転生したら大嫌いなキャラだったけど何故か主人公に愛されそうです

初めてのキス

食事をして、というかフェルに食べらしてもらった。

お粥が熱くないように冷ましてくれて、唇で確認までしてくれた。

それがなんというか色っぽくて、ドキドキした。

その後は眠った。

コトコトという音で目が覚めると時計は昼になってた。

「目が覚めた。熱も下がったね」

「ん…」

「汗かいてる。お風呂入ってくる？」

「うん…入ってくる」

汗でベタベタして気持ち悪い。

フェルに支えられながら起きて、お風呂にまで連れて行ってもらった。

服を脱いでお風呂に入ると、鏡に体が映る。

ルナの体は、細くて痩せてる。肋も浮き出ているし肌も白い。

長い白い髪に赤い目を持ち、綺麗な顔立ちをしてる。

ゲームでは、フード被ってるし、黒い服だから分からないけどこんなにも細い人だったんだなって思う。

とりあえず体を洗って髪も洗う。

全身を洗い外に出てバスタオルで体を拭く。

脱衣籠にはバスローブが用意されていた。きっとフェルが構えてくれたのだろう。

「フェル…」

僕はフェルの名前を呼ぶ。

フェルを取られたくないという気持ちはどんどん大きくなってる。

アクアに渡したくない。フェルはアクアとは許嫁じゃないと言ってたけどそんなのどうにでもなると思う。

平民の僕は貴族の事には逆らえない。もしアクアがフェルじゃないと嫌と言ったら？

アクアはゲームのヒロインだ。フェルとアクアが引っ付くのがシナリオ通りなんだし…

「ルナ」

「っ！？」

考えていたらフェルがやってきた。

「髪かわさないと風邪ひく…ルナ？」

「ぁ…」

フェルは僕の顎をすくい上げて上を向かせる。

「泣いてたの？どうした？苦しい？」

「ち、違う…ちがうけど…」

言葉が出てこない。フェルをアクアに取られたくないなんて言えない。

「隠さないで？ルナの気持ち教えて？」

「っ…アクアに…会いたくない。フェルを取られたく…ないよ…」

発作の苦しみだってフェルがいるから我慢出来る。

フェルが居なかったからきっと我慢出来ない。

前の世界は一人でも耐えれた。

最初はあの頃と同じ痛みだと思った。

けどこの病の発作は前の世界の発作より辛くて、精神をおかしくしそうなんだ。

あんなのとは訳が違うとわかる。

「僕はずっとルナといるよ。アクアに会いたくないなら会わなくていい。弟にアクアのことは任せてるから大丈夫だよ。王都に行っても僕はルナの傍にずっといるよ」

「本当？離れない？」

「離れない。大丈夫。安心して」

フェルは僕の手を握り、そして僕らは惹かれ合うようにキスをする。

「ふっ…ん…」

ぴちゃっという音と共に舌を絡めるキスになる。

「んっ…ふっ…ん」

深いキスが終わり、ゆっくりと唇が離れると、銀の糸が僕とフェルを繋ぐ。

「ルナ。好きだよ。僕は君だけの騎士になるからね」

ゲームの中の告白のセリフを言われて顔が熱くなる。

「僕も…フェルが好き…大好き」

「両思いだね。嬉しいよ。ルナの彼氏になっていいかな？」

「うん…なって…ください…」

そして僕はフェルに抱きつく。するとフェルはまたキスをしてくれた。