異世界転移したらジョーカーのスキルを渡されたので4つの王国を嫌々救います。

ハートの王国奪還編

第6話 ダイヤの王国4

　レオが封印を解き終わると、重厚な鉄の扉がゆっくりと開き始めた。冷たい風が地下道を駆け抜け、俺たちの肌を刺すように感じた。



　「行こう」
　俺は小声で言い、リリスとレオとともに慎重に扉の向こうへと足を踏み入れた。



　部屋の中には、古い書物や魔法の道具が散乱しており、中央には大きな魔法陣が描かれていた。その魔法陣の中心には、一人の男が立っていた。彼こそが、ダイヤの王国の邪悪な王子、レオナルドだった。



　「ようこそ、勇敢な訪問者たち」
　レオナルドは冷たく笑みを浮かべた。　　　　　　　

　「しかし、ここで何をしようとも、私の計画は止められない。」

　
　「レオナルド、あなたの野望はここで終わりです！」
　リリスが強い声で言った。


　「そう簡単にはいかないさ」
とレオナルドは手をかざし、魔法陣が輝き始めた。


　「何だこれは!?」
　アキラが驚きの声を上げる間もなく、彼ら3人はそれぞれ別の場所に飛ばされてしまった。

　
　レオが目を開けると、ダイヤのジャック、ネーベルが目の前に立っていた。


　「逃げ出したりして、また私に捕まりたいのか！」
　ネーベルが冷たく言い放つ。

　レオは拳を構え、目の前の敵を見据える。

　「今度はそう簡単には捕まらない。」


　ネーベルは笑みを浮かべ、手に持つ長剣を振りかざした。二人の攻撃が交差する音が響き渡る。ネーベルは素早い動きで攻撃を繰り出し、レオもそれに応じて防御と反撃を続ける。


　「思ったよりもやるな、だが私の方が上だ」
とネーベルが言い、次第に攻撃の速度と力を増していく。


　レオは心の中で決意を新たにする。
　「こんなところで倒れるわけにはいかない…リリス様、アキラ様、待っていてください」


　一方、リリスはダイヤのキングの息子、バーンと対峙していた。冷たい目で彼女を見つめるバーンは、力強いオーラを放っている。


　「お前を捕え父上の元まで送り届ける、無駄な抵抗はしない方いい。」
　バーンが冷酷に告げる。


　リリスは拳握りしめ、戦う準備を整える。　
　「私は王国を取り戻すために負けるわけにはいかないのです！」


　そして、俺はバーンの妹クララと向き合っていた。クララは攻撃を仕掛けてこない。


　「君は…？」
　そう俺が尋ねると、クララは顔を赤らめながらも冷たく答える。
　「別に、あんたに興味ないわ。父上、クララのとこに飛ばしてこないでよ…」


　アキラはクララの態度に戸惑いながらも、少し笑みを浮かべた。


　「戦うつもりはないの？」


　クララは顔を赤らめつつも、冷たく答えた。
　「別に、あんたに興味ないわ。ただ…父上の命令だから仕方なくここにいるだけよ。」


　「そうなのね」
　俺は少し安心しながらも、警戒を解かない。
　「でも、俺たちはハートの王国とダイヤの王国を救うために来たんだ。君も協力してくれない？」


　クララは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに冷静を取り戻した。　
　「協力なんてするわけないでしょ。でも、あなたたちが本当に父上を止められるなら、それも悪くないかもね。」


　その言葉に俺は希望を感じた。
　「ありがとう、クララ。君の協力があれば、きっと…」


　しかし、クララは手を振って制した。　　　　　　　　　

　「勘違いしないで。ただ、興味がないだけよ。でも…少しだけなら話を聞いてあげる。」


　俺はその言葉に微笑みを浮かべながらも、心の中で決意を新たにした。流石に娘の言うことなら親であるレオナルドも聞いてくれるだろ…だって俺戦いたくないもん