魔女の涙

産屋敷 九十九

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まじょのなみだ【絵本風(ひらがな)】

にぺーじ

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とあるむかし、りゆうはよくわかりませんが、あめのふらないくにがふえていきました。

そのせいで、だいちはひからびて、やさいやおこめがそだたず、たべられるものがなくなり、おおくのひとがしんでいきました。

そんなとき、ふらっとひからびただいちにおとずれたまじょはいいました。

「わたしがうれしくてなみだをながしてしまうようなことをしてくれませんか?」

そうすれば、このだいちにあめをふらすことができると、まじょはいいました。

そのくにには、ほかのくによりもたくさんのほんがありました。

たまたまそのまじょはほんがすきということもあって、くにでいちばんおおきなとしょかんへまじょはつれていかれました。

まじょは、ほんをてにとりました。

「このものがたりは、とてもかんどうてきね」

そういって、まじょはほんのさいごのページをひらいたまま、なみだをながして、あめをふらせました。



それから、まじょへあめをふらせてほしいと、まじょにおねがいするひとたちがたくさんやってきました。

ほんやおいしいごはん、おかね、ほうせきなどが、たくさんのくにからまじょにプレゼントされました。

はじめは、ひとをたすけるためになみだをながしてきたまじょでしたが、プレゼントをわたされるたびになみだをながすことをきたいされ、なみだをながすことができなければ、たくさんのひとからざんねんがられたり、ひどいことをいわれたりしました。

まじょは、ひとをしんじることができなくなりました。

やがて、まじょはなみだをながすことができなくなりました。

しあわせななみだをながせなくなったまじょに、ようはありません。

いままで、まじょのいえにおくられつづけてきたプレゼントはだんだんへっていき、まじょのいえにプレゼントがとどかなくなりました。

もともと、ひとをたすけるためになみだをながしてきたまじょは、プレゼントがとどかなくてもこまることはありません。

なみだをながしてひとをたすけるまえは、びょうきをなおすくすりをつくって、それをひとにうって、おかねにして、せいかつしていたのですから。
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