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五章

181.あいしてる※

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 なんだ?いま、なにが起こっているんだ?
 お尻の方からぱちゅんぱちゅんって音がする。肌と肌がぶつかり合うみたいな、ちょっぴりえっちな音だ。時折ぐちょっとか、どちゅっとか、えっちな水音まで響いているし。

 体勢もこれまた酷くて、俺はベッドとの間に挟まれて、むぎゅーっと押しつぶされるみたいにロキに抱き締められていた。
 逃げ場が完全に塞がれているという状況を突き付けられ、無意識に屈服するみたいに体から力が抜ける。力を抜けば抜くほど、ロキがいいように動きまくるのが悪循環だ。


「ぅあッ!ひっ、ひぅッ!」


 それに、声もおかしい。さっきからまともな言葉を操れなくて、代わりにこんな意味を成さない声まで飛び出てしまうのだ。
 ロキに待ってと言いたいのに。状況を説明してくれってお願いしたいのに。何が何だか分からない状況が続く度、混乱だけが増して更に頭がおばかになっていった。


「は、はッ……かわい、ルカ、かわいー……ん、ッ、すき、すき」

「ぅあッ!?んッ、ひぁッ!」

「お口、おくち、あけて……ッ、は、ちゅー、ちゅーしよ」

「んむッ!ぅん、ッ~~!」


 ぱちゅ、どちゅって腰を打ち付けられる。遠慮の無い抽挿が続きながらも、ロキは更にちゅーまで強要するという鬼畜行動に出た。
 最奥をぐりぐりーっと先端で突かれて、まさにその最中にむちゅっと唇同士が重なり合う。口づけというより捕食って感じのキスだった。食らいつくみたいにがぶっと口元を呑まれて、舌も歯列も全部綺麗に舐め回される。


「っ、ぅ、ぁ……ま、ッまって、んむッ!」


 捕食みたいな口づけの合間に堪らず声を上げる。
 ぐったりする身体を叱咤して手を動かし、ロキの腕をぺちぺちっと必死に叩いた。するとロキは名残惜しそうに捕食の勢いを弱めつつ、ちゅっちゅと淡いキスは止めずに視線を向けてくる。


「んー……?なぁに、ちゅ、ッ、ん……」

「は、はッ、くるし……くるしーの、ッ」


 必死に苦しいということを伝えると、ロキはようやく俺の精一杯な状況を悟ってくれたようで、一度中を虐める動きを止めてくれた。
 抽挿もキスも一旦止めになって、ほっと安堵の息を吐く。胸を大きく上下に動かすくらい荒い呼吸をしていると、ロキがふと上半身を起き上がらせ、俺の下腹部を柔く撫で始めた。


「ぁう、ん、っ」

「……んふ、俺のがぽっこり浮かび上がってる。えらいね。そろそろ俺の形、ちゃんと覚えたかな」

「ッ、ぁ、やめっ……!うご、うごかなッ、でっ」


 休んでくれるのか思っていたのに、ロキは俺のお腹をなでなでしながら緩く抽挿を再開しやがった。
 ゆっさゆっさ、って感じに軽く揺さぶられて、さっきの激しいものとはまた違った抽挿に頭が蕩ける。やめて、やめて、と必死に頭を振ると、ロキは優しい笑顔を浮かべて頷いた。


「うん。やめてるよ。どちゅどちゅって、突いたり抜いたりはしてないよ。ほら、ぐりぐりーって、先っぽ押し付けてるだけ。ね、いいとこに、当たってるでしょ?」

「あぁッ!ぁ、ひぅっ……くは、ッ!」


 たしかに、たしかにどちゅどちゅっては、していないかも。
 でも、でも、こんなのもうしてるって言うんじゃないのか?ぐりぐりって押し付けるのも、いいとこに意図して当てるのも、全部、普通にしてるって言うんじゃ……。


「ひうぅッ!ァ、あぁッ!くはッ、っ~~!」


 冷静な方向へと戻りそうになっていた思考を呼び戻される。またふにゃふにゃの、使い物にならない頭に逆戻りしてしまった。

 だって、急にぐちゅって、いいところを潰すみたいにぐりぐりされたから。
 まるで冷静になるのは許さないって言っているみたいに。そのままおバカになれって、圧倒的な力で組み伏せられちゃうみたいに。
 目をぐるぐるさせて混乱していると、ロキはふいにポツリと何かを呟いた。


「んー……もうちょっと、かな」


 前後不覚で喘ぎまくる俺の腰を掴むと、ロキはふいに俺をころんと転がしてうつ伏せに寝かせた。
 べしゃっとカエルみたいに潰れる俺に背後から覆い被さると、逃がさないとばかりにピトッとくっついてくる。その間もお尻にはロキの膨張したアレが入ったままだから、中で擦れまくって一々声を上げてしまった。


「ぁ、ぁ……な、に……?」


 そろそろ疲労で眠気が襲ってきそうだ、と思ったその時に瞼が重くなってきた。
 一度ずるりと剛直が抜けて、それによって更に気が抜ける。もしかしてようやく、やっと終わったのだろうか。この何が何だか分からなくなる恐ろしい行為が、ようやく……。
 なんてほっと息を吐いた瞬間、まるで不意打ちするみたいにソレは起こった。

 突如襲った衝撃は、どちゅッ!と激しい水音を響かせて訪れた。
 またアレが、身体の中心から串刺しにされるみたいなあの感覚がきたのだ。


「──ひッ!?ぁ、あぇ……?はへ、ぇ、っ?」


 終わりじゃないの?という言葉が発されることはなかった。
 あまりに突然すぎる展開に、目を見開いて硬直することしかできない。


「がんばって、これで最後、もう少しだからね。一回中に出したら、休憩しようね」

「は、はぇ、え……?にゃに、にゃ……ッ?」


 両手をぎゅうっと握られ、項をかぷかぷと食まれたり舐められたり。
 後ろから組み敷かれたまま、これで最後だという言葉の通り、まるでラストスパートに乗るみたいな激しい抽挿が始まった。


「ぁ、ぁ、ひぅ……っ、ひぁッ!?」

「──は……ぁ、はっ……」

「うぁ、あぁッ、うっ!?ひッ、~~ッ!んぁッ!?」


 どちゅ、ごりゅ、って一回一回が重すぎる抽挿が激しく繰り返される。
 もはや声は枯れて、意識も朧げ。それでも全ての気力を使い果たすみたいに声は出続けて、ごりゅっと腰を打ち付けられる度、落ちそうな意識は無理やり連れ戻された。

 やがてロキは最高まで興奮しきったみたいに、太ももごと俺の身体を抱え込み、ぱちゅん、どちゅんっ!と重い抽挿を速めていった。


「ルカ、るか、息して。でるよ、だすからね、いいんだよね?ね?」

「あぁッ!ひぅッ!?はぇ、あぇッ?」

「ルカすき、すき。すきだよ、愛してる。ん、ん……あいしてる」

「ぁ、ひぁ、ッ~~!」


 耳元で怒涛の告白を囁かれ、それに思わず、ロキの剛直が入り込むそこをきゅーっと強く締め付けてしまった。


「あ、ッは!やば、あはっ。ルカ、きゅーって締めちゃってるね。きてきてー、ってこと?かわい、かわいすぎ……いいよ、出すね。ほら、きゅってして、締めて」

「ひッ、ぁ、あ」

「ほら、ちゃんと、締めて、きゅってして。ん、えらい、いいこ。でる、出すよ、ッ……!」


 耳元で甘い声音を囁かれて、舐められて、最終的には耳の中まで舌で犯されて。
 色んな攻撃でふにゃふにゃになったところに、ロキが最後のトドメを刺した。


「──ひぅッ、ぁ、っ!」


 どぴゅっ、ぴゅるるって感じの、ものすごい量と勢いの熱い飛沫が、お尻の中に広がった。
 ぐ、ぐっ、と全て押し込んで塗り込むみたいに、刺さったままのソレが最奥へと動く。
 ロキが放った熱が中で染まった瞬間、さっきまでの窒息するくらいの息苦しさやら何やらが、急激にふわぁーっと消え去っていった。

 まるで熱が冷めるみたいに。身体の内側で燻っていた毒が解かれたみたいに。
 そして同時に、とんでもない眠気が身を襲ってきた。


「ぅ、あ……っ……」


 今度こそ重い瞼が閉じていく。さっきみたいに、腰を打ち付けられて邪魔される気配はない。
 眠気に身を任せていると、朧げな意識が落ちる直前に、ふとロキの甘く蕩けた声が微かに聞こえた。


「がんばったね。おやすみルカ、愛してるよ」


 頭を柔く撫でられる感覚が嬉しくて、思わずふにゃあっと頬を綻ばせながら答えた。



「──ぅむ、おれも、あいしてるぅー……」



 数秒遅れて「……え?今なんて言った!?」という騒がしい声が聞こえた気がしたけれど、眠すぎるので無視して意識を闇の中へと沈めてしまった。
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