アンロック・デスゲート

プロローグ

『君はどうしたい？』



　不意に聴こえた声に辺りを見回す。

　誰も居なければ何もない真っ暗な空間だった。

　暗いのに高校の制服を着た自分の姿はハッキリ見える、普通ならおかしいのに何も感じなかった。


『なんで俺はここに居る……？』

　震えた声で言葉を返す。


　コンビニの一際目立つ雑誌を買って……そこから覚えてない。


『ショックで忘れちゃったんだね』

　声は明るく答えて。


『君は……死んだんだよ』

　意味不明な事を言う。


　死んだ？

　ありえない、俺は今ここで呼吸してるのに。

「そんなわけない」

　否定する俺に声の主は「それでもいいよ」と言い、話を続けた。

『世界を救うほどの覚悟はありますか？』

　夢の中で心理テストを受けているような気分だ。

「なんでそんなことを聞く？」

「他者を引き寄せる、強大な力があるからです」

　そんな力が本当にあるなら俺は迷わず選ぶ。

「救ってチヤホヤされたい」


「では、頼みました」

　そう言うと真っ黒な空間は風で引き剥がされるように明るくなり、緑と青の世界が広がる。


　さっきまでなかった空気の流れが頬と木々を掠める。


　小さな川の側に、俺は居た。




『この世界にあなたの能力が必要です』




　声の主はそう言うと何も言わなくなった。


　雲一つない青空を眺めていると。

　一枚の紙切れが降ってきた。