異世界転移したらジョーカーのスキルを渡されたので4つの王国を嫌々救います。

ハートの王国奪還編

第9話 ダイヤの王国7

　薄闇の中、レオとネーベルの戦いは続いていた。ネーベルのディープミストが周囲を包み込み、まるで生き物のように蠢いている。視界が奪われたこの状況下で、ネーベルの高笑いが響き渡る。


　「フフ、レオ。君は理解しているのか？私がどれほどの天才かを。わずか15歳でジャックに選ばれたんだ。この私の美貌と才能を持って、君など敵ではない！」


　ネーベルの自慢話が続く中、レオは冷静な表情を崩さなかった。彼の目は微かに輝き、ディープミストの中でもその余裕を見せつけていた。


　「ネーベル、お前の自慢話には興味がない。俺が知りたいのは、レオナルドの目的だ。」


　その言葉にネーベルの顔が一瞬歪む。しかし、すぐに自信満々の笑みを取り戻し、さらに攻撃を加える。


　「誰が教えるか。ディープミストの中で、君は何も感じ取れないはずだ！」


　ネーベルはその言葉と共に、ミストの中から鋭い攻撃を繰り出す。しかし、レオはその全てを巧みに避けていく。まるで彼の目には全てが見えているかのように。


　「なぜだ…なぜ君は私の攻撃を見切れるんだ？」


　ネーベルの声が苛立ちを帯びる。しかし、レオはただ静かに笑みを浮かべるだけだった。


　「見えていない、ネーベル。ただ感じ取っているだけだ。」


　レオの言葉にネーベルは驚愕する。ディープミストの中で、自分の存在を感じ取るなど常識ではありえない。しかし、レオの動きは確かにそれを証明していた。


　「お前は知らないだろうが、俺にはキマイラのスキルがある。ライオンの力、山羊の力、そして蛇の力。今使っているのは、その蛇の力だ。」


　レオの言葉にネーベルはさらに動揺する。キマイラのスキルとは一体何なのか、理解しきれないまま彼は次の攻撃を繰り出す。


　「ディープミストの中で、そんな力が通用するものか！」


　しかし、レオは再びその攻撃をかわす。彼の感覚は鋭く、音や肌でネーベルの存在と攻撃を感じ取っていた。


　「お前のディープミストは確かに強力だ。しかし、それだけでは俺を倒すことはできない。」


　レオの言葉にネーベルは苛立ちを隠せなかった。彼の自信が揺らぎ始める。そして、その瞬間を見逃さなかったレオは、攻撃の機会を逃さなかった。


　「ネーベル、お前の天才ぶりには敬意を表するが、俺もただの戦士ではないんだ。」


　その言葉と共に、レオは一瞬の隙を突いてネーベルに接近する。ネーベルは驚愕し、反撃を試みるが、レオの動きは圧倒的だった。


　「これが俺の力だ、ネーベル。」


　レオは冷静に、しかし確実にネーベルを追い詰めていく。ネーベルのディープミストは徐々に薄れ、彼の姿が露わになる。


　「な、なんてことだ…」


　ネーベルの顔に絶望の色が浮かぶ。しかし、レオはその表情を見て、ただ静かに微笑むだけだった。


　「まだ終わりじゃない、ネーベル。本気でやろう。」


　その言葉にネーベルは再び闘志を燃やす。彼の目には再び鋭い光が宿り、ディープミストが再び濃くなる。


　「ならば、見せてやろう、レオ。私の全力を！」


　こうして、二人の戦いは新たな段階に突入する。見えざる戦いの中で、レオとネーベルの真の力が試される瞬間が訪れた。