荒漠と混沌の皇帝

黒蜜

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目覚め

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心地良い。実に心地良い。何かが己の外側を撫でる。何かが鼻腔をくすぐる。そして何かが瞼を摘んで持ち上げた。
風、匂い、光。始めに感じたのはこれだけである。実に心地良い目覚めであった。
色を色と認識するのも音を音と認識するのも、さほど時間はかからなかった。

実に心地良い。されど気怠さがあった。
深く空気を取り込むと、全身が震える。体の内側からみなぎるものが、僅かな鈍りを揺さぶり、肢体を奮い立たせる。
同時に己はいていた。鼓膜を震わす己の音と、音を作る己の身体の震えが重なる。気怠ささえも紛れ込み、なんと心地良いことだ。

嗚呼、我、イザ 躍ラン
満チル 歓ビ 
内 ニ 留メル ハ 愚カナレバ

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