【完結】シリアルキラーの話です。基本、この国に入ってこない情報ですから、、、

つじんし

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漆、生存者

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あの夜は忘れられない。

夏の夜のパーティーだった。
焚火の隣に立つソフィアの姿は、辞書に載っている「輝き」という言葉の説明にふさわしいものである。

女神に近づくのは勇気が必要なのだ。
男女問わず、誰もが遠いところから彼女を眺めるだけで、近づいたら冒涜になるのではないかとみんなは思っているだろう。

ソフィアは寂しかった。
その因は世離れした美しさだった。

「火を掴んでみたいね。」僕から話しかけてみた。

「ふふ」彼女は微笑んだ。「火傷するよ。」

「でも、君はそう思っているでしょう?だってずっと焚火を見つめている。」僕は手にもっている高地麦で作った私造酒を少し飲んだ。こいつの助けがなければ、ソフィアに話しかける勇気を出せなかった。

「確かに触ってみたかった。熱いとわかるのに…」ソフィアのほっぺは少し赤くなって目線を再び焚火に向けた。

「普通は雲を味わったり、光を掴んだりしたいけどね。」僕は少々酔っている感じがした。「雲や光はできないけど、火を掴めるぞ、おれ…」

「バカなことしないで」ソフィアは僕の顔を見つめながら忠告した。その目にはキラキラの何かがずっと光っていた。

「あなたのためなら、どんなバカなことでもやる。」あの時の僕はきっと頭悪そうな笑顔でこのセリフを言った。

「見て」僕は左手に酒をかけ、そのまま焚火に入れた。

ソフィアはびっくりし、最初は両手で口を覆ったが、すぐに僕の左手を焚火から引っ張り出そうとした。

彼女が引っ張り出した左手に妖艶な炎が纏っていた。
ソフィアの青い瞳が磁石にくっ付いたように、僕の手から離れられなかった。

僕は右手で彼女の腰を取り、二人の顔は息がかかりあうぐらいに近づいた…
人間の本能は素敵だった。


イワンとイリヤは町に来ていたアメリカ人ビジネスマンの所を訪れた。

「変人に興味があると噂で聞いたが、本当ですか?」イリヤはアメリカ人に聞いた。

「何をおっしゃっていますか?」アメリカ人はニヤリと笑った。「我が社は製薬会社です。病気を癒すためにいろいろな難病を患った方の体液や組織のサンプルを買取っています。」

「同じことですね。」イリヤは首を縦に振りながら、イワンに目線を送った。

「病気を癒すためなら、きっといい人達の集まりですね。」イワンは何かを確かめようとした。

「ハハ、そうですね。我々は社会責任が第一と考えている会社ですから、決して悪い人ではありません。」とアメリカ人は腕を胸の前に組んで言った。「ところで、受付によれば、お二人は耳より情報があるとおっしゃったが、それについてお尋ねしてもよろしいでしょうか?」

イリヤとイワンがまた目線を交換した後、喋った。
「実はこの町に超能力を持っているものがいます。」


彼らは僕のことをアメリカ人に売った。

そのアメリカの会社は製薬会社で間違いない。
やっている事も確かに病人の体から採取したサンプルの買取事業だった。

が、彼らのもう一つの目的はDNA採集だった。
なぜ分かったかというと、製薬会社のスタッフが僕からサンプルを取ろうとしたわけではない。

製薬会社のスタッフが母と話した時、因が勝手に現れた。
過去にDNAを集めた際の出来事や被験者の惨状もついでに見えてしまった。

母にそのことを話した翌日、知らないスキンヘッドのおじさんが僕を連れて町を後にした。

僕はおじさんと中国を縦断し、ミャンマー、ラオスとの国境にある小さな村にたどり着いた。
三カ国の国境が入り乱れている地域だから、地元の有力者が秩序を維持している。

中国に入ってから僕の能力が暴走したように、幻視が止まらなくなった。
その度におじさんはお経と唱えながら、木の棒で僕の体中を叩いた。

村についてしばらく経つと、おじさんが僧侶であることが分かった。
僕は日本に渡ったのは、おじさんの師が喩を送ってくれたから。
東へと…

母と親友がいる町から離れた後、音信不通になった。
日本に渡ってから十年、僕が再び町に訪れた時、イワンとイリヤ、そして母はみんな流行りの病で亡くなっていたことがやっと分かった。

----------------------------------------

お金がなくなる。
どうする?だるいな…

いつものように西関駅から拾うか。
いいところだよ。話かければついてくる奴が多い。



動く、へへ、叩いたあとで勝手に動く奴がいい。

刃で切る?動かないから、ダメだよ。
でもいい刃だ。

慶ちゃんが持ってこなければ、こんなに綺麗な刃物と出会えないだろうな~。
そういえば、慶ちゃんが最近来ないな。

あっ、そう、叩いたっけ?
いや、叩いてないはずだ。

なんで家に来ない?
あっ、慶ちゃんの祖母をったから?

そぉ~れはタバコを吸ったから、しわしわな女でもスベスベに見えるもの。
慶ちゃんに吸わせたら、きっと彼もチンコをあの老婆のマンコに入れる。

ダメだよ。吸いすぎだよ。
あの知恵遅れの子と七日もやったのに、それからチンコが立たなくなったぞ~。

クッソ親父!!
なんで俺を警察に突き出した!!!
殺す前に死ぬな!!!

あそこの野郎、背が高い。いいな~~、背が高くて
こっちを見た。

勝手に動く野郎かな?

え!一日に十元もほしい?気違いか?
豚小屋だぜ!?

ま、でも、、、
あ~そう、西安で一日に十元を稼いだことがあったね。
そこは省都だぜ、何を言っている。

今は?うん、少ししか持ち合わせていないか。
でも、着ている服を売れるから、いいか。

或いは慶ちゃんのところに連れていって古墳の中から…

でも、叩いてみたい
高いからな~~、背が高くてモテるよね。
叩いたら、白目になって手足がプルプル、へっへっへへ、プルプルプルプル

そうだそうだ。
芋畑も一緒に片付けてくれるなら、十元でもいいぞ。

そう、豚小屋の後でいい。
一晩寝てから芋畑の草を取ろう、食事はもちろん出す。

名前は「根正ねまさ」さんか?
露店映画を見に来たのか?

俺も映画すきだ。
子供の時は八つの模範劇もはんげきしかなかったのよね。

今はハリウッドっていうだけ?
そう、あの女たちは恥知らずだね、あんな服を着るぞ、胸はほぼ丸見えじゃないか?

アハハハ...

なに?!
俺のことを大きい犬に見えたと!!?

犬が立ったぐらい身長で悪いね。
アハハ、死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!.....

あっ、ダメ、顔に出しちゃダメ、悟られてしまう。
憎い奴だから、叩いた後に刃で少しずつ削ろう。

そう、もう遅いから、明日になってから仕事しよう。
臭い?失礼だね。

こんなに失礼な奴は帰れ!!

ふんふん、やっぱり金ほしいだろう?
帰れないよな~~

それともプルプルになりたいから?へへへ

そうだ、先に俺の女とやらせてから叩こうーーーぜ。
古墳に書いたように、タバコを吸わせて女をやって、出す直前にあれをやれば、永遠に硬いままで保てる。

こ奴なら出来そう。

えーー、でも出した後であれをやるなのか?いや、出す前かな?
思い出せない...

天下第一淫僧が言っているぞ、きっとそうだ、間違いない。
だって、タバコはよく効くから、本物だよ。

何?自分のを持っている?
俺のタバコはずっと高価な代物だぞ!

そんなことないか...
確かにパイプのほうが強くて香りもいいね...

もう寝よう、明日早いから。

チェッ、こいつ目、全然寝ない。
どうしよう?

あ~~、眠い......

ヒャーッ、日が昇ったか

クッソーーーーー!
逃げられてしまった!!!



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