転生したら大嫌いなキャラだったけど何故か主人公に愛されそうです

絆の話

決戦前夜 sideフェル

作成会議から一日達、明日はヘムトの屋敷に乗り込む。

「フェル...」

「ルナ？どうし...え？」

ベッドに座りぼんやりと書類を眺めていたらルナの声がして振り向くと、ネグリジェが肩から落ちて色っぽい姿のルナがいた。

「ん...ねむい...」

「ふふ...ルナ暖かい」

背中合わせで本を読んでいたけど眠くなったらしく、ルナは僕に抱きつく。

ぽかぽかと暖かい体温とミルクみたいに甘い匂いがするルナを抱きしめると心が休まる。

ノルンが部屋に来てからまだ数日なのに怒涛のような日々でルナとこうして抱き合う時間も少なくなった。

触りっこしたり、抱き合ったはしても前みたいにずっと平和で二人きりの世界という時間は少なくなった。

早く解決してルナと平和な時間を過ごしたい。

ルナの体だって休めたい。きっと無理してると思う。

ヘムトの事はルナにとってかなりのストレスだろうし...

体調を崩してないのは、気を張ってるというのもあるだろう。

ゲームの中のルナみたいにしたくない。死なせたくない。

この子を幸せにする。それが転生してきた時に僕が思ったことだ。

不思議な事に、フェルのそれまでの過去の記憶はあるから今回の事件も苦労はしてない。

ゲームとは違うシナリオ。だけどフェルの経験で何とかなってる。

「ふぇ...る...」

いつの間にかルナは眠ってしまい、僕の名前を寝言で呼んでる。

可愛い。本当に可愛い...

愛しい...

きっとリアとノルンも同じ感じなのかもしれないと思う。

だから早くノルンの体を取り戻してあげたい。そしたら解決するし、ヘムトが倒れたら脅威も無くなりまた平和な時間になるから...

「あと少し...あと少しだよ、ルナ。絶対に守るからね」

僕はルナにキスをする。

そういえば、前世で僕を見ていた子は元気に暮らしているだろうか？

彼とは話せなかったけど、元気に幸せに暮らしていて欲しい。

それだけが転生しても心残りだから...