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32.秘密を明かす1

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その日の夜、私は何故かすぐに眠れなくてベッドに腰掛けながら月に照らされた夜空を眺めていた。



「久しぶり、マリーナ」



声のする方へ振り向くとフリクが立っていた。

「フリク……!」

「どうやら王子様が現れたみたいだね」

「そうですわね、まさにクラヴィスは王子様ですわ。しかし……」

「どうしたの?」



「私はお姫様ではありませんもの。まだ噂の悪女ですわ」



「学園での噂は変わってきただろう? それにマリーナが通うのは影響力のある貴族の通う学園だ。学園での噂が変われば、時期に他の場所にまで良い噂も広がって行くだろう」

「ええ。だからこれからも頑張るだけですわ」

その時、急にフリクが「あははっ」と吹き出すように笑った。

「フリク?」



「いや、マリーナ自身が婚約が嫌ということは全くないんだなと思って。それが全てじゃないの?」

「きっと相手が欲しいのは、マリーナの本心だけのはずだ」



「……フリク、貴方はいつだって私に助言……いいえ、優しい言葉をくれますわ。貴方は私に無理難題を言いながらも、結局はいつだって優しい。貴方は一体何を考えているのですか?」

「マリーナ、君が噂を変えて、国民に好かれるのはきっともうすぐかもしれない。王女が婚約を結べば、それだけで注目を浴びる。あとは君の努力次第だろう」

フリクの表情が月明かりの逆光でよく見えない。




「俺は、もうすぐ君に……真実を言わなければいけない」




「え……?」




「ねぇ、マリーナ。沢山の人に好かれていく君を見たかったのは、一体誰なんだろうね」

「どういう意味ですの……?」

フリクの表情は見えないのに、何故かフリクが泣きそうに見えた。





「私は君を……」





その後に聞こえた言葉が嘘だと思いたかった。

聞き間違いだと思いたかった。









「ずっと恨んでいたはずなのに」








そして、想像もしないような言葉をフリクは続けて述べるのだ。










「マリーナ、私は君の願いを叶えることは出来ない」









謎が解け始める音がする。
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