7 / 10
漆、生存者
しおりを挟むあの夜は忘れられない。
夏の夜のパーティーだった。
焚火の隣に立つソフィアの姿は、辞書に載っている「輝き」という言葉の説明にふさわしいものである。
女神に近づくのは勇気が必要なのだ。
男女問わず、誰もが遠いところから彼女を眺めるだけで、近づいたら冒涜になるのではないかとみんなは思っているだろう。
ソフィアは寂しかった。
その因は世離れした美しさだった。
「火を掴んでみたいね。」僕から話しかけてみた。
「ふふ」彼女は微笑んだ。「火傷するよ。」
「でも、君はそう思っているでしょう?だってずっと焚火を見つめている。」僕は手にもっている高地麦で作った私造酒を少し飲んだ。こいつの助けがなければ、ソフィアに話しかける勇気を出せなかった。
「確かに触ってみたかった。熱いとわかるのに…」ソフィアのほっぺは少し赤くなって目線を再び焚火に向けた。
「普通は雲を味わったり、光を掴んだりしたいけどね。」僕は少々酔っている感じがした。「雲や光はできないけど、火を掴めるぞ、おれ…」
「バカなことしないで」ソフィアは僕の顔を見つめながら忠告した。その目にはキラキラの何かがずっと光っていた。
「あなたのためなら、どんなバカなことでもやる。」あの時の僕はきっと頭悪そうな笑顔でこのセリフを言った。
「見て」僕は左手に酒をかけ、そのまま焚火に入れた。
ソフィアはびっくりし、最初は両手で口を覆ったが、すぐに僕の左手を焚火から引っ張り出そうとした。
彼女が引っ張り出した左手に妖艶な炎が纏っていた。
ソフィアの青い瞳が磁石にくっ付いたように、僕の手から離れられなかった。
僕は右手で彼女の腰を取り、二人の顔は息がかかりあうぐらいに近づいた…
人間の本能は素敵だった。
イワンとイリヤは町に来ていたアメリカ人ビジネスマンの所を訪れた。
「変人に興味があると噂で聞いたが、本当ですか?」イリヤはアメリカ人に聞いた。
「何をおっしゃっていますか?」アメリカ人はニヤリと笑った。「我が社は製薬会社です。病気を癒すためにいろいろな難病を患った方の体液や組織のサンプルを買取っています。」
「同じことですね。」イリヤは首を縦に振りながら、イワンに目線を送った。
「病気を癒すためなら、きっといい人達の集まりですね。」イワンは何かを確かめようとした。
「ハハ、そうですね。我々は社会責任が第一と考えている会社ですから、決して悪い人ではありません。」とアメリカ人は腕を胸の前に組んで言った。「ところで、受付によれば、お二人は耳より情報があるとおっしゃったが、それについてお尋ねしてもよろしいでしょうか?」
イリヤとイワンがまた目線を交換した後、喋った。
「実はこの町に超能力を持っているものがいます。」
彼らは僕のことをアメリカ人に売った。
そのアメリカの会社は製薬会社で間違いない。
やっている事も確かに病人の体から採取したサンプルの買取事業だった。
が、彼らのもう一つの目的はDNA採集だった。
なぜ分かったかというと、製薬会社のスタッフが僕からサンプルを取ろうとしたわけではない。
製薬会社のスタッフが母と話した時、因が勝手に現れた。
過去にDNAを集めた際の出来事や被験者の惨状もついでに見えてしまった。
母にそのことを話した翌日、知らないスキンヘッドのおじさんが僕を連れて町を後にした。
僕はおじさんと中国を縦断し、ミャンマー、ラオスとの国境にある小さな村にたどり着いた。
三カ国の国境が入り乱れている地域だから、地元の有力者が秩序を維持している。
中国に入ってから僕の能力が暴走したように、幻視が止まらなくなった。
その度におじさんはお経と唱えながら、木の棒で僕の体中を叩いた。
村についてしばらく経つと、おじさんが僧侶であることが分かった。
僕は日本に渡ったのは、おじさんの師が喩を送ってくれたから。
東へと…
母と親友がいる町から離れた後、音信不通になった。
日本に渡ってから十年、僕が再び町に訪れた時、イワンとイリヤ、そして母はみんな流行りの病で亡くなっていたことがやっと分かった。
----------------------------------------
お金がなくなる。
どうする?だるいな…
いつものように西関駅から拾うか。
いいところだよ。話かければついてくる奴が多い。
動く、へへ、叩いたあとで勝手に動く奴がいい。
刃で切る?動かないから、ダメだよ。
でもいい刃だ。
慶ちゃんが持ってこなければ、こんなに綺麗な刃物と出会えないだろうな~。
そういえば、慶ちゃんが最近来ないな。
あっ、そう、叩いたっけ?
いや、叩いてないはずだ。
なんで家に来ない?
あっ、慶ちゃんの祖母を姦ったから?
そぉ~れはタバコを吸ったから、しわしわな女でもスベスベに見えるもの。
慶ちゃんに吸わせたら、きっと彼もチンコをあの老婆のマンコに入れる。
ダメだよ。吸いすぎだよ。
あの知恵遅れの子と七日もやったのに、それからチンコが立たなくなったぞ~。
クッソ親父!!
なんで俺を警察に突き出した!!!
殺す前に死ぬな!!!
あそこの野郎、背が高い。いいな~~、背が高くて
こっちを見た。
勝手に動く野郎かな?
え!一日に十元もほしい?気違いか?
豚小屋だぜ!?
ま、でも、、、
あ~そう、西安で一日に十元を稼いだことがあったね。
そこは省都だぜ、何を言っている。
今は?うん、少ししか持ち合わせていないか。
でも、着ている服を売れるから、いいか。
或いは慶ちゃんのところに連れていって古墳の中から…
でも、叩いてみたい
高いからな~~、背が高くてモテるよね。
叩いたら、白目になって手足がプルプル、へっへっへへ、プルプルプルプル
そうだそうだ。
芋畑も一緒に片付けてくれるなら、十元でもいいぞ。
そう、豚小屋の後でいい。
一晩寝てから芋畑の草を取ろう、食事はもちろん出す。
名前は「根正」さんか?
露店映画を見に来たのか?
俺も映画すきだ。
子供の時は八つの模範劇しかなかったのよね。
今はハリウッドっていうだけ?
そう、あの女たちは恥知らずだね、あんな服を着るぞ、胸はほぼ丸見えじゃないか?
アハハハ...
なに?!
俺のことを大きい犬に見えたと!!?
犬が立ったぐらい身長で悪いね。
アハハ、死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!.....
あっ、ダメ、顔に出しちゃダメ、悟られてしまう。
憎い奴だから、叩いた後に刃で少しずつ削ろう。
そう、もう遅いから、明日になってから仕事しよう。
臭い?失礼だね。
こんなに失礼な奴は帰れ!!
ふんふん、やっぱり金ほしいだろう?
帰れないよな~~
それともプルプルになりたいから?へへへ
そうだ、先に俺の女とやらせてから叩こうーーーぜ。
古墳に書いたように、タバコを吸わせて女をやって、出す直前にあれをやれば、永遠に硬いままで保てる。
こ奴なら出来そう。
えーー、でも出した後であれをやるなのか?いや、出す前かな?
思い出せない...
天下第一淫僧が言っているぞ、きっとそうだ、間違いない。
だって、タバコはよく効くから、本物だよ。
何?自分のを持っている?
俺のタバコはずっと高価な代物だぞ!
そんなことないか...
確かにパイプのほうが強くて香りもいいね...
もう寝よう、明日早いから。
チェッ、こいつ目、全然寝ない。
どうしよう?
あ~~、眠い......
ヒャーッ、日が昇ったか
クッソーーーーー!
逃げられてしまった!!!
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
この欠け落ちた匣庭の中で 終章―Dream of miniature garden―
至堂文斗
ミステリー
ーーこれが、匣の中だったんだ。
二〇一八年の夏。廃墟となった満生台を訪れたのは二人の若者。
彼らもまた、かつてGHOSTの研究によって運命を弄ばれた者たちだった。
信号領域の研究が展開され、そして壊れたニュータウン。終焉を迎えた現実と、終焉を拒絶する仮想。
歪なる領域に足を踏み入れる二人は、果たして何か一つでも、その世界に救いを与えることが出来るだろうか。
幻想、幻影、エンケージ。
魂魄、領域、人類の進化。
802部隊、九命会、レッドアイ・オペレーション……。
さあ、あの光の先へと進んでいこう。たとえもう二度と時計の針が巻き戻らないとしても。
私たちの駆け抜けたあの日々は確かに満ち足りていたと、懐かしめるようになるはずだから。
支配するなにか
結城時朗
ミステリー
ある日突然、乖離性同一性障害を併発した女性・麻衣
麻衣の性格の他に、凶悪な男がいた(カイ)と名乗る別人格。
アイドルグループに所属している麻衣は、仕事を休み始める。
不思議に思ったマネージャーの村尾宏太は気になり
麻衣の家に尋ねるが・・・
麻衣:とあるアイドルグループの代表とも言える人物。
突然、別の人格が支配しようとしてくる。
病名「解離性同一性障害」 わかっている性格は、
凶悪な男のみ。
西野:元国民的アイドルグループのメンバー。
麻衣とは、プライベートでも親しい仲。
麻衣の別人格をたまたま目撃する
村尾宏太:麻衣のマネージャー
麻衣の別人格である、凶悪な男:カイに
殺されてしまう。
治療に行こうと麻衣を病院へ送る最中だった
西田〇〇:村尾宏太殺害事件の捜査に当たる捜一の刑事。
犯人は、麻衣という所まで突き止めるが
確定的なものに出会わなく、頭を抱えて
いる。
カイ :麻衣の中にいる別人格の人
性別は男。一連の事件も全てカイによる犯行。
堀:麻衣の所属するアイドルグループの人気メンバー。
麻衣の様子に怪しさを感じ、事件へと首を突っ込んでいく・・・
※刑事の西田〇〇は、読者のあなたが演じている気分で読んで頂ければ幸いです。
どうしても浮かばなければ、下記を参照してください。
物語の登場人物のイメージ的なのは
麻衣=白石麻衣さん
西野=西野七瀬さん
村尾宏太=石黒英雄さん
西田〇〇=安田顕さん
管理官=緋田康人さん(半沢直樹で机バンバン叩く人)
名前の後ろに来るアルファベットの意味は以下の通りです。
M=モノローグ (心の声など)
N=ナレーション
カフェ・シュガーパインの事件簿
山いい奈
ミステリー
大阪長居の住宅街に佇むカフェ・シュガーパイン。
個性豊かな兄姉弟が営むこのカフェには穏やかな時間が流れる。
だが兄姉弟それぞれの持ち前の好奇心やちょっとした特殊能力が、巻き込まれる事件を解決に導くのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】共生
ひなこ
ミステリー
高校生の少女・三崎有紗(みさき・ありさ)はアナウンサーである母・優子(ゆうこ)が若い頃に歌手だったことを封印し、また歌うことも嫌うのを不審に思っていた。
ある日有紗の歌声のせいで、優子に異変が起こる。
隠された母の過去が、二十年の時を経て明らかになる?
リモート刑事 笹本翔
雨垂 一滴
ミステリー
『リモート刑事 笹本翔』は、過去のトラウマと戦う一人の刑事が、リモート捜査で事件を解決していく、刑事ドラマです。
主人公の笹本翔は、かつて警察組織の中でトップクラスの捜査官でしたが、ある事件で仲間を失い、自身も重傷を負ったことで、外出恐怖症(アゴラフォビア)に陥り、現場に出ることができなくなってしまいます。
それでも、彼の卓越した分析力と冷静な判断力は衰えず、リモートで捜査指示を出しながら、次々と難事件を解決していきます。
物語の鍵を握るのは、翔の若き相棒・竹内優斗。熱血漢で行動力に満ちた優斗と、過去の傷を抱えながらも冷静に捜査を指揮する翔。二人の対照的なキャラクターが織りなすバディストーリーです。
翔は果たして過去のトラウマを克服し、再び現場に立つことができるのか?
翔と優斗が数々の難事件に挑戦します!
この満ち足りた匣庭の中で 三章―Ghost of miniature garden―
至堂文斗
ミステリー
幾度繰り返そうとも、匣庭は――。
『満ち足りた暮らし』をコンセプトとして発展を遂げてきたニュータウン、満生台。
その裏では、医療センターによる謎めいた計画『WAWプログラム』が粛々と進行し、そして避け得ぬ惨劇が街を襲った。
舞台は繰り返す。
三度、二週間の物語は幕を開け、定められた終焉へと砂時計の砂は落ちていく。
変わらない世界の中で、真実を知悉する者は誰か。この世界の意図とは何か。
科学研究所、GHOST、ゴーレム計画。
人工地震、マイクロチップ、レッドアウト。
信号領域、残留思念、ブレイン・マシン・インターフェース……。
鬼の祟りに隠れ、暗躍する機関の影。
手遅れの中にある私たちの日々がほら――また、始まった。
出題篇PV:https://www.youtube.com/watch?v=1mjjf9TY6Io
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる