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前編

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「シーア!お前を私のフィアンセに強姦した罪で追放する!」
なっ!なんだってぇ!?
とはならない。なぜなら俺はこのシナリオを前世の日本で再三プレイしたからだ。

そう。俺は転生者であり、交通事故に遭って目が覚めたら、この乙女ゲームの世界の悪役令息に生まれ変わっていた、ということだ。

ただ、大事なことがある。俺は女に興味が無い!!だからあんたの次期嫁を襲うなんて有り得ないんだよっ!!

でもそんなことを言ったって誰も信じない。この公開追放イベントを回避するには、色々と気づくのが遅かった。

「・・・ルイズ様がそうおっしゃるのならば抵抗しても無駄ですね」
「ふっ、罪を認めたお前にはもう人権などない!!この地に二度と足を踏み入れるな!!」

罪は認めては無いんだけどなぁ…と思いながら今後の幽閉生活について思案を巡らせていると

「じゃあ、俺がもらっていいよね?」
...え??

「なっ!リア殿!何を言って...!?」
「俺、ずっとこの時を待ってたんだよね。人権無いならもらっていいでしょ?」
「いや、しかし!」
「さ、シーア君行こう。ここは君のいるところじゃ無い」

呆然と佇む俺の手を握り、部屋から連れ出すその表情は、どこか嬉しげだった。

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彼は隣国であるベルナルト帝国の王子リア。俺のいる国とは比較にならないぐらい大きくて発展した強国だ。

この国の学園には親交留学という名で1年間滞在しており、俺とはたまに授業でペアを組む時に話したぐらいの関係性なのに、なぜ俺を欲しがるのかわからない。

成績優秀、剣術も一番、顔も良しなら、引く手数多だろうに。

まぁ、疑問は尽きないが、俺の実家は帝国の第一王子からの要望に争うわけもなく、すんなり俺を引き渡し、正式にリアの物になって数日。俺の生活は一変した。

美味しい食事に、広い部屋。優しい使用人の方々にお世話になる日々。

最初、俺はリアの使用人(ほぼ奴隷)として生きていくことになると思っていたもんだから
「リア様、俺はなにをすればいいでしょうか」
って聞いたら

「何にもしなくていいよ。俺のそばにいてくれるだけでいい。あ、でもしいて言うなら勝手にいなくならないことかな。あとリア様じゃなくて、リアって読んで。俺もシーアって呼ぶから。」
って言われた。

それからというもの、朝起きれば
「シーア、おはよう。寝起きの顔も可愛いね」

食器を片そうとすれば
「シーアはそんなことしなくていい。ここに座ってて」

俺が花とか乙女な物が好きとわかれば
「シーアが喜ぶかと思って庭に温室を作ったんだ」
と、これは夢かと思う毎日。

前世日本でもゲイの俺は家族から嫌われてたし、今世の家族も子供は権力を広げる駒にしか思ってなかったもんだから、リアのくれる真っ直ぐな好意にどうしていいのかわからない。
でも俺が喜んだり笑ったりするとリアも嬉しそうだから、まぁいっかって思ったり。

ただ、今までの話は昼間だけのこと。夜になると、昼には見せないリアの一面が現れる。
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