フレアはロイと同じクラスだったよね?」
「はい」
「ロイが羨ましいな。フレアもいつでも私に会いにきていいからね」
「ありがとうございます」
私はアルベルト殿下の馬車を見送った後、屋敷に入った。
「フレア、今日も美しいね」
アルベルト殿下は相変わらず涼しい顔で顔が赤くなる様なことを平気で仰る。
「フレア、ロイとは植物園に行ったらしいね。楽しかった?」
「はい・・・」
私がロイ殿下の告白を思い出し俯くと、アルベルト殿下は顎に手を当てて頷いた。
「フレア、ロイを思い出して顔を赤くしないでくれ。今すぐにフレアの頭を私でいっぱいにしたくなる」
アルベルト殿下はそう仰って、私にゆっくりと近づいてくる。
「あ、あの・・・!」
「大丈夫、フレアが私を好きになるまでは我慢するよ。でも、これで少しは私で頭がいっぱいになったかな」
アルベルト殿下がクスクスと笑った。
「からかわないで下さい!」
「フレアが可愛すぎるのがいけないんだよ」
そうアルベルト殿下は仰って、私に手を差し出した。
「今日は私のことだけ考えてくれ・・・・なんて、どうかな?」
アルベルト殿下はいつも大人びているが、今日は何故か年齢相応に見えた気がした。
アルベルト殿下は私を王立図書館へ連れて行って下さった。
「フレアは昔から本が好きだろう?絶対に喜ぶと思ったんだ」
「嬉しいです!ありがとうございます!」
私が好きな本を探し、椅子に座り読んでいるのを、アルベルト殿下が隣でずっと見つめている。
「あの・・・そんなに見られると恥ずかしいです・・・」
「そう?じゃあ、私のことも仕返しに見つめていいよ?」
アルベルト殿下が首を傾げて、私の顔を覗き込んだ。
私は本で顔を少し隠しながら、アルベルト殿下と目を合わせた。
時が止まった様に感じる程、周りの音が聞こえなくなった。
「フレア・・・」
アルベルト殿下が私に顔を近づける。
私はバランスを崩し、椅子から落ちそうになってしまった。
「危ないよ」
アルベルト殿下が私の腰に手を当てて、支えてくださる。
「申し訳ありません、アルベルト様の顔が近くて・・・その・・・」
「動揺したの?」
「はい・・・」
何故かアルベルト殿下が満足そうな顔で微笑んだ。
「ごめんね、からかって。もう邪魔はしないから、ゆっくり本を読んでいいよ」
そう仰ってアルベルト殿下も本を読み始めた。
日が傾いてきた頃、アルベルト殿下が馬車で屋敷まで送って下さった。
「フレア、読書は楽しめたかな?」
「はい、ありがとうございます」
「次に会うのは、学園かな?そろそろ休暇も終わる頃だしね。フレアはロイと同じクラスだったよね?」
「はい」
「ロイが羨ましいな。フレアもいつでも私に会いにきていいからね」
「ありがとうございます」
私はアルベルト殿下の馬車を見送った後、屋敷に入った。
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