魔女の涙

まじょのなみだ【絵本風（ひらがな）】

おわり

パタリとほんをとじました。

そのひとは、ほんをとじたあと、おおきなためいきをつきました。

「まったく、にんげんとは──おろかなものよな」

そして、このほんをかいたひととよんでいたひとは、まぎれもなくかみさまじしんでした。








「まったく、にんげんとは──おろかなものよな」というかみさまのことばのいみ。

これは、じぶんにきびしくひとにやさしくしつづけたまじょ、じぶんたちのことだけしかかんがえずにまじょにきびしくかかわりつづけたひとびととわかいおとこにたいしていったことばでした。

ひとにやさしく、じぶんにきびしくということばがあります。

しかし、まじょのようにひとにやさしくじぶんにきびしすぎるようでは、まじょのようにこころがこわれてしまいます。

また、ひとびとやわかいおとこのように、まじょにきびしすぎるようでは、まじょがつらいおもいをしてしまいます。

ときには、じぶんにきびしくひとにやさしく、またときには、ひとにきびしくじぶんにやさしくすることができたなら、そのバランスをうまくとることができたなら、まじょもひとびともわかいおとこもみんなしんでしまうこともなかったでしょう。





このものがたりは、かみさまがむかしにあったとあるほしでのできごとをかみにかいてほんにし、それをよみかえしているというおはなしです。