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顔と性格は反比例するものなのね(佐倉美麗side)
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私はとても急いでいる。
でも、授業に遅れるからといって走ったことを私は三秒後に後悔することになるのだった。
そして、運命の曲がり角を曲がる時、
ドンッ
わぁ!
しまった!誰かにぶつかってしまった。
相手が後ろに吹っ飛んでしまった。
こういう時私はすぐさま声をかけられない。
大丈夫?と聞いたら煽ってしまうことになるかもしれない。
ちなみにまさに私は大丈夫と聞かれたら、煽られていると本能が察知してしまうタイプである。
それにしても、どうしよう。
これは、声をかけた方がいいのだろうか?
ぶつかったのは男子みたいだし、ますます恥ずかしいかもしれない。
焦っている。そうとっても私は今焦っている。
あぁ、こんなことになるなら走らなければよかった。
その男子はすっくと立ちあがり、こちらに歩いてきた。
今までみたいに、なにも声をかけなかったから怒って歩いてきたのだろうか?
今までみたいに、心無い言葉をかけられるのだろうか?
こういう曲がり角でぶつかることはどちらも悪いはずなのに...
男子が私の前で止まった。
怖くなって私が目をつぶっていると...
「大丈夫ですか?お怪我は?」
恐る恐る目を開けると、さわやかな笑顔で、無駄のない感じで、そう、話しかけてくれた。
ーーーーーーーキレイ...ーーーこの人は間違いない。
やわらかいミルクティー色のふわっとした茶髪にこげ茶の瞳。目じりに皴のついた優し気な雰囲気を醸し出している。
イケメンだ。
「おーい?大丈夫ですか?」
おっと、意識が飛んでたみたいだ。
「大丈夫。ボーっとしていただけよ。」
そう答えた瞬間、彼は衝撃的な言葉を発した。
「それは、僕に見惚れていたから?」
さわやかな笑顔でそう話しかけてくる。
そして自然な感じで覗き込まれる。
でも、私にはその顔がその言葉のせいでもう魅力的には映らなかった。
と思う。
計算的な笑顔ほど気持ち悪いものはない。
と思う。
すっかり私はさっきまでの申し訳ない気持ちを忘れて叫んでいた。
「はぁ!?鏡を見てこい。自意識過剰野郎!」
その男子はもうそういわれて育つことに慣れ切っていたのだろう。
当たり前の反応(この場合は赤くなる、とかかな?)が返ってこないからなのかきょとんとしている。
まぁこの自意識過剰はこいつの顔じゃあ仕方がないか。
まぁでも新しい発見である。
どうも、顔と性格は反比例するらしいな。
そんなことを思いながら、私は足早にその場を去った。
そして覗き込まれたことによって熱くなったその頬に気付かないふりをした。
決して私はあの男子の顔に絆されたわけじゃない。
絶対に違う!
でもさ、ほんの少しだけ。ほんの少し...だけ。
たしかに、...カッコ...よかった......けど。
いや!絶対に!気のせいだって!!
そこで、私は自分の顔の熱を退かせるのに一生懸命になりすぎて重大なことに気付いてなかったのだ。
計算的な笑顔と自分で表した時点で気付けばよかったんだ。
その男子が、日熊英一が、きょとんとした後に、瞳が仄暗い色に変わり、目の色を闘志の色に燃やしたことを。
でも、授業に遅れるからといって走ったことを私は三秒後に後悔することになるのだった。
そして、運命の曲がり角を曲がる時、
ドンッ
わぁ!
しまった!誰かにぶつかってしまった。
相手が後ろに吹っ飛んでしまった。
こういう時私はすぐさま声をかけられない。
大丈夫?と聞いたら煽ってしまうことになるかもしれない。
ちなみにまさに私は大丈夫と聞かれたら、煽られていると本能が察知してしまうタイプである。
それにしても、どうしよう。
これは、声をかけた方がいいのだろうか?
ぶつかったのは男子みたいだし、ますます恥ずかしいかもしれない。
焦っている。そうとっても私は今焦っている。
あぁ、こんなことになるなら走らなければよかった。
その男子はすっくと立ちあがり、こちらに歩いてきた。
今までみたいに、なにも声をかけなかったから怒って歩いてきたのだろうか?
今までみたいに、心無い言葉をかけられるのだろうか?
こういう曲がり角でぶつかることはどちらも悪いはずなのに...
男子が私の前で止まった。
怖くなって私が目をつぶっていると...
「大丈夫ですか?お怪我は?」
恐る恐る目を開けると、さわやかな笑顔で、無駄のない感じで、そう、話しかけてくれた。
ーーーーーーーキレイ...ーーーこの人は間違いない。
やわらかいミルクティー色のふわっとした茶髪にこげ茶の瞳。目じりに皴のついた優し気な雰囲気を醸し出している。
イケメンだ。
「おーい?大丈夫ですか?」
おっと、意識が飛んでたみたいだ。
「大丈夫。ボーっとしていただけよ。」
そう答えた瞬間、彼は衝撃的な言葉を発した。
「それは、僕に見惚れていたから?」
さわやかな笑顔でそう話しかけてくる。
そして自然な感じで覗き込まれる。
でも、私にはその顔がその言葉のせいでもう魅力的には映らなかった。
と思う。
計算的な笑顔ほど気持ち悪いものはない。
と思う。
すっかり私はさっきまでの申し訳ない気持ちを忘れて叫んでいた。
「はぁ!?鏡を見てこい。自意識過剰野郎!」
その男子はもうそういわれて育つことに慣れ切っていたのだろう。
当たり前の反応(この場合は赤くなる、とかかな?)が返ってこないからなのかきょとんとしている。
まぁこの自意識過剰はこいつの顔じゃあ仕方がないか。
まぁでも新しい発見である。
どうも、顔と性格は反比例するらしいな。
そんなことを思いながら、私は足早にその場を去った。
そして覗き込まれたことによって熱くなったその頬に気付かないふりをした。
決して私はあの男子の顔に絆されたわけじゃない。
絶対に違う!
でもさ、ほんの少しだけ。ほんの少し...だけ。
たしかに、...カッコ...よかった......けど。
いや!絶対に!気のせいだって!!
そこで、私は自分の顔の熱を退かせるのに一生懸命になりすぎて重大なことに気付いてなかったのだ。
計算的な笑顔と自分で表した時点で気付けばよかったんだ。
その男子が、日熊英一が、きょとんとした後に、瞳が仄暗い色に変わり、目の色を闘志の色に燃やしたことを。
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