時々、顔が曇る女の子ってだけよ!

karu

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お誘い

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コンコンコンッ。

今日はデートのお誘いをサクにしに、お部屋の方に伺っている。

「はい。」

扉からサクが出てきた。

「お出かけしましょう?」

「え?いつですか?」

「今日!」

「どこに?」

「街へ。」

「いいですよ。」

即答!

「やったね!」

「じゃあ、何時にする?」

「うーん。今から考えれば昼からでしょうか。」

「いいね!それ!それにしてもなぜ敬語?」

「俺が奴隷であなたが貴族だから?」

「いいよ。敬語なんて。うちの実家そんなに力持ってないし。田舎の貴族だし。

それに、私はあなたに求婚しているのよ?敬語なんて使ってほしくないの。」

サクが固まった。勢いよく顔を背ける。

「え、と。それは困りましたね。もうこれが通常勤務なんです。」

脈ありかしら。

「なら、名前だけでも!呼び捨てで!お願い!あとはもう敬語で構わないから!ただ、リラックスしてね。」

「は...い。」

気圧されたのか返事はしてくれた。

「あっ。サクって呼ばせてもらってもいい?」

「それは全然構いませんよ。」

あー。今になってわかってきたかもしれない。

どうしても婚約者におさめたいこの気持ち。

あーだめだ。

ミーヌお姉様もあんなに必死になるわけだよ。

そうだ!王子に言ってしまったのだった。

無理やりにでも婚約者にしなくては。

ミーヌお姉様のためにも。

ちなみに、うちの兄妹みんな恋愛結婚だったのはみんな18歳頃で赤い糸の人に出会い、もう離せなくなるからだそう。

今代は異性の赤い糸の人しかいなかったらしい。

しかも、先祖返りミーヌお姉様。そのうえ、イレギュラーわたし

不安要素がたくさんだ。

お父様もかわいそうに。

うちのお父様とお母様も恋愛結婚で赤い糸の人らしい。愛妻家と有名だ。

結婚と言えば、私たち家族は一族同じ近辺にいるという家訓があるらしい。

敵対派閥に悪魔の力を使われないためだ。

だから、叔父さんとかの親戚も名字がサルバロナなら近くにいる。

サルバロナじゃなくてもいる場合があるけど。


とりあえず、私とサクは用意のために一旦別々に分かれた。

そして用意が終わったころ、

良いことを思いついた。

私はサクの部屋をもう一度訪れた。

そしてノックする。

コンッコンッコンッ

「サク?一緒にお昼食べない?」

ガチャっと扉が開いてサクが顔をのぞかせる。

「え、今ですか?」

「うん。」

「ど「裏庭でよ。」

「用意がまだなんですが...」

「えっ?」

それはおかしい。

あれから2時間は経っている。

「何の用意ができていないの?あれから2時間は経っているよね?」

「そ、それが...」

言うのを躊躇うようで言いにくそうにしている。

「やぁクライ。」

「えっ。ミラお兄様?」

そして始まるこそこそ会議。

「何でここにいるの?」

「僕にもわからないんです。急に訪ねてきて、いろいろな質問をされたんです。

僕にも何がしたいのかさっぱりで...」

「うーん。」

ここで終わりを告げるこそこそ会議。

「二人で何仲良さそうに話しているんだ?」

「ぎゃーっ」

おっとついつい。

「ミラお兄様。なぜここにいらしてるんですか?」

「いや、切り替え早いな。いやなに、クライの赤い糸の人っていうのを見極めるために家族から派遣されたのさ。

貴族が全員でおしかけてはダメだろうということで。」

「え、見極める?」

「ちょっと!困惑してるじゃないですか。まぁ。私にもわからないんですが!」

「いやぁ。奴隷の子ってひねくれている子が多くてね。

自分の不遇な環境を貴族のせいだって決めつけて暴れだす子もいるからな。

それに、一番はクライに見合うかどうかっていう。」

そんなこと言われたら恥ずかしいんですが。

「見合うかどうかの話よりも先に私、サクの方に見合うかさえもわかっていないのですが。」

「それは心配なさそうだがな。」

「え、何か言いました?」

「あ、実はな...」

「ちょっと!言わないって約束でしたよね!」

「おっとそうだったな。」

「そんな濁され方されたらものすごく気になるんですが。」

じとー

「まぁ、いずれ分かるさ。こいつがしっかりしていたらの話だけど。」

サクは少し顔を火照らせながらミラお兄様をにらんでいる。

「なんか仲良くなってる!」ずる!

「なんだか心の声が聞こえた気がするが。」

「気のせいですよ。で、サクはどうだったんですか?」

「いやまた切り替え早いな。そして気になるのか。」

「そりゃそうですよ。認められなかったら私にはなすすべないですからね。」

「その場合は無理やりさらっていきそうだがな。(笑)」

「え、そこまで...」サクが引き気味なんだけど。

すごく傷つく。

「そりゃあ合格だ。さすが赤い糸の人だなと感心させられた。奴隷生活によって性格がゆがむでもなく。

むしろその時の経験から空腹になっても通常の人間よりも耐えられるとか。

人の心がある程度読めるようになるとか。すごいことができるようになっている。

これはしっかり教育を施せば化けるタイプだ。俺も奴隷になってやろうかと思ったくらいだ。」

えっ、少し人間業じゃないものも含まれていたような。

「お兄様には不可能です。きっと言いなりにさせられるときにどんなに何かに縛られていても体が先に動くタイプです。」

「そうだよ。不可能不可能。」

「キルお兄様!なぜまたここに。」

段々人数が増えていく悪い予感。

「これは、お昼は無理そうだね。」

「そうですね...」

「ん?何の話してるの?」

「でた!アンナお姉様!」

「失礼しちゃう!で?何の話?」

ごまかされてくれないのかーい。

はぁ。

「私はサクをランチに誘おうと思ってやってきたのです。

でも、無理そうなので私は帰「じゃあ、兄弟姉妹とサクとでお昼ご飯食べない?」

余計なことを。

まぁ、それはそれで楽しそうだ。

「賛成します。ハァ」

「僕もいいと思うよ。」

「俺も参加しよう。」

「サクも行くんだよね?」

「はい。僕も行かせていただきます。」

「二人にも声をかけようか。」

ミラお兄様はそう言いながら侍女に呼びに行くように伝えた。

街に行くのも無理にならないといいな。

と、私は遠い目をするのでした。
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