乙女ゲーム短編集

karu

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モブは端にいたいのです。

昔の話

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そうルンルンで話している聖女様を見ながら俺は記憶を探し出した。
そういえばあったなぁ、そんなこと。
俺にとって人を助けるなんて結構あることだし、あの時の聖女候補になった子供が本物の聖女様になっているだなんて全く想像つかないだろう!?

まぁ、でも、名前はあまり教えないし覚えてはいた。
二度見するくらい容姿端麗だったからなあ。
小さいころから。
でも妙に勘がよくて頭が子供じゃないことに気付かれたかと思って焦ったなぁ。

懐かしい。

今現在は先ほどの夜会が終わり聖女様に引っ張られて連れてこられた王城の一室。
王太子殿下を責め立てようと思っていたのに引っ張ってこられてこの通りである。
今までずっと聖女様と俺の出会いの話を聞かされていたのだが...

なんか、恥ずかしい。

俺は絶対に脚色されてる気がする。

「それが、何故、求婚に?」
一番気になっていたことを聖女様に聞いてみる。

綺麗な顔が少し不快だというようにむくれる。
それでもかわいく映るのだから美人は得だなと思う。
それにしても、何に不快なんだろう?

「ちょっと!小さいころはもう少し言葉が砕けていたじゃありませんか!」

「え、でも、それは小さいころの話ですし...。聖女様も言葉遣いは変わっているじゃないですか。」

「分かりました!癖ですが、外せるようにしましょう。だから、あなたも!名前も小さいころの名前でいいから!」

あぁ、そういえば、あなたという言い方は変わらないなぁ。
名前も聖女になる時、長い名前をもらったと聞いたことがあるな。
確か、アイシャ・ケリー・ビスマルタ。
真ん中に元の名前が入った形だな。

「わか...た。うん。努力はするよ。君も名前で呼んでくれよ?」

すると、聖女様はきょとんとした表情になっている。
どうした?何か失敗したか?
俺が慌て始めるとハッと我に返った聖女様。
「ごめんなさい!王太子殿下からもう少し砕けた様子で話すと聞いたもので...。
意外だったんです。」

は?昔のことをこの聖女様に言ったと...?
黒歴史も同然なのに。

それも含めて殿下に話を聞かないとな。
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