転生したら大嫌いなキャラだったけど何故か主人公に愛されそうです

この世界のこと

フェアリースクイズの世界に転生して二日経った。

分かったことは、今ルナは十四歳で体の療養の為にこの森の中にいるという事。

そしてフェルとは幼なじみだということだ。

そんな設定ゲームには無かった。

幸いなのがルナが十四歳の時に転生出来たことだ。ルナは十五歳で世界に絶望するから絶望前に転生出来たのは嬉しい。

とりあえず死にたくないから殺されないように静かに優しい子になろう。というか僕は元から静かだけど

あともう一つ。ルナは病を持っててかなり病弱だ。今日も発作を起こしてしまった。

「ルナ大丈夫？」

「フェル…」

フェルは優しく僕を抱きしめる。

「フェル…ずっと居て…」

「もちろんだよ。ルナとずっといるよ」

「ありがとう」

経った二日だけど僕にとってフェルの存在は大きい。フェルが居るから辛い発作にも耐えられる。

この発作、生きてる時と同じだけどかなり苦しい。

一人だと死にたくなってしまう。

フェルは僕の発作が和らぐように胸元に回復魔法を掛けてくれる。

「ルナ。僕と一緒に暮らさない？」

「え？」

「父上にはルナのこと話してるからさ。王都ならお医者様もいるよ？」

「けど、フェルは王族だし、許嫁も…」

フェルは王族だ。この世界は階級が高いものは低い者を嫌うし、ましてやフェルには幼なじみのアクアがいる。
彼女はフェルの許嫁でもある。

「アクアの事なら大丈夫だよ。僕は彼女の許嫁じゃないし」

「え？」

なんで？彼女はフェルの許嫁だ。

「僕はルナが大好きだからね。それに弟がアクアの事好きだから弟の許嫁にしてもらってるんだよ」

ストーリーが全然違う。薄々思っては居たけどもしかしてゲーム通りの内容ではないのかな？

「どうかな？」

「フェルの邪魔にならない？僕は平民だし…」

「ならないよ。僕の家に来たら貴族になるし、ずっと守ってあげられる」

「フェル…」

僕はフェルを見つめる。

騎士になるフェルに守ってもらえるのは嬉しい。罪悪感もあるけどフェルをアクアに取られたくないという思いが僕の中に芽生えている。

「よろしくお願いします。フェル」

「こちらこそよろしくね。手紙を出すから帰って来るまで明日から荷物を纏めよう」

「うん…」

フェルは僕の手を握ってくれる。

なんで僕が好かれるルートなのかは分からない。だけどそれでも今はフェルを独り占めしたいと思ってしまったんだ。