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第十三章
消失2
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「おい! 今まで何してたんだよ! お前今何処にいんだよ!」
ようやく連絡がついた男に友人は捲し立てる。
「お前大丈夫なんだろうな? おい! 何か言えよ!」
男は弱々しく答える。
「いなくなったんだ……。俺の目の前からいなくなったんだよ。なあ、どうすればいい? 何処探したらいいんだよ? なあ、教えてくれよ……。助けてくれよ……」
「いなくなったってなんだよ! おい、説明しろ! 何があった?」
「俺達はひとつになったんだ。確かにひとつに。俺は言われた通り、なるべく無駄にしなかったんだよ。ちゃんと食べたんだよ。そして本当にひとつになったんだ。でも、しばらくしたら、みえなくなったんだ。俺の前から消えたんだよ。今でも隣にいるみたいなのに。温もりも感じるのに。なあ、これも消えちゃうのかよ? どうすればいいんだよ? 何処探せばいいんだよ? 教えてくれよ!」
友人は沈黙の後、最悪の結果を振り払おうとするように声を絞り出した。
「まさか……。お前、喰ったのか……?」
男は答える。
「ああ、食べたよ。それが望みだったし、俺達がひとつになるためにね」
友人は無力な自分を呪った。あの時力ずくでも止めるべきだったと、後悔の念に焼かれるに身を任せるように黙りこむ。
「俺は探しに行くよ。もう一度魅てもらうために行くよ」
そういうと、男は電話を切った。
友人は止めることはできなかった。ただ男の声がいつまでも響いていた……。
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