乙女ゲーム短編集

karu

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モブは端にいたいのです。

男の子

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彼はおじさん達の前で止まって堂々と宣言する。

「聞いたか?今度誰かを襲おうとしたら、容赦しないからな。」
そう言った瞬間、今度は黒いきらきらがあたり一面に満遍なく充満する。

するとおじさん達は何かの圧力に耐えているかのように息もしなくなった。

「ど、どうしたの?なに!?」

私は思わず男の子の方に近寄り、服の裾を掴む。
落ち着いてよく見たら男の子と私の周りだけ黒いきらきらがなかった。

もしかして、苦しんでいるげんいんは黒いきらきら?

もっとよく目を凝らして見てみると彼の全身から黒いきらきらが出ていた。
私が彼を止めようとすると、彼は言葉を発した。

「分かったか?」

脅すように低く冷淡な声で尋ねる。
尋ねられたリーダーらしき男は声さえも出せないらしくこくこくと素早く動かした。
頷きを目にした瞬間男の子は黒いきらきらを手を振り霧散させ、真っ白のきらきらをおじさん達に振りかけた。

きれいだな、とのんびり考えていると...

次の瞬間、信じられない奇跡が起きた。
みるみるうちにおじさん達の傷が治っていくのだ。

たしかに、よく考えてみればおじさん達のせいかつすいじゅんじゃけがをした時点でしんでしまうことかくていだ。
日々の食べ物を集められないから。
そこまで頭がいかなかったなんて...恥ずかしい!!
ただ、きれいごとを言ってむだに人を苦しませてしなせてしまうところだった。

「ごめんなさい。」
彼は私のおろかさを知った上で助けてくれたのだ。
あくやくになってまで私を助けてくれた...
そのことがとてももうしわけなくなってきた。

しばらく返事がない...
本当におこってるのかな。
そう不安になりながらもう一度あやまる。
もし、ゆるしてもらえなくても、心からの気持ちが伝わればいい。

「本当にごめんなさい!」

まだ返事が来ないからどうしたのかと思って彼を窺い見る。

するとそこには、きょとんとした彼がいた。

返事をしていないことに、今、気付いたみたいだ。

「え、え?なんで?いきなりどうしたんだ?」

「私...おじさん達がけがをしたら、もう生きていけないことがわかっていなかった...。」
あぁ、と納得したような顔をする。

「大丈夫だ。君はそんなことを考えなくても。君の年齢でそこまで考えるのは難しい。」
その言葉に少しの違和感を覚える。

「でも、あなただって、同じくらいの年でしょ?」
その男の子はギクッとした顔をした後、慌てて取り繕うように言葉を繋ぐ。

「いや、まあ、うん。そうなんだがな!」

混乱した男の子は、慌ててその場をまとめるように声を上げた。

「とにかく!大丈夫だから!襲われたのは君だし、こいつらが野垂れ死んだところで君が罪悪感に苛まれる必要はない。じゃあ、俺はこれで。」
言いたいことだけ言って、用は終わったとばかりにさっさと過ぎ去ろうとする彼。
私はなんだかわからなかったけれどとにかく彼とこれでさよならするのは嫌で、引き留める理由を探す。

あ、そういえば。

彼の服の袖を引っ張り、


私は、


尋ねた。


「ねぇ、さっきから出てるそのきらきらの光って何なの?」
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