婚約者が義弟と不貞を働いていたので、俺も隣国の皇子と浮気します

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　「ソフィーとルーカスが、そんな関係だったなんて……」

　俺は魔法薬草準備室の窓から、淡い桃色の髪と、輝かしい銀髪を見つめる。

　きっと銀髪の髪はルーカスだろう。七年前に実母が亡くなったあとに家にやってきた、継母の連れ子だ。

　俺より2歳年下のくせに魔力量も多く、実技も座学も優秀な上に、見た目も素晴らしく整っている。

　非の打ちどころのない、自慢の弟だ。まぁ、俺は本人に嫌われているんだけど。

　ピンク髪のほうは、ソフィー・フィッセルだろう。

　彼女はフィッセル伯爵家の長女で、治癒魔法に長けている。この学園に通う男子生徒は一度は惚れる美貌の持ち主だ。

　そして……俺の婚約者。

　「ソフィー……君だけは、俺のことを愛していると思っていたよ……」

　実母も亡くなり、魔力欠乏症と診断され、実家では俺を愛してくれる人は誰もいなくなった。

　それでもソフィーだけは『セム様、大丈夫ですか？』と心配してくれて、それに何度救われたことか。

　「………」

　じわっと目の奥が熱くなって、慌てて窓から離れる。

　ここリスクォール魔法学園は複雑怪奇な作りをしているため、中庭だけでもあまたの数が存在している。が、今二人がいる場所は、ここからしか見えない。

　だから俺が見なかったことにすれば、あの二人は幸せのまま……

　ぐっと唇を噛み、たまたまここに来てしまった運命を呪う。

　ああ、最悪だ。あのとき先生に引っ掛からなければ、準備室に資料を運びに来ることもなかっただろうに。そしたらこんな、苦しい気持ちにもならずに済んだ。

　俺はこの場にいるのが耐えきれなくなって、部屋を出ようと扉に手をかける。

　とそのとき、反対側から扉が開いた。