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足軽組頭な軍師

軍師、ダンジョンに行く

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「修行かぁ……これで弱いと言われてるってなると、きっと俺よりスタータスが高いんだな」

ならもっと修業(レベリング)しなければならない。
この世界には茶道といったものは無いからなぁ……。

「……そう言えば、この世界は剣と魔法の世界だったな。なら、ダンジョンはどうだ?」

ダンジョン。RPGお約束のエリア、地下に限らず森や塔など、様々な場所がある。
あそこならダンジョン攻略も修行みたいなもんだけど、それじゃあ面白くない。

「どうせなら勇者が必ず通りそうなダンジョンを探して修行がてら神話の剣やら鎧やらを見つけてぶっ壊すのもいいかもしれないな」

魔王の敵は勇者だ。勇者は魔王の圧倒的な力に対抗するために聖剣や神話の鎧とか手に入れてくるはずだ。
それを邪魔……というよりお釈迦にしてしまえば敵軍の兵力ががくりと下がるだろう。
当分の目標はそれだな。次の評定(ひょうじょう)は3ヵ月後だ。できるだけ早くダンジョンを攻略して強くならないと、足軽組頭から卒業するのは難しいだろう。

「元は出世何てする気はないけど、無敵にするには仕方ない事だ!」

無敵にすると決めたんだ。ここで躓いても仕方ない。まずは聖剣があるっぽいダンジョンを見つけて攻略だ!

「よし、探すぞ!」



魔王城の書斎。
ダンジョンの情報っぽい書類を読み漁り、未だ攻略されていない遺跡やら洞窟やらを探す。
その時、一つ気になる所があった。

「【剣創世の遺跡】か……未攻略及び、未知の力を感知ね……バリバリ勇者とか来そうだな」

場所は……スティリア大陸南部の森か……この森は親から良く聞かされていたな。
何と入った者は一人も帰ってこないという魔の森と遺跡があるだとか。
スティリア大陸の国々は中立を保っており、俺のような奴がダンジョン攻略を目指しても特に問題ないらしい。
しかし、難易度がやたらと高い。勇者が入るEXダンジョンみたいなもんか?でも攻略の対象に入りそうだな。良し、なら先に俺が攻略して、聖剣や魔剣があったら手に入れてこよう。これで勇者を持つ勢力は困るはずだからな。

「そうと決まれば準備だ!」



「此処が【剣創世の遺跡】か…割と大きいな」

ここまで来るのはそんなに苦労しなかった。サイサリス様に修行目的でダンジョンに行くと言ったらすんなりこの場所に飛ばしてくれた。ありがたいなぁ。俺は瞬間移動みたいな魔法は習得してないから安心した。帰りはどうするって?心配無用、そのためのアイテムを持たせてくれたから容易に帰れるという事だ。

先ずは森に入る。中はかなり複雑になっており、辺りには冒険者の遺体がゴロゴロと転がっている。
死体を見たところ、大半は牙などで噛みつかれた痕がある。多分獣系の魔物が徘徊してるよな。

「さすがに登用されて即お陀仏は御免だ。ソロでも攻略には全力で取り掛かるか」

前世の方じゃマルチプレイで盛り上がったくらいダンジョン攻略は楽しかったからな。まぁその後ガチ勢に叩かれて楽しめなくなったけど。
まぁそんなことはどうでもいい。攻略には索敵用の魔法が必要だからな。

「……【エコー・サーチ】!」

これは風属性魔法の一種で、潜水艦のソナーみたいなもの。
反応したら方向も分かり、戦闘も避けられる優れものだ。

「周囲に俺以外の物音がいくつかあるな。この感じ、魔物だな。避けるか」

雑魚は無視してエリアボスを倒すに限る。その方が経験値も多く貰える。今の実力でどこまでやりあえるか分からないけど。

「ここも無視、ここも、ここも、ここも無視っと」

そう言いながらどんどん森の中を進んでいく、特に強そうな魔物にも遭遇せず、遺跡まで近づく。
そして遺跡の入り口に辿り着く。

「意外と避けて通れる道だったな。恐らく人が戻らないのはダンジョンの魔物に苦戦して逃げ切れなかったことであんな噂が流れたんだな」

呆気なく近くに来れたと思って近づくと地揺れがした。

「な、なんだ!?エリアボスか!?」

ドスンと遺跡入り口から鳥のような頭にひょろい胴体に鳥の翼と黒い大きな片手剣を持った怪物が出て来たのだった。

「エリアボス……【黒剣のガーゴイル】か……不足はない!」

鉄球を構え、じりじりと距離を保ちながら出方を伺う。

「いくぞ……!ソロでエリアボス攻略だ!」
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