白樫学園記

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2■学園生活スタート☆ぼくたち山田兄弟 SIDE:歩(了)

4.のんとたまき

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 4.のんとたまき

「あ、あゆー!」
 全力で猛ダッシュして逃げてくると、向こうでノンが左手をぶんぶんと振っていた。

「ノンッ! よかった、すぐ見つかって。ここ危ないから、早く理事長室行こう」
「え? 危ないってなに?」
「へ、変態、変態がうろついてる……ってか、寝てた」

 息を整えようと、顔をあげるとノンが首をかしげた。

「変態か……」
 ノンの隣にいるメガネの人が、呟いた。

「あー!オレのノンと手繋いでる!」
「…オレのって…」
「あんた誰!?」

 この学園はもしかしたら変態が多いのかもしれない、と思ってきっとそのメガネの人を睨んだ。

「あ、ごめんごめん。寮長の久慈珠希です。よろしく、歩くん」
「あのね、アユ、珠希先輩は迷子になってた僕を助けてくれたんだよ。それから僕らを理事長室に案内してくれるって」
「あ、まじで?ごめんなさい。さっき酷い目にあっちゃったからさー、ここって危ない奴ばっかかと思ったんだ」
「あ、あゆ、先輩だから…敬語…」
「いいよ、そのままで。ノンちゃんもね。珠希で」
「オレ、ノンの弟で歩。よろしく、珠希」

 一瞬驚いたような表情をみせて、珠希はにっこり微笑んだ。

「ノンちゃんの言う通り、元気だね。ようこそ、白樺学園へ」

 珠希に案内してもらって、ノンの左手を握ってぶんぶん振り回しながら歩いた。

「走ったから腹減ったよー」
「でもアユ、なんか食べたんじゃないの?口の周りに何かついてるよ?」

 オレはさっきの出来事を思い出して、ごしごしと袖口で口を拭った。

 ようやく学園の中に入ったと思ったら、今度は果てしなく続く長い廊下。
 深紅のふかふかのカーペットに、脇には如何にも高そうな調度品、美術の本で見たことあるような絵画が飾られていた。

 ノンと珠希は何か話していたけど、オレは周りに気をとられて、きょろきょろしている間にやっと理事長室の前についたようだ。

 ここは巨人でも住んでんのか!ってくらい高い天井にでかくて、ごってり金の細工を施した重厚な扉。

「なんだコレ…」
「うわぁ」

 ぽかーんと口をあけて拍子抜けしているオレ達に珠希が言った。
「ここが理事長室だよ。じゃあまた寮について困ったことがあったら僕の所へおいで」

 オレとノンは珠希にお礼を言って、手を振って理事長室の扉とノックした。

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