白樫学園記

8■きらめく初夏☆物憂い木漏れ日 SIDE：歩(了)

26.運命の追試

「行ってくる！　ノン」
　みんながテスト休みに入ったにも関わらず、赤点を取ったオレは今日も制服を着て登校した。

　教室に入ると数人生徒がいて、その中に竜がいた。
「よっ。何の追試？ 」
「…国語数学理科社会」
「全部じゃん！ 」
オレよりつわものがいた！
「…英語以外」
　いや、もういいじゃん、ひとつくらいは言わなくても。
　1日4つずつ追試だからオレは2日だけど、竜は一体何日追試やるんだ！？

　そうしてオレは6つの追試をやり遂げ、精魂尽き果てた。
　おそろしや…白樺学園期末テスト…。

***
「やった！　合格だよ、ノン～旅行行ける！ 」
　オレは追試の結果発表の掲示板をみて、ノンに抱き着いて跳びはねた。
「よくやったな。誰のおかげかな」
　突然空也の頭がオレとノンの真上に現れた。
「うわっ空也！ 」
「そう、空也様のおかげだな」
　うう…。その通りだけど…。
　でもほんとは追試が終わっていちゃいちゃ解禁なるのが待ち遠しかったりした。 
「くぅや～」
　オレは空也に上目づかいで見つめて、猫撫で声で甘えた。
「…」
　空也は予想外な反応に唖然とし、ノンは固まっていた。
「ザッハ・トルテくれるんだよね？ 」
　待ってました！　とばかりに、頭を抱える空也にぺたぺた甘えた。
「しまった…一瞬本気で萌えた…」
「あ、お菓子のことね。びっくりした…」
　あゆはお菓子のことになると見境がないからね、特にチョコ関連は、とノンが苦笑した。
「ちゃんと用意してあるよ」
「きゃー！ 空也大好き」
「たまにはお菓子抜きで言ってもらいたい」