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病の話
合流
しおりを挟むあちこちの家で聞き込みをし、分かったことはかなりの数の不治の病の子が発作のような苦しさで寝込んでること。
あとこの病の始まりは昨日の夜中から今日の朝、中には昼と時間はバラバラだという事が分かった。
とりあえず集めた情報を元に南側に向かうとリアと出会った。
「フェル。そっちはどうだった?」
「時間はバラバラだけどかなり数が多かったよ。僕の方は不治の病の子ばかりだった。」
「俺のとこは憑依型と不治の病の人だったが、皆苦しそうだ」
「あとはアルトの方だけど……」
僕達は街の西側から東側に移動する。
「副団長!!」
「アルト。どうだった?」
東側を歩いているとアルトが前から走ってきた。
「かなり数が多いです。不治の病の子は発作もない軽い子も発作を起こしていました。憑依型の子は西側から東側にはいません」
「じゃあ街にいる不治の病の子と憑依型の子に症状がでてるんだね」
「そうなるな。ただ早くしないとかなりまずいんだ。ルナみたいに不治の病が重いヤツにはかなり強く症状が出ている」
「僕らは致命傷以外では死ねない。それは不治の病の子にとっては生き地獄です」
「そうだね。けど、一体誰がこんな大掛かりな魔法を使ったんだろ?」
街全体に作用する魔法なんて魔力が余程多くないと無理だ。
「ここまでの魔法なら魔力が多いものに限られるが、魔力が多いと、不治の病になる可能性が高い」
「けど不治の病の人なら意味無いと思う。自分を苦しめるだけだし」
「なら体が丈夫で魔力が膨大な人……そんな人居るんですか?」
僕達は悩む。
魔力が多いと不治の病は発症しやすい。
不治の病は魔法に体が着いていかなくて起こるのだから……
ゲーム内に魔力が膨大で丈夫なキャラなんていただろうか?
多分居ない。けど確か……
記憶を巡らしてふと気がついた。
「魔法陣……」
「え?」
「魔法陣なら、できないかな?これぐらい大掛かりな魔法」
「確かに可能だろうが……魔法陣を使う魔法使いは俺は一人しかしらない」
「俺も知りませんね。一人しか」
そう。このフェアリースクイズの世界には一人だけ、魔法陣を使い魔法を使うキャラがいる。
魔法陣は大掛かりな範囲魔法等が可能だが、魔力制御に優れ膨大な魔力を持つものしか使えない。
僕達は顔を見合わせる。
魔法陣を使い、膨大の魔力を持つ人
それはこのゲームのヒロイン
アクアだ。
「しかし副団長。アクア様なら、彼女も不治の病ですよ?」
「まさかとは思うが……気を引くためか?」
「は?」
リアの言葉に僕は首を傾げる。
「フェル。お前、アクアとは仲が良いだろ?貴族の中でもお前らは有名だ。幼なじみだとな」
「それはそうだけど……僕はルナとも幼なじみだよ?」
ゲームの話からして、幼なじみの期間ならルナの方が長い。
「え?副団長、ルナ様と幼なじみなんですか!?」
「うん。あの子は平民だけど小さい頃から仲が良くてね」
「そうだったのか。てっきりルナは貴族とばかり思っていたが……」
「違うよ。ルナは平民。アクアもそれは知って……」
その時気がついた。アクアはルナと僕が幼なじみだと知っている。
そしてルナのことをアクアは酷く嫌ってる。そしてあの子は……発作を誘発する魔法も使える。
「まさか…ルナを狙った?」
「は?なんでルナを……」
「副団長、確かアクア様との婚約は断ったのですよね?」
「うん。断った。あの子の許嫁は今は離れて暮らす僕の弟だ」
どの道僕は騎士として歩みたいし、地位や名誉には興味無い。
アクアの家はそれなりに位が高いから僕の家と結婚すれば地位も上がり、それこそ公爵になれるぐらいだろう。
「女の恨みってやつかよ…」
「俺たちの憶測が正しいならそうですね」
「っ……二人ともごめん。僕が婚約を断ったから」
すると二人は首を横に振る。
「恨んだのはアクアだ。フェルは悪くない」
「そうですね。それに意中の方に振られるなんて良くある話ですよ」
「そうだな。普通にあるな。ありすぎる」
まぁそれはそうだ。前世の時も僕は断らなかったけど、普通にみんな玉砕してた。
「とりあえず、その元凶のアクアに話を聞きに行くか」
「そうですね。そして病を直してもらいましょう」
「そうだね。行こう!」
僕達はアクアの家に走り出したのだった。
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