時々、顔が曇る女の子ってだけよ!

karu

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作戦会議

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今現在、裏庭。

カオスです。

「ミラ兄さまってさ、どうしてそうもサクに絡むの?」と、キルお兄様。

「え、からかいがいがあるからに決まっているだろうが。」

「そんなこと言わないでください。」

「ミラお兄様?さすがに殴りますよ?」

じとーっとサクがミラお兄様をにらんでいる。

「笑えてくるわ!ミラお兄様ったら楽しそうだもの。」

「まぁまぁ、落ち着いて落ち着いて。」

「ミラお兄様は最初赤い糸の人と出会ったときサクよりも挙動不審でしたわよ?

どうアプローチすればよいか身を悶えさせながら考えていたじゃありませんか。」

「そ、それは...ゴホンッ。そんなことより、お前はどうなんだ。ミーヌ。」

「え、そ、それは...相変わらずカッコよくて手も届かない存在ですわよ。」

赤くなっていくミーヌお姉様はもはや癒し。

「あっそうだ。お兄様方。アンナお姉様。お手伝いしてくれませんか?その王子のことで。」

「え、どうしたの?急に。」とキルお兄様。

「ミーヌお姉様はこれまで通りアプローチしていてください。

お兄様方、アンナお姉様には結婚するとなった場合の土台を作っていただきたいのです。」

「え?何勝手に...。そこまでして結婚できるかもわかりませんのに。」

言いながら元気がなくなっていくミーヌお姉様。

「そこは、大丈夫です。」

「え、それはどういう...」

まだ伝えるのはダメだもんね。

「あーそういうことか。わかった。私は協力するよ。」

「私も協力するわ。」

「そういうことなら。僕も。」

「分かった。考えがあるんだろうな。」

「はい。この実家の爵位をあげるため尽力しましょう。」

「へ?」

「それって、もしかして...」

「はい、クォルお兄様のお察しの通り、武力で伯爵位をいただきましょう。

丁度いい、人に危害を加える竜が最近人里に出てきたようです。

そこから出た被害を鑑みてきっといくら王家が私たちを嫌っていようとそいつを倒せば伯爵の爵位くらいはもらえるでしょう。

そもそも、王様はそこまでポンコツじゃありませんし。あくまで私たちを警戒しているだけです。

しかし、私たちが恋愛結婚を推奨していること。いままでで国家反逆罪を犯していないこと。

これらのことプラス私たちの忠誠心を見せれば少しは警戒心も緩むでしょう。」

「伝説級の竜に対してちょうどいいって...」あきれ顔のお兄様方+アンナお姉様。

ここで、意外な人物が発言をした。

「これは爵位にかかわることなので男爵に相談した方がいいんじゃないでしょうか。

それに、長いことこの地に一族がいる場合、何か成し遂げているのではないかと思うのです。

栄誉には面倒ごとが付き添うもの。だから、そういうことを避けてきたように感じます。

それに、男爵と男爵夫人は恋愛結婚と聞きました。アドバイスをもらったら良い結果が訪れるんじゃないでしょうか。」

私はびっくりした。

サクの賢さに、情報収集能力の高さに。この間まで奴隷だったから世俗には疎いはずだ。

それなのに、王家に嫌われているという話をしても驚かず、冷静に意見を並べている。

サクは、私が思っていたよりももっとすごいのかもしれない。

「いいね!その案。そういえばお父様とお母様も恋愛結婚でしたっけ。すっかり失念していました。」

これまでポカーンとしていたみんなも我に返ったようで。

「すごいね!サク。」

「どうやって思いついたの?」

「やっぱり化けそうだな。」

「ちょっと!わたくし話についていけないのですけど。」

「じゃあさ。こうしようよ。」

最年長のクォルお兄様がまとめに入る。

「その今の話の竜、民から天災だと恐れられているんだよね。たしか。だったら、そいつを倒したら、英雄だという噂を流そう。

プラス、英雄とはどういうものなのかも一緒に。

それで、民からの声とあっては王様も爵位を与えなければならないだろうね。

そして、爵位については両親と話をしなければならないがそれは私が引き受けよう。

でも、この家の爵位をあげる必要もないんだよね。むしろ余計な争いごとを減らすのならあげないべき。

もう、ミーヌ自体が伯爵になってしまえばいいんだよ。丁度この家の中で一番の最強はミーヌなんだよね。

ミーヌ、王子のために竜を倒せる?」

「よくわからないですができると思いますわ。昔喧嘩売ってきたので竜っぽいものを倒したことがありますもの。
ほら。これ竜じゃなくって?」

首飾りを見せてくる。

「「「「「「え!?」」」」」」

一同全員ハモッた。

それは確実に竜のものだった。竜のうろこ。

「でも、クォルお兄様名案だわ。私たちはできるだけこの場にとどまらなければならない。

でも、英雄としての伯爵なら領地を持つ必要もない。

「王子」が持たなければならないのなら領地くらい選ばせてもらいましょう。」

アンナお姉様はこの意見に賛成のようだ。

かくいう私も賛成だけど。

この家ではみんな結婚相手は平民だ。

ミーヌお姉様とクォルお兄様以外。

でも、クォルお兄様の赤い糸の人は子爵家令嬢だったため権力の障害はそんなになかった。

でも、さすがに奴隷は私だけみたいだが。

あぁ。そうそう、アンナお姉様は異国人の方で、キルお兄様は大きな商会の娘さんよ。

もう少しでアンナお姉様は実家の近くにお家を建てて暮らし始めるのよ。

キルお兄様の場合はこの後婿養子に入ることになるだろう。

まぁすぐ近くなので両親も許したわけだが。

ミラお兄様は同じパーティーのA級冒険者なの。

パーティー内でもめないのかと心配したけどサバサバ系で全然大丈夫らしい。

本物はすごいと感心する。

気付いたかもしれないけど、クォルお兄様は普通に爵位を継いでミラお兄様は冒険者。

アンナお姉様は小さいころから両親からもらっていたお金が貯まったらしく

服やバッグ、雑貨のブランドをオープン。センスがいいからね。繁盛しているみたい。

てか、私たちの両親どんだけ小遣い渡すんだよ。

もちろん私ももらっている。使い道もなく貯まったままだ。

確かにもう少しで店が開ける。

案外両親はお金を持っているのかもしれない。

そして、キルお兄様は商人になる可能性大。商会長になっているかもね(笑)。

そしてミーヌお姉様はこれから伯爵に仕立てられようとしている。

「では、私は噂を広げます。クォルお兄様は両親と話し合い。アンナお姉様、ミラお兄様、も噂を広めて下さい。

サクとキルお兄様は竜についての情報を集めてください。

ミーヌお姉様は冒険者ギルドでのサクを抜いたこの六人でのパーティーの編成をしておいてください。」

「もしかして...」と、クォルお兄様。

「えぇ。無駄に火の粉がこちらに降りかからないようにです。手伝いますよ?ミーヌお姉様を。

勝手に手伝ってもらうって決めちゃったけどサク、いい?」

「お安い御用です。」

「ミーヌのためだもんね!」

「ミーヌのためももちろんだけどかわいい妹たちの幸せを願うからこそだよな。」

「頑張ろう。」

「一世一代の勝負...にはならないんだろうね。」

「この六人なら負けないだろうね。力の強さならまけないしね。」

あーちなみに、火の粉というのはうちにへんなことをしようという輩が現れないように、私たちはこれだけ強いと民の前で表す必要があるの。

「では、とりあえず今のところはこれで。お昼ご飯を食べましょう。」

そう言ってみんなでワイワイと冷めてもおいしいサンドイッチを頬張った。

絆が深くなったなと思う瞬間だった。
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