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第4章 奴隷と暮らす

第24話

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 荷物を受け取る俺の様子を見て、狐人がアイテムボックスを持っていないのかとご主人様に聞いた。

 アイテムボックスについてもご主人様は知らなかった。知らないというより、スキルである無限収納イベントリと魔道具のアイテムボックスを同じと捉えていたようだ。

「アイテムボックスか……あった方が便利だよな。それで……アイテムボックスは買えるのか?」


***


 それから俺たちは、『リンジーとウルジーの武器魔道具屋』にやってきた。

(アイテムボックスを知らないのに、魔道具屋は知ってるのか……)

 魔道具屋に足を運んだことがあるなら、アイテムボックスを必ず目にするはずだが……と俺は不思議に思う。

「おぉ? あんちゃんじゃねぇか! ちょうど良かった。昨日言ってた魔銃、出来たぜ! 奥で試し撃ちしてくか?」

 店に入ってすぐ、ドワーフの大きな声が俺たちを出迎えた。アイテムボックスを注文したご主人様は、ドワーフがアイテムボックスのコストを調整する間、事前に注文していた魔銃の試し撃ちをすることになった。

 武器屋のウルジーに奥の部屋へ通された後、俺たち奴隷は、壁側で見学をすることになった。ご主人様は、ウルジーに魔銃の撃ち方を指導され、銃を構える。最初に手渡された一丁目は至って普通だった。しかし、二丁目は特殊だった。


 バアアァァン────────────!


(すごい……)

 一丁目は、魔弾がどう飛ぶかをイメージすればいいだけだったが、二丁目は魔弾を作るところからイメージしなければならないものだった。しかも、その魔弾の元が硬貨だ。

 通常の物と比べて時間はかかるが、使い熟せば、じきに馴染むだろう。そして、戦闘時に一丁目が弾切れになっても二丁目のあの特殊な魔銃があればその心配もない。

(あんな銃があったのか……)

 奴隷になっている間に、随分と変わったんだな、と思っていたのだが───。

「こりゃあ、すげぇな……」

 リンジーは目を丸くし、想定外といった様子で地に落ちぼろぼろになった的を見ていた。

「発砲までに時間はかかりますが、威力はこっちの方が良さそうですね」

「あぁ、まるで魔力でも纏ってるみてぇだな……。まぁ、魔結石で実際に魔力は纏ってんだけど……って、何言ってんだか。ま、いっか! 上手くいったようで取り敢えず良かったぜ!」


 あの銃、まさか─────


(ご主人様のオーダーメイドか⁉︎)

 よくよく冷静になって考えてみれば、お金を戦闘の武器として使おうとは、誰も考えはしないだろう。経済的に余裕のある貴族だって、その考えに至るとは到底思えない。

 ご主人様だからこそ、あの魔銃が思い付いたのだと思うのが自然だった。この人間のお金の使い道がおかしいのは、今に始まったことではないのだから。


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