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摩訶不思議な力が働いたオレの怪我
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ごほんっと咳払いを一つした後、改めてどうやってオレは助かったのかを聞くことにした。
「私はなぜそんな状態から助かったのですか?」
その質問をした瞬間、ミラ先生は神妙な顔になる。
茶髪の女性はただただ、不可解そうにオレを見ている。
ミラ先生は顎に手を当てて、考えるしぐさをしながらオレに答えを返してくれる。
「それがな、治療に手を尽くした後、もう生と死の境をさまよう山場だという時に、いきなり息を吹き返したようにおまえさんの声が聞こえてきたんだよ。まぁかろうじて生きてはいたんだが。」
心底訳が分からないというような顔で色々なところに考えを巡らせているようだ。
なるほど。それで二人はオレを凝視していたり、茶髪の女性はオレのことを怖がっていたわけか。
それにしても、そんな奇跡起こるんだな。
オレの体は頑丈だがさすがに人間だからな。
馬に蹴られた上に、馬車に轢かれたらほとんどの確率で死ぬだろ。
そう思った通りにオレは発言する。
「そんなことってあるのですね。」
感心しながら目線をミラ先生に向ける。
「いや、聞いたことがないな。
だからこそ不安なんだ。
疑問と言えばもう一つ。
おまえさん、頭の傷は大丈夫なのか?
それに、怪我人にしてはペラペラしゃべりすぎだ。」
ミラ先生は怪訝な表情をしながらオレに問う。
そういわれて本当だ!と驚く。
おかしいな。確かに。
だって、オレはさっきまで死にかけてたんだぞ。
傷の感覚も全くない。
オレは慌てて、ミラ先生が施してくれたのだろう、頭の包帯をとってみた。
シュルシュルシュル
包帯がほどけていくのが頭の感覚で分かる。
すると、ミラ先生はありえないものを見るように、茶髪の彼女ははっと息をのんで、オレの頭を見ていた。
なんだ?オレも何が見えたか早く見たい。
でも言いにくいな。話しかけにくい雰囲気だしな。
しばらく経ってから、ソワソワしているオレに気付いてくれた茶髪の彼女が鏡をとってきてくれた。
ミラ先生はまた色々と考えてそうだからな。
オレは鏡を見た瞬間思わず息をのんだ。
これはどういうことだ!
なんと、オレの頭の傷はおろかその痕跡さえもなかったのだ。
もちろん頭は地面にこすりつけられた摩擦で禿げているだろうと思っていたのに髪の毛はふっさりとある。
血で塗れた髪の毛も洗っている暇もないだろうにまったくもって血の匂いさえも感じられない。
よく見れば腕などにあるだろう擦り傷もない。
オレは半笑いになりながらミラ先生に尋ねた。
「これは...どういうことなのでしょう?」
「さぁ、それはわからん。だが、何らかの力が働いていることは確かだろうな。」
ミラ先生が神妙そうに発したその言葉は、しばらくオレの頭からは離れないのだった。
だが、これはもう今考えても仕方がない。
だから、もう切り替えて、茶髪の女性にオレの家かミラ先生の家かという話を続けようとした時...
事件は起こった。
「私はなぜそんな状態から助かったのですか?」
その質問をした瞬間、ミラ先生は神妙な顔になる。
茶髪の女性はただただ、不可解そうにオレを見ている。
ミラ先生は顎に手を当てて、考えるしぐさをしながらオレに答えを返してくれる。
「それがな、治療に手を尽くした後、もう生と死の境をさまよう山場だという時に、いきなり息を吹き返したようにおまえさんの声が聞こえてきたんだよ。まぁかろうじて生きてはいたんだが。」
心底訳が分からないというような顔で色々なところに考えを巡らせているようだ。
なるほど。それで二人はオレを凝視していたり、茶髪の女性はオレのことを怖がっていたわけか。
それにしても、そんな奇跡起こるんだな。
オレの体は頑丈だがさすがに人間だからな。
馬に蹴られた上に、馬車に轢かれたらほとんどの確率で死ぬだろ。
そう思った通りにオレは発言する。
「そんなことってあるのですね。」
感心しながら目線をミラ先生に向ける。
「いや、聞いたことがないな。
だからこそ不安なんだ。
疑問と言えばもう一つ。
おまえさん、頭の傷は大丈夫なのか?
それに、怪我人にしてはペラペラしゃべりすぎだ。」
ミラ先生は怪訝な表情をしながらオレに問う。
そういわれて本当だ!と驚く。
おかしいな。確かに。
だって、オレはさっきまで死にかけてたんだぞ。
傷の感覚も全くない。
オレは慌てて、ミラ先生が施してくれたのだろう、頭の包帯をとってみた。
シュルシュルシュル
包帯がほどけていくのが頭の感覚で分かる。
すると、ミラ先生はありえないものを見るように、茶髪の彼女ははっと息をのんで、オレの頭を見ていた。
なんだ?オレも何が見えたか早く見たい。
でも言いにくいな。話しかけにくい雰囲気だしな。
しばらく経ってから、ソワソワしているオレに気付いてくれた茶髪の彼女が鏡をとってきてくれた。
ミラ先生はまた色々と考えてそうだからな。
オレは鏡を見た瞬間思わず息をのんだ。
これはどういうことだ!
なんと、オレの頭の傷はおろかその痕跡さえもなかったのだ。
もちろん頭は地面にこすりつけられた摩擦で禿げているだろうと思っていたのに髪の毛はふっさりとある。
血で塗れた髪の毛も洗っている暇もないだろうにまったくもって血の匂いさえも感じられない。
よく見れば腕などにあるだろう擦り傷もない。
オレは半笑いになりながらミラ先生に尋ねた。
「これは...どういうことなのでしょう?」
「さぁ、それはわからん。だが、何らかの力が働いていることは確かだろうな。」
ミラ先生が神妙そうに発したその言葉は、しばらくオレの頭からは離れないのだった。
だが、これはもう今考えても仕方がない。
だから、もう切り替えて、茶髪の女性にオレの家かミラ先生の家かという話を続けようとした時...
事件は起こった。
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