時々、顔が曇る女の子ってだけよ!

karu

文字の大きさ
上 下
9 / 20

作戦会議

しおりを挟む
今現在、裏庭。

カオスです。

「ミラ兄さまってさ、どうしてそうもサクに絡むの?」と、キルお兄様。

「え、からかいがいがあるからに決まっているだろうが。」

「そんなこと言わないでください。」

「ミラお兄様?さすがに殴りますよ?」

じとーっとサクがミラお兄様をにらんでいる。

「笑えてくるわ!ミラお兄様ったら楽しそうだもの。」

「まぁまぁ、落ち着いて落ち着いて。」

「ミラお兄様は最初赤い糸の人と出会ったときサクよりも挙動不審でしたわよ?

どうアプローチすればよいか身を悶えさせながら考えていたじゃありませんか。」

「そ、それは...ゴホンッ。そんなことより、お前はどうなんだ。ミーヌ。」

「え、そ、それは...相変わらずカッコよくて手も届かない存在ですわよ。」

赤くなっていくミーヌお姉様はもはや癒し。

「あっそうだ。お兄様方。アンナお姉様。お手伝いしてくれませんか?その王子のことで。」

「え、どうしたの?急に。」とキルお兄様。

「ミーヌお姉様はこれまで通りアプローチしていてください。

お兄様方、アンナお姉様には結婚するとなった場合の土台を作っていただきたいのです。」

「え?何勝手に...。そこまでして結婚できるかもわかりませんのに。」

言いながら元気がなくなっていくミーヌお姉様。

「そこは、大丈夫です。」

「え、それはどういう...」

まだ伝えるのはダメだもんね。

「あーそういうことか。わかった。私は協力するよ。」

「私も協力するわ。」

「そういうことなら。僕も。」

「分かった。考えがあるんだろうな。」

「はい。この実家の爵位をあげるため尽力しましょう。」

「へ?」

「それって、もしかして...」

「はい、クォルお兄様のお察しの通り、武力で伯爵位をいただきましょう。

丁度いい、人に危害を加える竜が最近人里に出てきたようです。

そこから出た被害を鑑みてきっといくら王家が私たちを嫌っていようとそいつを倒せば伯爵の爵位くらいはもらえるでしょう。

そもそも、王様はそこまでポンコツじゃありませんし。あくまで私たちを警戒しているだけです。

しかし、私たちが恋愛結婚を推奨していること。いままでで国家反逆罪を犯していないこと。

これらのことプラス私たちの忠誠心を見せれば少しは警戒心も緩むでしょう。」

「伝説級の竜に対してちょうどいいって...」あきれ顔のお兄様方+アンナお姉様。

ここで、意外な人物が発言をした。

「これは爵位にかかわることなので男爵に相談した方がいいんじゃないでしょうか。

それに、長いことこの地に一族がいる場合、何か成し遂げているのではないかと思うのです。

栄誉には面倒ごとが付き添うもの。だから、そういうことを避けてきたように感じます。

それに、男爵と男爵夫人は恋愛結婚と聞きました。アドバイスをもらったら良い結果が訪れるんじゃないでしょうか。」

私はびっくりした。

サクの賢さに、情報収集能力の高さに。この間まで奴隷だったから世俗には疎いはずだ。

それなのに、王家に嫌われているという話をしても驚かず、冷静に意見を並べている。

サクは、私が思っていたよりももっとすごいのかもしれない。

「いいね!その案。そういえばお父様とお母様も恋愛結婚でしたっけ。すっかり失念していました。」

これまでポカーンとしていたみんなも我に返ったようで。

「すごいね!サク。」

「どうやって思いついたの?」

「やっぱり化けそうだな。」

「ちょっと!わたくし話についていけないのですけど。」

「じゃあさ。こうしようよ。」

最年長のクォルお兄様がまとめに入る。

「その今の話の竜、民から天災だと恐れられているんだよね。たしか。だったら、そいつを倒したら、英雄だという噂を流そう。

プラス、英雄とはどういうものなのかも一緒に。

それで、民からの声とあっては王様も爵位を与えなければならないだろうね。

そして、爵位については両親と話をしなければならないがそれは私が引き受けよう。

でも、この家の爵位をあげる必要もないんだよね。むしろ余計な争いごとを減らすのならあげないべき。

もう、ミーヌ自体が伯爵になってしまえばいいんだよ。丁度この家の中で一番の最強はミーヌなんだよね。

ミーヌ、王子のために竜を倒せる?」

「よくわからないですができると思いますわ。昔喧嘩売ってきたので竜っぽいものを倒したことがありますもの。
ほら。これ竜じゃなくって?」

首飾りを見せてくる。

「「「「「「え!?」」」」」」

一同全員ハモッた。

それは確実に竜のものだった。竜のうろこ。

「でも、クォルお兄様名案だわ。私たちはできるだけこの場にとどまらなければならない。

でも、英雄としての伯爵なら領地を持つ必要もない。

「王子」が持たなければならないのなら領地くらい選ばせてもらいましょう。」

アンナお姉様はこの意見に賛成のようだ。

かくいう私も賛成だけど。

この家ではみんな結婚相手は平民だ。

ミーヌお姉様とクォルお兄様以外。

でも、クォルお兄様の赤い糸の人は子爵家令嬢だったため権力の障害はそんなになかった。

でも、さすがに奴隷は私だけみたいだが。

あぁ。そうそう、アンナお姉様は異国人の方で、キルお兄様は大きな商会の娘さんよ。

もう少しでアンナお姉様は実家の近くにお家を建てて暮らし始めるのよ。

キルお兄様の場合はこの後婿養子に入ることになるだろう。

まぁすぐ近くなので両親も許したわけだが。

ミラお兄様は同じパーティーのA級冒険者なの。

パーティー内でもめないのかと心配したけどサバサバ系で全然大丈夫らしい。

本物はすごいと感心する。

気付いたかもしれないけど、クォルお兄様は普通に爵位を継いでミラお兄様は冒険者。

アンナお姉様は小さいころから両親からもらっていたお金が貯まったらしく

服やバッグ、雑貨のブランドをオープン。センスがいいからね。繁盛しているみたい。

てか、私たちの両親どんだけ小遣い渡すんだよ。

もちろん私ももらっている。使い道もなく貯まったままだ。

確かにもう少しで店が開ける。

案外両親はお金を持っているのかもしれない。

そして、キルお兄様は商人になる可能性大。商会長になっているかもね(笑)。

そしてミーヌお姉様はこれから伯爵に仕立てられようとしている。

「では、私は噂を広げます。クォルお兄様は両親と話し合い。アンナお姉様、ミラお兄様、も噂を広めて下さい。

サクとキルお兄様は竜についての情報を集めてください。

ミーヌお姉様は冒険者ギルドでのサクを抜いたこの六人でのパーティーの編成をしておいてください。」

「もしかして...」と、クォルお兄様。

「えぇ。無駄に火の粉がこちらに降りかからないようにです。手伝いますよ?ミーヌお姉様を。

勝手に手伝ってもらうって決めちゃったけどサク、いい?」

「お安い御用です。」

「ミーヌのためだもんね!」

「ミーヌのためももちろんだけどかわいい妹たちの幸せを願うからこそだよな。」

「頑張ろう。」

「一世一代の勝負...にはならないんだろうね。」

「この六人なら負けないだろうね。力の強さならまけないしね。」

あーちなみに、火の粉というのはうちにへんなことをしようという輩が現れないように、私たちはこれだけ強いと民の前で表す必要があるの。

「では、とりあえず今のところはこれで。お昼ご飯を食べましょう。」

そう言ってみんなでワイワイと冷めてもおいしいサンドイッチを頬張った。

絆が深くなったなと思う瞬間だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。

石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。 ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。 それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。 愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。 この作品は他サイトにも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

元婚約者が愛おしい

碧桜 汐香
恋愛
いつも笑顔で支えてくれた婚約者アマリルがいるのに、相談もなく海外留学を決めたフラン王子。 留学先の隣国で、平民リーシャに惹かれていく。 フラン王子の親友であり、大国の王子であるステファン王子が止めるも、アマリルを捨て、リーシャと婚約する。 リーシャの本性や様々な者の策略を知ったフラン王子。アマリルのことを思い出して後悔するが、もう遅かったのだった。 フラン王子目線の物語です。

〖完結〗その愛、お断りします。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚して一年、幸せな毎日を送っていた。それが、一瞬で消え去った…… 彼は突然愛人と子供を連れて来て、離れに住まわせると言った。愛する人に裏切られていたことを知り、胸が苦しくなる。 邪魔なのは、私だ。 そう思った私は離婚を決意し、邸を出て行こうとしたところを彼に見つかり部屋に閉じ込められてしまう。 「君を愛してる」と、何度も口にする彼。愛していれば、何をしても許されると思っているのだろうか。 冗談じゃない。私は、彼の思い通りになどならない! *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。 因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。 そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。 彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。 晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。 それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。 幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。 二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。 カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。 こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。

願いの代償

らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。 公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。 唐突に思う。 どうして頑張っているのか。 どうして生きていたいのか。 もう、いいのではないだろうか。 メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。 *ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。 ※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31

私の療養中に、婚約者と幼馴染が駆け落ちしました──。

Nao*
恋愛
素適な婚約者と近く結婚する私を病魔が襲った。 彼の為にも早く元気になろうと療養する私だったが、一通の手紙を残し彼と私の幼馴染が揃って姿を消してしまう。 どうやら私、彼と幼馴染に裏切られて居たようです──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。最終回の一部、改正してあります。)

処理中です...