警視庁雑務部雑務総務課〜父の無実の罪を晴らすため就職しました〜

産屋敷 九十九

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File1 自覚無き殺人犯

第二十話 逮捕の裏側5-2 其々の配置

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俺と課長は再度プラネタリウムに戻った。

「歩君、いいとこあったかい?」

「いいとこっていうかぁ、ここしかないわよねぇ」
と歩さんが解説席にどかっともたれた。

「解説席がどうかしたんですか?」

「非常事態に備えてここに身を潜めるのよぉ。いやぁねぇ、煽り役はやってもらうけど服部と二人きりにするとは言ってないじゃなぁい」

「そ、そうですよね。ハハハハハハ……」


てっきり、俺一人でやるのかと思ってたから良かった……。


苦笑いをして頬をかく俺の様子を見て歩さんが「呆れた」やれやれと首を横に振り、課長は腹を抱えて声を押し殺しながら笑っていた。

「でもどうするんだい? 解説席に潜むのはいいけれど、こちからも相手からも見えないんじゃあ狙撃は難しいんじゃないかな」

解説席はL字型になっており、人が二人三人入っても余裕なくらいの広さだったが、板が下まで張ってあり隙間一つないのでこちらから狙いを定めて狙撃をするのは至難の技だろう。

「そこはほらぁソフィアと士郎さんの指示で」

歩さんが自分の耳を指差した。

「……まさか受令機のみの指示で? それは無謀というものだよ」

「目視なしでそんなことが可能なんですか?」

「前に射撃場借りて試してみたら結構いい線いってたわよぉ?」

「君たちそんなことやってたの……確率はどれくらいなんだい?」

「九十三パーセントよ」

「「高っ⁉︎」」

遠隔戦を得意としてる歩さんだからこそ可能なんだろう。更に言えばソフィアさんの分析能力と士郎さんの刑事としての経験がここで活きて目視無しでの狙撃が可能になるということか。

「でも意外ですよね。そういうのは椿先輩の分野かと思ってましたが……」

ソフィアさんは情報収集及び分析で士郎さんは接近戦を得意としている。
一方で椿先輩は機器の開発や改良とその操作に長けている。機器の開発や改良のために具体的にどういう過程を辿るのかは分からないが、道具を作るためには緻密な計算が重要なんじゃないかと俺なりに考えた。だから射程距離等の計算も得意なんじゃないかと思っていたら、
「あの子は息をするように何かを作るけれど、こういう実戦における分析能力は全くの皆無よ。事前に準備できる場合だったら強いのだけれどねぇ」と歩さんが答えた。


……作るのと分析するのは別なのか。


俺は椿先輩の意外な一面に驚いた。




***




俺たちは部署へ戻ってきた。

歩さんと士郎さんとソフィアさんは射撃場へ行き命中率を上げるため指示を送る練習をするとのことだった。

椿先輩はカメラの改良に勤しんでいるようで、部屋からはガチャガチャ音が聞こえてくる。

俺は服部を監視している。もちろんイトメラを使って。

課長は仮眠室へ行き、睡眠をとることになった。
俺と課長は服部を交代で監視することになったからだ。

パソコン越しに映る服部は真面目に仕事に打ち込んでいた。





人を殺したとは思えないほどに──。
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