15 / 22
第十一章
捌く1
しおりを挟む
男は見下ろしていた。もの言わぬ身体になった女のことを。ただ見開いたままの眼だけが、男を凝視している。例え男が顔をそらしても、その眼だけは男の眼に焼き付いて離れない。
男にはやらなければならないことがある。女の願いを叶えなければ。女とひとつにならなければ。そして、女と永遠を共有しなければ……。
男は女だったものに毛布を掛ける。まるで、体温を失ったそれを気遣うように。
男はキッチンへ向かう。足りないものがあれば買いに行かなければならないから。
女は日頃から料理をしていたようで、一通りはそろっていた。しかし、それは普通の料理の為のものであり、もっと大きな包丁や他にも色々必要だと男は感じた。
「ごめん。俺は普段あまり料理しないから、君を上手く食べられるか不安だけど、精一杯料理するよ」
男は女に話しかけると服を着て買い出しの準備を始めた。
男は久しぶりに外に出たように感じた。しかし、今人込みの中を歩いていても、いつもと違って漫然と歩いてはいなかった。何故なら、男は使命感に突き動かされていたら。
男は目当てのホームセンターに着くと、最初に目についた店員に声をかけた。
「一番大きな包丁? みたいなのありますか? マグロを捌くみたいな」
店員は丁寧に答えてくれた。
「申し訳ありません。うちでは御客様の御求めの大きさはないですね。でも一応キッチン用品コーナーにご案内しますね。こちらにどうぞ」
男は店員の後についていく。
「こちらです。ごゆっくりどうぞ」
店員はそう言い残すと、作業途中の自分の持ち場に戻った。
男は包丁の陳列ケースの前に行き、じっと眺める。
「そうだよな。やっぱり専門店じゃないと無いか」
独り言を呟き、次は日曜大工コーナーに向かう。コーナーをゆっくりと見て回り、ノコギリが陳列されてる場所で立ち止まる。「やっぱりこれかな」
男は大きめのノコギリと小さめのノコギリを手に持ち、次は鉈の前に行く。色々手に取り、振ってみて、自分にちょうど良い大きさと重さの鉈を選ぶ。
「大まかなものはこれで足りるだろう。あとは厚手の包丁が欲しいかな。何か台所のやつだと不安だし。ねえ、君もそう思うろ?」
男は目の前から離れない女の眼に話しかけた。
男にはやらなければならないことがある。女の願いを叶えなければ。女とひとつにならなければ。そして、女と永遠を共有しなければ……。
男は女だったものに毛布を掛ける。まるで、体温を失ったそれを気遣うように。
男はキッチンへ向かう。足りないものがあれば買いに行かなければならないから。
女は日頃から料理をしていたようで、一通りはそろっていた。しかし、それは普通の料理の為のものであり、もっと大きな包丁や他にも色々必要だと男は感じた。
「ごめん。俺は普段あまり料理しないから、君を上手く食べられるか不安だけど、精一杯料理するよ」
男は女に話しかけると服を着て買い出しの準備を始めた。
男は久しぶりに外に出たように感じた。しかし、今人込みの中を歩いていても、いつもと違って漫然と歩いてはいなかった。何故なら、男は使命感に突き動かされていたら。
男は目当てのホームセンターに着くと、最初に目についた店員に声をかけた。
「一番大きな包丁? みたいなのありますか? マグロを捌くみたいな」
店員は丁寧に答えてくれた。
「申し訳ありません。うちでは御客様の御求めの大きさはないですね。でも一応キッチン用品コーナーにご案内しますね。こちらにどうぞ」
男は店員の後についていく。
「こちらです。ごゆっくりどうぞ」
店員はそう言い残すと、作業途中の自分の持ち場に戻った。
男は包丁の陳列ケースの前に行き、じっと眺める。
「そうだよな。やっぱり専門店じゃないと無いか」
独り言を呟き、次は日曜大工コーナーに向かう。コーナーをゆっくりと見て回り、ノコギリが陳列されてる場所で立ち止まる。「やっぱりこれかな」
男は大きめのノコギリと小さめのノコギリを手に持ち、次は鉈の前に行く。色々手に取り、振ってみて、自分にちょうど良い大きさと重さの鉈を選ぶ。
「大まかなものはこれで足りるだろう。あとは厚手の包丁が欲しいかな。何か台所のやつだと不安だし。ねえ、君もそう思うろ?」
男は目の前から離れない女の眼に話しかけた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説



とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる