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騎士団稽古
しおりを挟む騎士団の中をフェルに案内してもらうことになった。
騎士団はフェルの家の1階の別館にある。
騎士を育成する学校もしているのだとフェルは教えてくれた。
別館はとても広く、多分、フェルの家ぐらいあると思う。
庭もあり、騎士の方が稽古してる。
「アルトやミルラは僕や父の近衛でもあるから家に入れるけど、他の人は僕らの家には入れないんだよ。この場で成長して、そして国を支える騎士になる」
「凄いね。みんなかっこいい」
「守りたいものはそれぞれ違うんだよ。僕やアルトみたいに好きな人を守りたい人もいれば、国を守りたいものやまぁ私利私欲の奴もいるかな?女の子にモテたいとか」
「そんな人いるの?」
「いるよ。他にも幼なじみの男の子を守りたいからとか来る人もいるね。ちなみに恋愛相談とか良くしてるよみんな」
騎士と言っても様々だなぁ
そう思いながら稽古の様子を見てると、アルト様とミルラ様が居た。
二人は庭のベンチに座って話している。
微笑ましい光景だ。
「フェル様!!」
「ルリ。どうかしたの?」
すると僕らの前に青い髪の男の子がやって来た。
歳は、僕より少し幼い。
見習い騎士って感じがある。
「実はアルト様がリア様と稽古をするのです!見ていきませんか?」
「それは面白いね。是非見せてもらおうかな?」
「リア様?」
するとフェルは僕の頭を撫でる。
「今騎士の中で二番目にソードマスターに近い男だよ。ほらあの人」
「お、おっきい…」
庭の真ん中にアルト様と茶髪の男性が現れた。僕やフェルより遥かに歳上で、多分二十歳は過ぎてる。体格も良くてアルト様が小さく見える。
アルトはフェルと同じ金髪。光にあたってキラキラしてるし、ミルラ様は水色の髪の毛で、手を握ってアルト様を見つめてる。
「僕らも行こうか。面白いものが見えるよ」
「う、うん」
僕らは庭に入り、二人に近づく。円状に人が集まり真ん中にアルト様とリア様が立っている。
「アルト。どちらがソードマスターにふさわしいか勝負だ」
「僕はあんまり称号に興味は無いけど…」
アルト様とリア様は剣を抜く。
そしてアルト様は剣に指を滑らせる。
するとアルト様の剣が青い色に包まれた。
「な、なにあれ?」
「魔法だよ。アルトは複属性なんだ。水と風。それを同時に剣に宿した」
「そんなことできるの?」
「できるよ。けどリアも凄い」
「え?」
リア様は剣に口付ける。するとボンっと赤色に染まった。
「わっ、な、なに?」
「リアは火の魔法使い。しかも騎士団1の魔法剣の使い手」
「いくぞ、アルト」
そしてリア様が剣を振り下ろす。
ガンッ!という音と共に、周りが爆風に包まれた。
「わっ!!」
凄まじい風が襲ってきて、倒れそうになる。
「フォースシールド!!」
フェルが魔法のバリアを貼ってくれたので爆風に当たることがなくなる。
「中々の重みだね。リア!」
「お前こそよく耐えた。もう一度いくぞ!」
「させないよ!」
アルト様は振りかぶろうとしたリア様の懐に入り、剣を弾こうとする。
しかしそれは読まれていたらしく交わされてしまう。
「そう来ないとね!剣よ、風をまとえ!」
ぶわっと風が巻き起こり、アルト様の剣に風がまとわりつく。
「中々やるな。火よ、燃え上がれ」
リア様も火を剣にまとわりつかせる。
「君も凄いね。けど負けないよ。水よ、風と合わされ」
「ほう…相変わらず魔法の扱いはお前が上だな」
風と水が剣にまとわりつき、美しい緑の剣になる。
「これで終わりだよ」
「させるか!!」
アルト様はリア様に飛びかかる。リア様は構えるがアルト様が消えた。
「なに!?」
「遅いね。俺の勝ちだ!」
ガキン!という音がした瞬間、リア様の剣が飛んでた。
見えなかった。何が起こったのか?
「まだまだだね。リア」
「くそ!また負けた。本当にお前は強いな」
「リアこそ最初の一撃凄かった。受け流し出来なかったら負けてた」
二人は握手をする。
そして周りから拍手が起こる。
「二人とも凄いね。じゃあ二人とも次は僕の相手をしてよ」
「え?」
「フェル!?」
いつの間にかフェルは僕の横から少し前に出て白翼の剣を出して、アルト様とリア様の前にいた。
「フェル様!?」
「ね?いいでしょ?副団長の僕が二人に稽古付けてあげる」
その言葉に、みんなは固まってしまったのだった。
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