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File1 自覚無き殺人犯
第十五話 逮捕の裏側1 歩と士郎の依頼
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──逮捕の四日前
「ねぇ、正人くんちょっと頼まれてくれなぁい?」
と歩さんに声をかけられた。
「はい、何でしょうか?」
服部和毅には妻を殺害する動機はあっても殺人犯として捕らえるためには証拠不十分だった。
そのため、証拠を集めるために服部と接触し、仕掛けてきて欲しいとのことだった。
頼まれたのは三つ
一つ、偽の情報を流すこと
二つ、イトメラの付着
三つ、人を連れ込みやすい場所の調査
偽の情報を流すことで、服部を安心させ、これから起こる可能性のある第二第三の犯行を防ぐためだった。
仮に加藤が犯人でないという情報が流れてしまえば、服部は新たに真犯人を仕立て上げるために殺人を犯すと考えたからだ。
イトメラの付着は、第二第三の犯行を防ぐための監視及び証拠収集のため。
人を連れ込みやすい場所の調査については、
「これも第二第三の犯行を防ぐため……ですか?」
「まぁ、これはあとで説明するから取り敢えず調べてきてくれ」
「はい、わかりました」
そして、俺は今回の事件に関わりのありそうな超能力関連の資料集めと加藤大輔・服部和毅・ネットカフェのパソコンにUSBロボットを差し込むという椿先輩の依頼をこなし、服部和毅と接触し偽の情報を流しさらにイトメラを服部のスーツに付着させるという士郎さん達の依頼をこなしたのだった。
残る一つは人を連れ込みやすい場所の調査だった。
東京都豊島区西池袋一丁目のネットカフェクルックーを後にし、俺の自宅にある超能力関連の資料を車に積んで俺たちは士郎さん達からの依頼である「人を連れ込みやすい場所の調査」をするため車を走らせていた。
「人を連れ込みやすい場所って、ホテルとかじゃ駄目ですかね?」
「ほ、ホテルだって⁉︎ 後輩、勤務中にエッ◯なことするために士郎さん達が依頼したわけじゃないんダゾ! もう、これだから童貞は妄想が激しくて困るね⭐︎#/$€%」
「童貞は余計ですよ⁉︎ 俺、結構真面目に聞いてるんですけど⁉︎」
「冗談だよ。人を連れ込みやすい場所ってのは、よく刑事ドラマとかであるじゃン? 犯人が誘拐した奴を何年も使われてない古びた工場に閉じ込めるヤツ#/$€%」
「あぁ、ああいいう場所ですか……って、えぇ! まさか服部を誘拐するんですか⁉︎ 俺たち」
「例えだよ例え。そういう場所を探すだけだよ。安心しろ誘拐はしないカラ#/$€%」
「誘拐はって、そこで何かはするんですよね?」
「何もしなかったら、探す必要ないダロ#/$€%」
「まぁ、そうですよね……」
「ナァ、後輩#/$€%」
「はい、なんでしょう?」
「服部を安心させるためにアホな警官演じたりイトメラ仕掛けたときの頭のキレは一体どうした⁉︎ 今とか普段のなんか抜けた感じと比較してオンオフの差がありすぎてビックリダヨ!#/$€%」
「そ、そんなこといわれても。これが俺? ですから」
「まぁ、本番で強いのはイイことだけどナ、後輩#/$€%」
「はい?」
「無自覚な二重人格とかじゃないヨナ?#/$€%」
「あの、何度も言いますけど先輩、俺は公安受けるくらいには───」
「ブッ!#/$€%」
またか、この反応にも少し慣れてきた。
「……先輩? そろそろ探しましょうか」
「申し訳ナイ#/$€%」
「とはいえ使われてない工事とか廃屋っていうのはあまりこの辺はないですよね」
「あまり古いところは危ないからやめたほうがイイナ#/$€%」
「じゃあ、ああいうとこもやめたほうがいいですよね」
と俺は工事現場ね仮囲いの白いパネルを視線で示す。
鉄骨をクレーンで運んだり、ドドドと機械音を響かせながら締固め等をし、汗を拭いながら仕事をする工事現場のおじさんがいた。
「安全性の高い場所がイイナ#/$€%」
「じゃあ、営業時間外のどっかの店とか?」
「後輩#/$€%」
「はい?」
「ちょっと面倒くさくなってきたダロ?#/$€%」
ギクリと俺はわかりやすく肩を揺らした。
バ、バレたか。
「すみません。ちょっと集中切れてきました。ハハハハハハ……」
俺は左手を後頭部にやりながら乾いた笑いをこぼした。
「まぁ、丁度イイ。良さそうな場所があったゾ#/$€%」
椿先輩に言われた住所をナビに打ち込んで、ナビの音声に従いその場所へ向かった。
「ここですか?」
そこにあったのは、メッシュシートに覆われた建物だった。
メッシュシートに「チェリーブロッサムプラネタリウムオープン」とかかれ、オープンの日付けは二ヶ月後になっていた。
「ここダ。二ヶ月後ならもう大体やるべきことは終わってるはずダ。あとは内装をちょちょいと覗いてよければ依頼完了ダナ#/$€%」
「ちょちょいとって、電話して許可もらわないと……」
「もちろん許可はとるサ。権力を使ってねじ伏せてでも許可をモラウ#/$€%」
「それを職権濫用って言うんですよ先輩!」
「だーいじょーぶ。うちそういうとこ融通利くカラ。超能力者の捜査ってのは、ココまでしないと真相は暴けないものダヨ#/$€%」
「でもばれたらやばくないですか?」
「うちの部署は特例としてそれ自体が認められてるしネ。設立時からそれは規則に組み込んでアルし大丈夫。ウチでは合法的な捜査に過ぎナイノダ#/$€%」
「ご、合法ですか?」
職権濫用がうちでは合法⁉︎
「じゃ、戻るぞ後輩#/$€%」
「了解です……」
初めて知る事実に俺は理解が追いつかないまま警視庁に戻ったのだった。
「ねぇ、正人くんちょっと頼まれてくれなぁい?」
と歩さんに声をかけられた。
「はい、何でしょうか?」
服部和毅には妻を殺害する動機はあっても殺人犯として捕らえるためには証拠不十分だった。
そのため、証拠を集めるために服部と接触し、仕掛けてきて欲しいとのことだった。
頼まれたのは三つ
一つ、偽の情報を流すこと
二つ、イトメラの付着
三つ、人を連れ込みやすい場所の調査
偽の情報を流すことで、服部を安心させ、これから起こる可能性のある第二第三の犯行を防ぐためだった。
仮に加藤が犯人でないという情報が流れてしまえば、服部は新たに真犯人を仕立て上げるために殺人を犯すと考えたからだ。
イトメラの付着は、第二第三の犯行を防ぐための監視及び証拠収集のため。
人を連れ込みやすい場所の調査については、
「これも第二第三の犯行を防ぐため……ですか?」
「まぁ、これはあとで説明するから取り敢えず調べてきてくれ」
「はい、わかりました」
そして、俺は今回の事件に関わりのありそうな超能力関連の資料集めと加藤大輔・服部和毅・ネットカフェのパソコンにUSBロボットを差し込むという椿先輩の依頼をこなし、服部和毅と接触し偽の情報を流しさらにイトメラを服部のスーツに付着させるという士郎さん達の依頼をこなしたのだった。
残る一つは人を連れ込みやすい場所の調査だった。
東京都豊島区西池袋一丁目のネットカフェクルックーを後にし、俺の自宅にある超能力関連の資料を車に積んで俺たちは士郎さん達からの依頼である「人を連れ込みやすい場所の調査」をするため車を走らせていた。
「人を連れ込みやすい場所って、ホテルとかじゃ駄目ですかね?」
「ほ、ホテルだって⁉︎ 後輩、勤務中にエッ◯なことするために士郎さん達が依頼したわけじゃないんダゾ! もう、これだから童貞は妄想が激しくて困るね⭐︎#/$€%」
「童貞は余計ですよ⁉︎ 俺、結構真面目に聞いてるんですけど⁉︎」
「冗談だよ。人を連れ込みやすい場所ってのは、よく刑事ドラマとかであるじゃン? 犯人が誘拐した奴を何年も使われてない古びた工場に閉じ込めるヤツ#/$€%」
「あぁ、ああいいう場所ですか……って、えぇ! まさか服部を誘拐するんですか⁉︎ 俺たち」
「例えだよ例え。そういう場所を探すだけだよ。安心しろ誘拐はしないカラ#/$€%」
「誘拐はって、そこで何かはするんですよね?」
「何もしなかったら、探す必要ないダロ#/$€%」
「まぁ、そうですよね……」
「ナァ、後輩#/$€%」
「はい、なんでしょう?」
「服部を安心させるためにアホな警官演じたりイトメラ仕掛けたときの頭のキレは一体どうした⁉︎ 今とか普段のなんか抜けた感じと比較してオンオフの差がありすぎてビックリダヨ!#/$€%」
「そ、そんなこといわれても。これが俺? ですから」
「まぁ、本番で強いのはイイことだけどナ、後輩#/$€%」
「はい?」
「無自覚な二重人格とかじゃないヨナ?#/$€%」
「あの、何度も言いますけど先輩、俺は公安受けるくらいには───」
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またか、この反応にも少し慣れてきた。
「……先輩? そろそろ探しましょうか」
「申し訳ナイ#/$€%」
「とはいえ使われてない工事とか廃屋っていうのはあまりこの辺はないですよね」
「あまり古いところは危ないからやめたほうがイイナ#/$€%」
「じゃあ、ああいうとこもやめたほうがいいですよね」
と俺は工事現場ね仮囲いの白いパネルを視線で示す。
鉄骨をクレーンで運んだり、ドドドと機械音を響かせながら締固め等をし、汗を拭いながら仕事をする工事現場のおじさんがいた。
「安全性の高い場所がイイナ#/$€%」
「じゃあ、営業時間外のどっかの店とか?」
「後輩#/$€%」
「はい?」
「ちょっと面倒くさくなってきたダロ?#/$€%」
ギクリと俺はわかりやすく肩を揺らした。
バ、バレたか。
「すみません。ちょっと集中切れてきました。ハハハハハハ……」
俺は左手を後頭部にやりながら乾いた笑いをこぼした。
「まぁ、丁度イイ。良さそうな場所があったゾ#/$€%」
椿先輩に言われた住所をナビに打ち込んで、ナビの音声に従いその場所へ向かった。
「ここですか?」
そこにあったのは、メッシュシートに覆われた建物だった。
メッシュシートに「チェリーブロッサムプラネタリウムオープン」とかかれ、オープンの日付けは二ヶ月後になっていた。
「ここダ。二ヶ月後ならもう大体やるべきことは終わってるはずダ。あとは内装をちょちょいと覗いてよければ依頼完了ダナ#/$€%」
「ちょちょいとって、電話して許可もらわないと……」
「もちろん許可はとるサ。権力を使ってねじ伏せてでも許可をモラウ#/$€%」
「それを職権濫用って言うんですよ先輩!」
「だーいじょーぶ。うちそういうとこ融通利くカラ。超能力者の捜査ってのは、ココまでしないと真相は暴けないものダヨ#/$€%」
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「うちの部署は特例としてそれ自体が認められてるしネ。設立時からそれは規則に組み込んでアルし大丈夫。ウチでは合法的な捜査に過ぎナイノダ#/$€%」
「ご、合法ですか?」
職権濫用がうちでは合法⁉︎
「じゃ、戻るぞ後輩#/$€%」
「了解です……」
初めて知る事実に俺は理解が追いつかないまま警視庁に戻ったのだった。
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