幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T

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21、水着を着るとエッチ戦闘力が3倍になるんだ

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「さぁ、遊ぼっー!」

 夏の日差しに負けないくらいテンション高く、猪苗代は言った。手には巨大な浮き輪とビーチバルーンを持っている。

「あれ、浮き輪ってもうないのか?」

 次々と荷物を取り出す猪苗代だったが、浮き輪らしきものは彼女が使っている一つしかなかった。「道具はわたしが準備するから」とか言っていたが、ほとんど水鉄砲だった。

「俺、あんまり泳げないんだけど」

「え、あたしも泳げないよ」

「拙者も泳げないでござる」  

「……春っち以外、泳げないんだ」

「何しに来たんだ……」

「浮き輪一個しか持ってきてないし」

 がっくりと肩を落とした猪苗代だったが、開き直ったように顔を上げると、パーカーのジッパーに手をかけた。

「まぁ、浅いところで良いや。よいしょ」

 出し抜けに猪苗代はパーカーを脱いだ。なんの覚悟もしていなかった俺は、その姿をまじまじと見つめてしまった。

 黒い水着はいつもの彼女の言動と反対で、すごく大人っぽい雰囲気を出していた。胸の大きさの割にスタイルが良く、日焼け止めを塗った肌は太陽の光を反射していた。

「……ふむ」

 キラリと福男との目が光る。

「春っちも脱がないの?」

「う、うん……」

 やや恥ずかしそうにしていた春姫も、続けて上着を脱いだ。下に来ていた水着は紐で結んだだけのもので、想像していたよりもずっと大胆だった。

 そしておっぱいが、猪苗代に負けず劣らずに大きかった。

「……」

 福男も無言でうなずいている。

 俺も幸せだ。

 猪苗代も飛びつくように、春姫に抱きついた。

「わー、春っち可愛いー」

「そ、そんなことないよ。マリーちゃんの方が可愛いよ」

「ううん。圧倒的に春っちだよねー。ねー、左良」

 何で俺に振るんだ。

 モジモジと恥ずかしそうに、春姫が俺のことを見る。そう改まって聞かれると、少し照れくさい。

「うん、可愛い」

「そう……? う、嬉しいなぁ」

 春姫がどこかホッとしたように微笑む。その姿がまぶしくて、俺は何も言えずに目をそらしてしまった。

 そんな俺たちをフォローするように福男が口をはさんだ。

「マリー殿も可愛いでござるよ」

「お、福っち、意外と良いやつなんだね」

「紳士ですからな」

 きらりとメガネを輝かせて、変態紳士は言った。

「じゃー、遊ぼっかー!」

 バタバタと猪苗代が海に向かって駆け出していく。よほど楽しみだったのか、そのはしゃぎっぷりは見ていて清々買った。

「いくよー、それー!」

 とは言っても誰も泳げる訳ではないので、基本的には浅いところで、ボール遊びをしているだけだったが、それでも楽しいものは楽しかった。

「テッちゃん、ボール、取って取ってー」

 ちゃぽんと落下したボールを、春姫にパスする。跳ねた水が彼女の顔にかかる。

「わー、つめたーい!」

 いつもの倍くらいに春姫もはしゃいでいた。教室ではあまり声を張り上げることのない春姫が、あんな風にはしゃぐのは、とても嬉しかった。

「マリー殿ー、行きますぞー!」

 福男も二人と馴染んで楽しそうに、水遊びに興じていた。後から聞いた話だが、もう死んでも良いくらい幸せだったらしい。

 意外とこういうのも悪くない。

 海水浴なんて一生縁のないものかと思っていたが、いざ来てみると、そこそこ楽しめた。

「お腹すいたー」

「マリーちゃん、何食べたい?」

蒙古もうこタンメン!」

「却下」

 一通り遊び終えると、海の家で焼きそばを買って、四人で分けながら食べた。
 午後からはさらに人も多くなっていて、少し混雑し始めた事件が起きたのはそんな折だった。
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