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第32章『止まない雨』
第188話
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「なんかまた殺人事件だって」
「連続殺人?犯人の目星さえつかないって話だよな?」
「ちょっとやばいよね…」
がやがやと騒がしいなか、氷雨君に手をひかれてライブ会場へ向かう。
まさか誘ってくれるとは思っていなかったから、すごく嬉しかった。
「このあたりなら見えると思う」
「確かに、ステージが見えやすい…」
「そろそろはじまるよ」
拍手がまきおこるなか、四季のメンバーが姿を現す。
3人の瞳にもう迷いはなかった。
周りの熱量がすごくて、少しだけくらくらしてしまう。
「…こっち」
氷雨君に腕をひかれて、そのまま外に出た。
「ごめんなさい」
「君が謝る必要はない。もう少し考えるべきだった」
「どうして誘ってくれたの?」
「…なんとなく」
もしかすると、氷雨君なりに気遣ってくれたのかもしれない。
「ありがとう」
「俺のエゴなのに、どうしてお礼なんて言うの?…相変わらず律儀だね」
氷雨君は小さく息を吐いて、さり気なく手を繋いでくれる。
そのままついていくと、バックヤードに辿り着いた。
「ここにも入れるように、特別なチケットになっているらしい」
「どうやって手に入れたの?」
「手紙を渡したら見に来てくれって言われた。チケットを返す間もなく行っちゃったから、行かないという選択はなかった」
「そうだったんだ…」
それでも、私を誘ってくれたことが嬉しかった。
それに、断れないと言いながら律儀に見に来たところも氷雨君らしい。
『ありがとうございました』
お客さんたちがわいわいしているなか、ふたりで急いで駅に向かう。
「…今夜のお客様も厄介なことになりそうだ」
「どういうこと?」
「俺のところには事前に情報が届く。…今回も連続殺人の被害者だ」
「そういえば、何か目的があってパーツを集めているみたいだった」
「どういうこと?」
夢の内容を話せていなかったので、見たままを正直に話す。
氷雨君は話を遮らずに最後まで聞いてくれた。
「…随分具体的だね」
「ごめんなさい」
こんなことを言われて、不快に思わないわけがない。
考えなしに話してしまったことを後悔していると、氷雨君はぼそっと言った。
「別に謝る必要はない。…人間が人間のパーツを集める、か」
氷雨君の表情は見えなかったけど、そのまま列車に向かって走っていく。
だけど、私が追いつけるように速さを落としてくれた。
「…えげつないと思うけど、いけそう?」
「大丈夫。やっぱり人が死ぬのを見るのは苦しいけど、お客様に笑ってほしいから」
「無理だと思ったら言って」
「ありがとう」
そのまま着替えて列車に乗ると、女性が右腕を押さえてうずくまっていた。
「連続殺人?犯人の目星さえつかないって話だよな?」
「ちょっとやばいよね…」
がやがやと騒がしいなか、氷雨君に手をひかれてライブ会場へ向かう。
まさか誘ってくれるとは思っていなかったから、すごく嬉しかった。
「このあたりなら見えると思う」
「確かに、ステージが見えやすい…」
「そろそろはじまるよ」
拍手がまきおこるなか、四季のメンバーが姿を現す。
3人の瞳にもう迷いはなかった。
周りの熱量がすごくて、少しだけくらくらしてしまう。
「…こっち」
氷雨君に腕をひかれて、そのまま外に出た。
「ごめんなさい」
「君が謝る必要はない。もう少し考えるべきだった」
「どうして誘ってくれたの?」
「…なんとなく」
もしかすると、氷雨君なりに気遣ってくれたのかもしれない。
「ありがとう」
「俺のエゴなのに、どうしてお礼なんて言うの?…相変わらず律儀だね」
氷雨君は小さく息を吐いて、さり気なく手を繋いでくれる。
そのままついていくと、バックヤードに辿り着いた。
「ここにも入れるように、特別なチケットになっているらしい」
「どうやって手に入れたの?」
「手紙を渡したら見に来てくれって言われた。チケットを返す間もなく行っちゃったから、行かないという選択はなかった」
「そうだったんだ…」
それでも、私を誘ってくれたことが嬉しかった。
それに、断れないと言いながら律儀に見に来たところも氷雨君らしい。
『ありがとうございました』
お客さんたちがわいわいしているなか、ふたりで急いで駅に向かう。
「…今夜のお客様も厄介なことになりそうだ」
「どういうこと?」
「俺のところには事前に情報が届く。…今回も連続殺人の被害者だ」
「そういえば、何か目的があってパーツを集めているみたいだった」
「どういうこと?」
夢の内容を話せていなかったので、見たままを正直に話す。
氷雨君は話を遮らずに最後まで聞いてくれた。
「…随分具体的だね」
「ごめんなさい」
こんなことを言われて、不快に思わないわけがない。
考えなしに話してしまったことを後悔していると、氷雨君はぼそっと言った。
「別に謝る必要はない。…人間が人間のパーツを集める、か」
氷雨君の表情は見えなかったけど、そのまま列車に向かって走っていく。
だけど、私が追いつけるように速さを落としてくれた。
「…えげつないと思うけど、いけそう?」
「大丈夫。やっぱり人が死ぬのを見るのは苦しいけど、お客様に笑ってほしいから」
「無理だと思ったら言って」
「ありがとう」
そのまま着替えて列車に乗ると、女性が右腕を押さえてうずくまっていた。
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