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覚醒
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「クライ!クライ!起きて!目を覚ましてよ!お願い!神様仏様お願いします!お願いします!!」
あぁ、私の大好きな人の声はよく聞こえる。
守ってくれているのね。
私も守ってもらうばかりじゃ駄目ね。
「早くどかなきゃお前が死ぬぞ!まあ私はうれしいがな!!」
あぁ、ごみ屑の声も聞こえる。
私も守らなきゃ。
さて、そろそろ起きましょう。
そして少しずつ、光にならすようにして目を開けていく。
「おはよう?サク。神様仏様に祈るのはいいけど悪魔にだけは魂は売らないでね。」
冗談めかして言いながら起き上がる。
「ありがとう。大丈夫?」
そう言いながら、抱きかかえてもらっていたサクの体を抱きしめて傷だらけになっている背中をなでる。
サクは言葉が出ないようだ。
とんとんっと背中を軽くたたいてから私は軋む体を必死に足で支えて立ち上がった。
「キャロル、私と一緒に遊びましょう?」
そういった瞬間私に黒い影ができてそこからキャロルが飛び出てくる。
サクが見とれているのが分かる。分かるよ。美人だもんね。
見るの禁止にしようかな。
それにしても、
「いたっ。」
「そうね。完全回復の術を使わせてもらいましょう?」
「そうだね。キャロル。出てきてくれてありがとう。」
「こちらこそありがとう。私の狭い世界から出してくれて。」
なんとなくだけど完全回復の術の使い方が手に取るようにわかる。
これも神様からの贈り物なのだろう。
そして手を胸の前で組む。
「私を救ってくれた人に、助けてくれた人に、人を助ける心を持つ人に【ありがとう】」
そう言った瞬間にサクと私の体が光り、癒される。
むしろ以前よりもプルプルお肌になっている。
神様神だな。
疲労感も抜けたようだ。
実はこれにはおまけがついてきたようなのだ。
神様ナイスとしか思えないような。
「人を傷つけ、痛めつけることに愉悦を感じる下衆に、私の大切な人を傷つけた人に、【さようなら】」
その瞬間、真っ黒な霧が老紳士のあたりを埋め尽くし、老紳士は見えなくなった。
その霧は、老紳士のあたり半径一メートルくらいの円を描いて切られているから不思議だ。
霧に埋め尽くされている間、老紳士は呻いていた。
老紳士は死にはしないはずだ。
私たちが死ななかったのだから。
でも、保証はできないよ?
二人のけがの分をってことだから。
そうだ、私たちのけがを老紳士に移させてもらった。
この【さようなら】は付けてもつけなくてもどちらでもいいみたい。
【さようなら】をつけるときは【ありがとう】も言わないといけないみたいだけど。
おっでてきた!霧が晴れたら、老紳士は気を失っていた。
まぁ、ひとまずは大丈夫かな。
と、安全を確認したところで。
「サク君?わたしぃ、きみにぃ、聞きたいことがあるんだけどぉ、」
どうしてもニヤニヤしてしまう。
「な、なんですか?」
「私が死にかけてた時、サク、声かけてくれてたでしょ?
あの時ものすごく大好きな人の声だったから聞きとれたんだけど、
あの時、答えは出た。私を失うくらいなら死ぬ、みたいなこといってたでしょ?
それってさ、私のこと.......」
深呼吸して、ここは一気にストレートに。ふぅ。はぁ。
「好きですよ!!」
「え?」
「僕は本当に一目惚れで君が好きだったんだ!!
だけど、僕が元奴隷ってことで迷惑かけるだろうなって思ってしまうんだ。
しょうがないだろう。
君は貴族の権力は弱いからと言うが、貴族と平民では全く違うんだ!
しかも!僕は奴隷だ!!貴族との差は一番よくわかっている。
だからこそ、悩んでいたんだ!
でも、クライの家族、あの小さなおばあちゃん、
そんな人たちに応援してもらっているうちにもう止められなくなっていたんだ。
本当に離せなくなるのはこっちの方だよ。」
え、うそ。
そう感じた瞬間に、私の目から水滴が零れ落ちた。
思わず駆け寄って私は飛んで抱き着いてしまった。
そんな私をサクは抱きしめてくれて背中をポンポンとたたいてくれた。
「よがっだ~よがっだよ~。ほんとうによがっだ~。
てっきり私のことが好きじゃないのかと。」
「そんなわけない!」
その即答の言葉に思わず感極まった私は子供のように、
「本当に一生離せなくなる。大好き!」
と言ってしまった。
そしたら、サクは照れ臭そうに笑って、こう言った。
「僕も大好き!お互い支えあっていこう。」
この場で一組のカップルが誕生した。
この微笑ましいカップルは、
喧嘩はしても、一日以上は離れられなくなってしまうそうです。
あぁ、私の大好きな人の声はよく聞こえる。
守ってくれているのね。
私も守ってもらうばかりじゃ駄目ね。
「早くどかなきゃお前が死ぬぞ!まあ私はうれしいがな!!」
あぁ、ごみ屑の声も聞こえる。
私も守らなきゃ。
さて、そろそろ起きましょう。
そして少しずつ、光にならすようにして目を開けていく。
「おはよう?サク。神様仏様に祈るのはいいけど悪魔にだけは魂は売らないでね。」
冗談めかして言いながら起き上がる。
「ありがとう。大丈夫?」
そう言いながら、抱きかかえてもらっていたサクの体を抱きしめて傷だらけになっている背中をなでる。
サクは言葉が出ないようだ。
とんとんっと背中を軽くたたいてから私は軋む体を必死に足で支えて立ち上がった。
「キャロル、私と一緒に遊びましょう?」
そういった瞬間私に黒い影ができてそこからキャロルが飛び出てくる。
サクが見とれているのが分かる。分かるよ。美人だもんね。
見るの禁止にしようかな。
それにしても、
「いたっ。」
「そうね。完全回復の術を使わせてもらいましょう?」
「そうだね。キャロル。出てきてくれてありがとう。」
「こちらこそありがとう。私の狭い世界から出してくれて。」
なんとなくだけど完全回復の術の使い方が手に取るようにわかる。
これも神様からの贈り物なのだろう。
そして手を胸の前で組む。
「私を救ってくれた人に、助けてくれた人に、人を助ける心を持つ人に【ありがとう】」
そう言った瞬間にサクと私の体が光り、癒される。
むしろ以前よりもプルプルお肌になっている。
神様神だな。
疲労感も抜けたようだ。
実はこれにはおまけがついてきたようなのだ。
神様ナイスとしか思えないような。
「人を傷つけ、痛めつけることに愉悦を感じる下衆に、私の大切な人を傷つけた人に、【さようなら】」
その瞬間、真っ黒な霧が老紳士のあたりを埋め尽くし、老紳士は見えなくなった。
その霧は、老紳士のあたり半径一メートルくらいの円を描いて切られているから不思議だ。
霧に埋め尽くされている間、老紳士は呻いていた。
老紳士は死にはしないはずだ。
私たちが死ななかったのだから。
でも、保証はできないよ?
二人のけがの分をってことだから。
そうだ、私たちのけがを老紳士に移させてもらった。
この【さようなら】は付けてもつけなくてもどちらでもいいみたい。
【さようなら】をつけるときは【ありがとう】も言わないといけないみたいだけど。
おっでてきた!霧が晴れたら、老紳士は気を失っていた。
まぁ、ひとまずは大丈夫かな。
と、安全を確認したところで。
「サク君?わたしぃ、きみにぃ、聞きたいことがあるんだけどぉ、」
どうしてもニヤニヤしてしまう。
「な、なんですか?」
「私が死にかけてた時、サク、声かけてくれてたでしょ?
あの時ものすごく大好きな人の声だったから聞きとれたんだけど、
あの時、答えは出た。私を失うくらいなら死ぬ、みたいなこといってたでしょ?
それってさ、私のこと.......」
深呼吸して、ここは一気にストレートに。ふぅ。はぁ。
「好きですよ!!」
「え?」
「僕は本当に一目惚れで君が好きだったんだ!!
だけど、僕が元奴隷ってことで迷惑かけるだろうなって思ってしまうんだ。
しょうがないだろう。
君は貴族の権力は弱いからと言うが、貴族と平民では全く違うんだ!
しかも!僕は奴隷だ!!貴族との差は一番よくわかっている。
だからこそ、悩んでいたんだ!
でも、クライの家族、あの小さなおばあちゃん、
そんな人たちに応援してもらっているうちにもう止められなくなっていたんだ。
本当に離せなくなるのはこっちの方だよ。」
え、うそ。
そう感じた瞬間に、私の目から水滴が零れ落ちた。
思わず駆け寄って私は飛んで抱き着いてしまった。
そんな私をサクは抱きしめてくれて背中をポンポンとたたいてくれた。
「よがっだ~よがっだよ~。ほんとうによがっだ~。
てっきり私のことが好きじゃないのかと。」
「そんなわけない!」
その即答の言葉に思わず感極まった私は子供のように、
「本当に一生離せなくなる。大好き!」
と言ってしまった。
そしたら、サクは照れ臭そうに笑って、こう言った。
「僕も大好き!お互い支えあっていこう。」
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