物置小屋

１人向け・イベント系

拝啓、天泣の君へ(手紙)

拝啓

君を曇らせるものがなくなれば、その涙を止められると思っていた。
だけど、僕はとんでもない思い違いをしていたらしい。
君のためならどんなことをしても許されると思っていた。
だけど、その結果余計に君を悲しませてしまった。
申し訳ない気持ちでいっぱいになって、今この手紙を書いています。
交換条件だったんだ。僕がこっちの屋敷へ移動すれば、君の将来を縛らないって。
君が友達と離れずにすむうえ、もう何にも縛られなくていいんだって思ったら、断る理由なんてなかった。
だけど、君が毎日泣いているってお嬢様が教えてくれたんだ。
僕がいなくても平気なんだと思っていたのに、もう二度と君の未来を曇らせる存在は現れないのに…。
君の笑顔を護れないなら意味がない。
いつか必ず会いに戻るから、それまで待っていてくれたら嬉しいです。


…あの手紙、もう届いたかな。いけない、来客だ。
お客様、失礼ですが只今旦那様は…なんでここにいるの？
駄目だよ、メイドと執事が仕事中に個人的な話をするなんて。
今夜はちょっと忙しいんだ。0時をまわってもいい？待てない？困ったな…持ち場を離れるわけには行かないけど、もし見られたらただじゃすまない。
大丈夫って、何が…お嬢様。大変失礼いたしました。
僕に休み、ですか？晩餐会の準備が残っておりますが、いかがいたしましょう？
…かしこまりました。感謝します、お嬢様。

泣いてる？ごめん。傷つけるつもりじゃなかったんだ。
晴れ渡る空みたいに、君の未来を明るくできればいいと思ってた。
どんなに離れていても大丈夫だって、勝手に思っていたんだ。
だけど、本当は──
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
執事とメイドの話にしました。