上 下
34 / 43
期末試験編

34話 膝枕ですが脈ありでしょうか?

しおりを挟む
 
「早速、これを使おうかしら」

 神奈月さんは、なんでも券を指でつまみ、ひらひらと動かしている。

「じゃあ、向日葵ちゃんと蓮華君にとあるポーズをしてもらいます」

「とあるポーズ?」

 神奈月さんは、机を動かして、そこに敷物を敷く。

「向日葵ちゃん、正座でここに座って」

「はっはい!」

 向日葵が、敷物の上に正座する。
 やっぱりこう見ると、向日葵ってお嬢様だな。
 なんというか、絵になるというか。

「じゃあ蓮華君、向日葵ちゃんの膝に頭を置いて寝そべって」

「ほいほい、……ってそれって!」

 俺は、イメージした。
 つまり、膝枕ということか。
 喉がゴクリと音を立てる。
 向日葵も驚いた表情でおどおどとしている。

「そりゃ私が勝ったんだから、いいよね?」

「ぐぬぬ……向日葵がいいのならいいけど」

 向日葵は、目を閉じてグッと力を入れている。
 そして、両手をプルプルと震わせながらこっちにむける。

「……どうぞ」

 なんだと!
 向日葵から了承が出るとは。
 この頃、過度なスキンシップをやめてた向日葵が、これを許すとは。
 仕方ない、これで断れば向日葵を傷つけてしまう。という建前を立てつつお邪魔します。
 俺は、向日葵の横で寝そべり、ゆっくりと頭を向日葵の膝に近づける。
 髪の先が、向日葵の膝に触れた。

「あっ......っく......」

 向日葵の膝に俺の髪の毛が触れるたびに、向日葵が色っぽい声が漏れている。
 しかも、耳がほぼゼロ距離なので、荒い吐息も耳を刺激してくる。
 おかしいな、膝枕ってこんなにやらしい行為だったけ?このままゆっくりしてたら埒が明かない。
 一気に頭を膝に落とす。
 俺の頬を、柔らかい太ももの暖かさが迎えに来た。女の子の体ってこんなに柔らかいものなのか。膝枕の夢心地に浸っていると、遠くから紫陽花がこちらを睨んでいるのがわかった。
 人でも殺めそうな目をしてやがる。
 しかし、ここは譲らんぞ!

「蓮華君、嬉しそうわね」

「……最高だね、ここは天国だよ」

「楽しんでる所悪いけど、写真を撮るわよ」

「写真撮るの?めっちゃ恥ずかしいんだけど、今超ニヤけてると思うし」

「だから撮るんでしょ?」

「君は、悪魔か!」

「まぁもう最高にニヤけてる時に撮ったから良いけど」

「!?」

 神奈月さんの持つケータイ画面には、超ニヤけてる俺の姿が写っていた。

「くそっ!向日葵の誘惑に勝てなかった!」

「悔しがっている所悪いけど、もう向日葵さん限界そうよ」

「え?」

 むくりと起き上がり、向日葵を見ると、全身が真っ赤に染まっていた。
 体温が凄く高くなっていて、ふらふらとしていた。とりあえず、濡らしたたタオルをおでこに乗せて寝かした。

「……れんげしゃま、すみましぇん」

 呂律が回っていない。
 やっぱり、まだ万全ではないようだ。

「ごめんな、まだ調子が悪いのに」

「ごめんね、私の悪ふざけに付き合ってもらっちゃって」

「いえいえ、だいじょうぶでしゅ」

「まぁ、負けちゃったしな、次は勝つぞ!」

「頑張ってね、でも思惑通りあっちは、やる気は出たみたいね」

「確かにな」

 俺達の目線の先には、真剣な表情の2人が勉強していた。

「よーし、俺ももう少し勉強するかな」

「分かんないとこがあったら、私が教えてあげるわ」

「おっ!さんきゅな!」

 それから、1時間みんなでみっちり勉強に励み、今日の勉強会は終わった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

処理中です...