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モブは端にいたいのです。
証拠
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表情が消えた侯爵令嬢にビビってか、王太子殿下はびくっと肩が上がる。
それでも負けるわけにはいかない!といわんばかりの表情をし胸を反らした。
「まずはミカの証言だ。な?ミカ。」
おっと。そこで私に振るのか。
王太子側近とはいえ発言力はそこまで高くないぞ。
特に貴族社会では。
それを理解しているのだろう侯爵令嬢の顔には嘲りの色が浮かんでいる。
まぁでも答えないわけにはいかないだろう。
「えぇ。私は一昨日の夕方18時ごろにあなたが噴水の前にいる彼女の背中を押したのを見ました。」
私がそう言った瞬間、侯爵令嬢はここぞとばかりに反論をしてくる。
「ふん。あなたが誰か分からないのだけど。」
いや、反論...なのか?
取り敢えず、平民に対しての嫌味を受け流して自己紹介をしようと思ったら...
王太子が純粋に捉えたのか紹介をしてくれた。
「出自が平民のミカだ。まさか同級生の顔と名前もわからないほど貴様が馬鹿だったとは驚いた!」
王太子は目を丸くしてまたもや純粋に答えたのかと思われる。
だが、余程恨めしく思っているのだろう。
自然と悪意が飛び出している。
でも先ほどまでと違ったのは侯爵令嬢の方だった。
「黙りなさい!
馬鹿とわたくしに言うことがどれほどのことかわかっていて!?
それに、平民のことなんて知らないのは当たり前でしょう!?」
よく見てみると激高した侯爵令嬢が顔を真っ赤に染めて声を荒らげた。
それにしてもこれは...
調子に乗った王太子はなおも言い募る。
「そもそも、アイシャをいじめるときに令嬢たちを使ったりみんなの目に留まるところでやるのは愚の骨頂だな。
おかしすぎて笑いが止まらないよ!」
はははっと本当におかしそうに王太子は大笑いしている。
すると、反比例して侯爵令嬢はついに頭の理性の糸が切れた。
令嬢は馬鹿にされることを何よりも嫌う。
「うるさい!仕方がないでしょう!?
みんなアイシャアイシャって言うようになったのだから!
あなたも構ってくれなくなったし。
侯爵や侯爵夫人からの圧力はすごいし。」
侯爵令嬢は段々と表情が暗くなっていった。
そして、寂しそうに笑う。
それは全てを諦めた顔だった。
夜会の会場からは同情の視線が侯爵令嬢に集まった。
そういう経験をしている人は少なからずいるのだろう。
でも、娘が「侯爵」...か。
...それにしても認めたな。
さぁ、この場をどう収めるつもりだ?
王太子様?
それでも負けるわけにはいかない!といわんばかりの表情をし胸を反らした。
「まずはミカの証言だ。な?ミカ。」
おっと。そこで私に振るのか。
王太子側近とはいえ発言力はそこまで高くないぞ。
特に貴族社会では。
それを理解しているのだろう侯爵令嬢の顔には嘲りの色が浮かんでいる。
まぁでも答えないわけにはいかないだろう。
「えぇ。私は一昨日の夕方18時ごろにあなたが噴水の前にいる彼女の背中を押したのを見ました。」
私がそう言った瞬間、侯爵令嬢はここぞとばかりに反論をしてくる。
「ふん。あなたが誰か分からないのだけど。」
いや、反論...なのか?
取り敢えず、平民に対しての嫌味を受け流して自己紹介をしようと思ったら...
王太子が純粋に捉えたのか紹介をしてくれた。
「出自が平民のミカだ。まさか同級生の顔と名前もわからないほど貴様が馬鹿だったとは驚いた!」
王太子は目を丸くしてまたもや純粋に答えたのかと思われる。
だが、余程恨めしく思っているのだろう。
自然と悪意が飛び出している。
でも先ほどまでと違ったのは侯爵令嬢の方だった。
「黙りなさい!
馬鹿とわたくしに言うことがどれほどのことかわかっていて!?
それに、平民のことなんて知らないのは当たり前でしょう!?」
よく見てみると激高した侯爵令嬢が顔を真っ赤に染めて声を荒らげた。
それにしてもこれは...
調子に乗った王太子はなおも言い募る。
「そもそも、アイシャをいじめるときに令嬢たちを使ったりみんなの目に留まるところでやるのは愚の骨頂だな。
おかしすぎて笑いが止まらないよ!」
はははっと本当におかしそうに王太子は大笑いしている。
すると、反比例して侯爵令嬢はついに頭の理性の糸が切れた。
令嬢は馬鹿にされることを何よりも嫌う。
「うるさい!仕方がないでしょう!?
みんなアイシャアイシャって言うようになったのだから!
あなたも構ってくれなくなったし。
侯爵や侯爵夫人からの圧力はすごいし。」
侯爵令嬢は段々と表情が暗くなっていった。
そして、寂しそうに笑う。
それは全てを諦めた顔だった。
夜会の会場からは同情の視線が侯爵令嬢に集まった。
そういう経験をしている人は少なからずいるのだろう。
でも、娘が「侯爵」...か。
...それにしても認めたな。
さぁ、この場をどう収めるつもりだ?
王太子様?
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