上 下
1 / 20
始まりの軍師

軍師、転生する

しおりを挟む
「あー終わった……」

一人の男性がコントローラーを床に置き、溜息を吐く。
画面には「天下統一」と文字が表示され、何人かのキャラクターが映っていた。

「やってやったよ「黒田如水」さんよ。アンタで天下統一すんのめんどいわ~」

彼はかれこれ数時間かけてそのキャラクターを操作し、見事クリアしたのだった。

「よし、今日はここまでにして、次はさらに難易度が高い「今川義元」をプレイしますかね」

そう言って彼は就寝する。その際少しだけ頭痛がしたが、それ以外は何事もなく寝たのであった。
ここまでは彼の前世だ。そう、今は―――――




「お、俺は死んじゃったんですか!?」
「うん、残念ながらだけどね」

おいおい、どういう意味だよ!その頭痛で癌が発症って意味わかんねぇよ。
今俺は死後の世界にいて、神様と会話していた。隣にいる今にでも砕け散りそうな骸骨は死神らしい。俺の魂を間違った方法で刈り取ってしまった為、罰を受けただとか。

「そこで、君を別の世界で転生させるという事になった」
「い、異世界転生ですか?」
「そうだ。ほら、アニメやネットの小説とかによくありがちの」

確かにありがたいけど、先ずは死神の謝罪を聞きたいな。

「だが私は謝らない」
「気にしない方がいい。話をつづけるよ」
「アッハイ」
「間違った回収の仕方は違反のようなものだ。その謝罪も含めて、君を異世界に転生させる。まぁ君を別の世界に転生させることでボクに利があるからね。素直に第二の人生を歩んでほしい」

へぇ、転生にも損得があるのか……

「でもこちらの都合ばかり押し付けてもなんだし、君の願いを聞こう」
「願い?」
「うん。これから君はゲームでよくある剣と魔法の世界に転生する。そこで何も能力なしで転生なんて可哀そうすぎるでしょ?」
「そうだなぁ」

だとはいえ、俺はそんなのは考えてない。特に無双とか絶対命狙われるし、ハーレムなんて炎上ものも大概だしなぁ。
でもどうしてもという事がある。望まなくても戦いの運命的なものがあるならば、能力は大変ながら必要だ。

「なら成長速度増加はありますか?」
「うん?それなら造作もないけど、ならおすすめの取得経験値600倍はどうだい?」

何そのチート、やべぇな。

「……後二つくらいは叶えられるけど、どうする?」

え、後二つ願いを聞いてくれるの!?なんて太っ腹な神様なんだ!信仰されまくってんだろうな…。

「そうですね。なら行った先の言葉とか分かるように」
「それは問題ないよ、それは転生の特典、いやゲームで言う初心者セットみたいなもんかな?」
「なら、クリエイト的な能力は?」
「勿論与えよう」

良いの!?いつかは神に反逆しそうなら与えなければ安全なのに……!?

「なーに。創造能力ぐらいあげても問題ないよ。別世界の神様なんて結構そう言った能力を授けまくってたよ」

ふ、太っ腹すぎる……!いや最早大盤振る舞いだ。

「では後一つ……生まれた先は小さい村でお願いします」
「ほう、何故だい?」
「俺は、前世で家族を失って、一人でした。ゲームをやっても何も心の隙間は埋まらず、天涯孤独でした。貴族とか勝ち組生まれ何て望みません」
「これはこれは変わった人だ……余計に興味を持つじゃないか。いいよ。せめてその第二の人生で家族と平和に暮らすがいい」
「ありがとうございます!」

俺は神様にお辞儀する。神様は「礼はいいよ」と言って少し照れる。

「さて、そろそろ移動の時間だ。準備はいいかい?」
「はい。もらった命、大事にします!」
「では、達者でね」

そこで俺の意識は途絶えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

メイド侯爵令嬢

みこと
ファンタジー
侯爵令嬢であるローズ・シュナイダーには前世の記憶がある。 伝説のスーパーメイド、キャロル・ヴァネッサである。 そう、彼女は転生者なのである。 侯爵令嬢である彼女がなりたいもの。 もちろん「メイド」である。 しかし、侯爵令嬢というのは身分的にメイドというにはいささか高すぎる。 ローズはメイドを続けられるのか? その頃、周辺諸国では不穏な動きが...

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません

青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。 だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。 女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。 途方に暮れる主人公たち。 だが、たった一つの救いがあった。 三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。 右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。 圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。 双方の利害が一致した。 ※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

処理中です...