時々、顔が曇る女の子ってだけよ!

karu

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天才肌の兄妹

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私は姉たちと合流し、竜が来る方を見守った。

段々と風が強くなり、一段と風が強くなった時、は姿を現した。

世界を飲み込むような暗黒の世界を表した真っ黒な体。

私はそれを見たとき思った。

あぁ、ミーヌお姉様なら楽勝で勝てそう。

だってしょうがないでしょ?

ミーヌお姉様と竜の顔の違いと言ったら。

竜の方はなんだか強者に立ち向かうような顔をしているのに、

お姉様ったらまっすぐ見つめて冷静にどうやったら勝てるのか考えているようなのよ。

「まず、ミラお兄様とアンナお姉様、キルお兄様はとにかくダメージをくらわしてください。

そして、クライとクォルお兄様は動けなくなった時に足をつかんでその場から離さないで。」

「了解。」

「わかったわ。」

「おっけ。」

「わかった。」

「了解です。」

さすがお姉様。それぞれの短所と長所が分かっていらっしゃる。

私とクォルお兄様は単純なる体力の方がみんなよりも圧倒的に強い。

そして、そのほか三人は攻撃力と機動力、素早さ、に長けているの。

だから、この役割なんだろうな。

さて、そろそろ。

「キャロル。出てきて。」

キャロルが出てきた瞬間後ろの方からどよめきがおこる。

そらそうだよ。悪魔だし。

「今回は本気で行くわよ。」

「いやだから、ダメだって!」

そして、竜が着地したとたん私たちに向かって火を噴いた。

みんな、瞳が赤く染まる。

最初の攻撃組が素早さや機動力に長けていないと駄目な理由、わかりました?

この火の攻撃をよけなければならないからです。

みんなが揃ってよけていって、それぞれに攻撃を開始した。

単純な殴る蹴るだ。

そうだ。そうなんだけど。

段々黒い竜の体が赤く染まっていく。

体がえぐれているんだよね。

確かに私はミーヌお姉様がこの家最強だと言ったよ?

けど、この家族が弱いとは言っていない。

と、いうわけで、

段々穴が空いてきた竜さん。

結構グロテスクになっている。

後ろで息をのむ四人の雰囲気を感じる。

一人はサク、そして、王子方。

そらぁ、びっくりするだろうね。

みんな容姿端麗だし華奢だから。

お兄様たちは、そこまで華奢でもないけどいい体格だなと思うくらいだし。

これからだ。一番びっくりするのは。

「クライ。クォルお兄様。お願いします。」

「任せて!!」

「わかってるよ。」

そして、目を赤く染まらす。

怒りのコントロールの仕方を教えてもらった。

怒りがないと強くならないから。

どうも、屁理屈で考えるみたい。

例えば、この竜はこのまま放っておいたら大事な人たちを傷つけるかもしれない。

だから、ここで殺さなければならない。

そして、行き過ぎた怒りは意識がなくなり自分の守りたいものを傷つけてしまうから。

冷静に。燃え上がらせて。

そう復習したのと同時に私たちは竜の足をつかんだ。

意外と重い。

飛び立って逃げようとしている力も加わっているからだろうか。

歯を食いしばって耐えていると声が聞こえてきた。

「クライ!頑張ってください。」

今、たくさんの声援が届いている。

でも、やっぱり大好きな人の声援は違うんだなと感じる。

どこにいても気付ける気がするよ。

「大好きな人に声援もらって耐えられないわけがねえ。」

そういって、私は本気を出すなと言っていたキャロルに声をかける。

最後まで一人で頑張ろうと思っていたけど、後がないから仕方ない。

「一緒に引っ張って!」

「うそでしょ!?力仕事は専門外よ!?」

と言いながら、手伝ってくれるキャロル。

やっぱり専門外でもさすが悪魔だ。

かなり楽になった。

「クライ!もうひと頑張りだ!」

「はい!」

クォルお兄様の声が聞こえる。

「ミーヌお姉様!お願いします!」

「もちろんよ。」

その時、ミーヌお姉様が大剣を持って前へ出てきた。

その時の光景を私は忘れられないだろう。

赤い布に胸元と裾に黒いレースがあしらわれているドレスを着て堂々としている、

大剣を持ったミーヌお姉様はこの世の何よりも綺麗で美しかった。

思わず時間を忘れそうになる。





「私の糧となりなさい。」





ザシュッ




一瞬にして竜の体が真っ二つになり内臓から血がぽたぽたと垂れている。

一瞬その場がシンと静まり返った。

みんなお姉様がここまで強いだなんて想像していなかったのだろう。

後は、こいつをギルドに持っていくだけだ。

そして、シンとした雰囲気を壊した声があった。

「ミーヌ!!大丈夫なのか!?」

「えぇ。第三王子殿下。大丈夫ですわよ。」

こんなにも目の前で強さを表されたのにここまで心配できる第三王子殿下はやっぱりすごい。

認めるしかないか。

でも、ここからだよね。

これで、伯爵の地位は確実になった。

私達の予想が正しければ。

「やっと、この間クライ嬢が言っていたお姫様になる準備、というのがわかったよ。」

笑いながら第三王子殿下は続ける。

「えっ?それはどういう...?」

「あぁ。クライ嬢が言っていたんだ。ミーヌ嬢と結婚したいのならお姫様の準備をなさった方がいいと。」

まだ笑っている。王子?それは言わなくていいことです。

「え?結婚?」

「あぁ!君が好きだ!結婚してくれ!」

瞬間、あたりでお花が満開したかのような錯覚を覚える。

それくらい、ミーヌお姉様は真っ赤な顔をしながら笑っていたのだ。

それとは裏腹にミーヌお姉様が泣いてしまった。

竜を圧倒した女の子だとは思えないくらい。

「あ、あの子ったら、よけ、...余計な事を。」

あらら。お姉様ものすごく泣いてるよ。

そしたら、王子が焦りだした。

「お、おい。大丈夫か?いやだったのか?」

王子も今にも泣きそうだ。

「いえ、...いえ!うれしいです!喜んで嫁がせていただきます!」

王子がホッとした顔をする。

そして、拍手が巻き起こる。

そうだ。みなさんの予想通り私達兄妹が見極める場面、とはこのことだ。

そして、次の瞬間、王子が倒れる。

「第三王...いえ、ラオル様。わたくしも大好きです。」

「なかなかやるわね?あの子。」とキャロルがこっそり耳打ちしてきた。

あの高圧的なお姉様が少しはにかみながら赤い顔でしゃべりかけてくる。

その状態だけで、王子は、ばたっと倒れたのでした。
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