白樫学園記

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15■ゆらめく月夜☆白樺祭 SIDE:希(了)

14.チョコレートの力★

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 晴海くんが僕の背中の方へ回ると、後ろから抱きかかえるようにして、着ぐるみの中に手を入れる。
「すごい、熱いねこの中、」
「ん・・・だから」
「それに、汗ぐっしょりだね」
 耳元で囁く晴海くんの声。ほんの少し息が首筋にかかるだけで、僕は身を固くした。
 なに? 何が起こってるの?
 変だ。
「ん、はあ」
 晴海くんの腕が、前へ回って、僕のお腹に触れる。ただそれだけなのに、口から変な声が零れた。
「かわいい、希くん」
「は、るみく、脱がせて、これ」
「分かった、脱がせてあげる」
 そう言って、やっと晴海くんは毛布みたいに熱い着ぐるみを脱がせてくれた。
 それなのに、まだ体が熱い。
 両手に引っかかったままのそれを取りたいのに、もう力が出なくてできない。熱い。体全部が。
 それに熱いだけじゃなくて、生地の触れている脚の部分や、晴海くんにもたれかかっているせなかや、とにかくいろんなところがびりびり、むずむずする。
 それに、頭もぼうっとして、どんどん考えられなくなっている。
「ほら、汗いっぱいかいたから、透けちゃってるよ」
 そう言って晴海くんは僕の胸の尖りを引っ掻いた。
「っんん」
 勝手に、声が漏れて。
「かわいい、そんな声出すの? 久慈先輩の前でも」
「や、めて晴海くん」
 逃げだそうにも、力が出なくてできないし、大きな声も出せそうにない。

「どうして? 気持いいでしょ?」
 晴海くんが何を考えているのか分からない。でもきっと、怒ってるんだ、珠希のことを晴海くんも好きだから。
「珠希のこと、好き、なの? だから?」
「え? そう思ってたの?」
「うん」
「ばかな希くん。そんなんじゃ、もっとお仕置きだよ」
 そう囁くと、晴海くんは手をお腹の下へ滑らせて行く。
 ぼんやりと霞んだ頭でも分かる、だめっ。
「や、めて、おねが・・・んっああん」
「ほんとにやめていいの?」
 晴海くんは僕の中心をゆっくりと撫でる。ただそれだけなのに、もうピンと張り詰めているのが分かる。
 嫌なのに、こんなことされたくないのに、でも、逃げられない。
「おねが、い、晴海くん」
「かわいい」
 そう言って晴海くんが顔を近づけてくる。
 キスされる。
 そう分かって、僕は力を振り絞って、反射的に顔を背けた。それは唇の代わりに首に落とされる。


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